吉田千秋 (哲学者)

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吉田 千秋(よしだ ちあき、1943年1月[1] - )は、哲学者。元岐阜大学地域科学部教授。「哲学カフェ de ぎふ」主宰。

経歴[編集]

大阪市生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。名古屋大学大学院文学研究科博士課程(哲学専攻)単位修得退学[1]。1974年岐阜大学工業短期大学部講師、1979年助教授、1989年教授、1991年教養部教授、1996年地域科学部教授[2]。2008年3月に定年退官[3][4]。この間、唯物論研究協会(全国唯研)委員長(1998-2000年)[2]、岐阜大学地域科学部学部長を務めた[1]。退官後も引き続き地域科学部や名古屋大学、岐阜県立看護大学平成短期大学等の非常勤講師を引き受けている[3]

人物[編集]

石井伸男吉田傑俊とともに東京唯物論研究会(東京唯研)の若手の改革派のグループの一員だった[5]。石井伸男と吉田千秋の2人は雑誌『科学と思想』(新日本出版社)に日本哲学会の総会の感想を書いてほしいと求められ、同誌の1971年10月号に共同レポート「日本哲学会の動向と哲学研究のあり方」を執筆し、日本哲学会が現実の政治社会思想問題に十分に切り込んでいないと批判した[6][7]。これが契機となり、1971年8月に石井伸男、向井俊彦村山紀昭、吉田千秋、吉田傑俊の5人が結成よびかけ人となって「全国若手哲学研究者ゼミナール」(若手ゼミ、現・哲学若手研究者フォーラム)を設立した[8][6]。若手ゼミが刺激となり、1973年から1979年に11号が出た雑誌『唯物論』(汐文社)、1978年創立の唯物論研究協会(全国唯研)が生まれた[6]

「名古屋哲学セミナー」常任講師を務めている。同セミナーは1976年に真下信一を講師に迎えて始まり、1985年に真下が亡くなった後は教え子の吉田と福田静夫が講師を引き受けた[9]。また退官後の2008年6月に図書室「千秋まちかど図書室」、セミナー「哲学カフェ de ぎふ」を開設し、主宰している[3]。その他、「岐阜平和美術展実行委員会」会長、「岐阜・九条の会」代表世話人・事務局長、「九条の会・岐阜県連絡会」世話人代表、「ぎふ反貧困ネットワーク」代表世話人などを務め、平和活動・社会活動に携わっている[1][10]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『もうひとつの価値観――流されない「自分」を求めて』(青木書店、1997年)
  • 『平和への希い』(生活思想社、2010年)

共著[編集]

  • 『現代のための哲学 3 文化』(佐藤和夫、田平暢志、吉田傑俊共著、青木書店、1982年)
  • 『競争の教育から共同の教育へ』(池谷壽夫、後藤道夫竹内章郎中西新太郎、吉崎祥司共著、青木書店、1988年)

訳書[編集]

  • ジョン・ルイス『ウェーバーとマルクス主義――価値自由的社会学の批判』(玉井茂、松井正樹共訳、青木書店、1977年)
  • L・T・ホブハウス『自由主義――福祉国家への思想的転換』(社会的自由主義研究会訳、大月書店、2010年)

分担執筆[編集]

  • アルフレート・クレラ『疎外とヒューマニズム』(藤野渉訳、青木書店、1969年)
  • 島田豊編『講座史的唯物論と現代 第1巻 人間と文化』(青木書店、1977年)
  • 中村行秀編著『現代の哲学』(青木書店[青木教養選書]、1979年)
  • 唯物論研究協会編『もう一つの思想家像』(白石書店[白石新書]、1990年)
  • 小川晴久、佐藤和夫、吉田傑俊編著『転形期の思想――古在由重記念論文集』(梓出版社、1991年)
  • 唯物論研究協会編『運動の中の思想』(イクオリティ、1992年)
  • 松井正樹編著『現代文明とフィロソフィー』(文理閣、1993年)
  • 後藤道夫編『ラディカルに哲学する 5 新たな社会への基礎イメージ』(大月書店、1995年)
  • 末永豊、津田雅夫編著『文化と風土の諸相』(文理閣、2000年)

出典[編集]

  1. a b c d 主宰者(吉田千秋)の挨拶 - tetsugakucafegifu ページ!
  2. a b 吉田 千秋 - 研究者 - researchmap
  3. a b c 森の会ニュース第六号PDF”. 森の仲間たち (2008年6月1日). 2018年12月11日確認。
  4. 岐阜・九条の会ニュースレター第25号PDF”. 「岐阜・九条の会」事務局 (2008年3月). 2018年12月11日確認。
  5. 佐藤和夫氏インタヴューPDF」唯物論研究ジャーナルVol.6、2020年
  6. a b c 吉田傑俊氏インタヴューPDF」唯物論研究ジャーナルVol.5、2020年
  7. 吉田千秋氏インタヴューPDF」唯物論研究ジャーナルVol.5、2020年
  8. 石井伸男教授 略歴および研究業績PDF」『高崎経済大学論集』第50巻第3・4合併号、2008年
  9. 名古屋哲学セミナーとは 名古屋哲学セミナー
  10. 吉田千秋 もくじ 1 平和への希い 生活思想社

外部リンク[編集]