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澱川橋梁
澱川橋梁(よどがわきょうりょう)は京都府にある近畿日本鉄道京都線の宇治川に架かる鉄道橋梁である。
概要[編集]
1928年に完成。1963年に近畿日本鉄道に吸収合併された奈良電気鉄道によって架設された日本国内では最長の単純トラス橋である。構造は日本離れした下路分格間プラットトラス (ペンシルベニアトラス)である。近鉄京都線の桃山御陵前駅 - 向島駅間で本橋梁を通過する。
架設に至った経緯[編集]
官営鉄道奈良線に次ぐ京都と奈良を結ぶ第二の鉄道を目指して東海道本線京都駅と大阪電気軌道大和西大寺駅との間を結ぶ路線の建設に着工した奈良電気鉄道は宇治川に架かる橋梁を桁橋とすることにした。しかし、ここで徒河演習を行っていた大日本帝国陸軍は橋脚の設置は危険と主張し、反対した。上流は観光地であり、下流は川幅が広すぎて危険であって演習場の変更は不可能と大日本帝国陸軍は主張し、建設地の変更か、地下線の建設を主張した。しかし、どちらにしても御大典までの完成には間に合わず、最終的に大日本帝国陸軍は橋脚を一基だけ建設することを認めたが、路線の早期完成を急ぐ奈良電気鉄道は陸軍との妥協点の結果を待たず、この区間を無橋脚で架橋することに決定した。
設計[編集]
車両重量が1両60トンの電車6両編成が橋梁上ですれ違えるように設計された。当時、奈良電気鉄道は車両重量40トン程度の電車が4両編成での運転を予定していたので、かなりの余裕を持たせていたことになる。
橋脚工事着手[編集]
重量の大きい橋梁を支える橋脚の基礎工事は、工期に余裕がないため、基礎孔を掘った後、本来ならばやるべき沈降試験を行わず、多数の基礎杭を打ち込んでコンクリートを流し込み、試験そのものを不要にしてしまった。
橋梁工事着手[編集]
必要な鋼材は日本国内に在庫がなく、国内で唯一製造可能な八幡製鉄所も大日本帝国海軍向けの艦艇の製造で多忙で製造する時間もないため、在庫のあるアメリカ合衆国からの輸入とした。発注書を郵送する時間もないため、暗号電報での注文となった。神戸港に向かう貨物船がたまたまあったためにこれに載せられ、神戸港に着いた鋼材は艀に積み替えられ、工事現場の宇治川まで澱川を遡上した。工事期間に余裕はなく、本来ならば工場で仮組する工程を省略して現場でぶっつけ本番で行った。鋼材の切断、穴開けも失敗は許されず、綿密に計算した上で施工された。あまりの計算の綿密さに現場での作業に苦労したと言われる。建設にはガントリークレーンが使用された。
現状[編集]
完成から100年近く経過したが、2021年現在、大きな支障はない。想定どおり、6両編成の電車が橋梁上ですれ違うことが可能である。電車が当初の想定より軽くなったことも良い方向に働いた。2000年10月18日登録有形文化財に指定された。