日本銀行

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日本銀行(にほんぎんこう)とは、日本中央銀行のことであり、銀行券の発行、物価の安定を図り、国民経済の健全な発展及び決済システムの円滑を確保し、信用秩序の維持に資することを目的としている[1]。通称は日銀(にちぎん)。

概要[編集]

1872年に当時大蔵少輔(現在の財務省次官に相当)の伊藤博文が主導した国立銀行条例で各地に国立銀行が設立されたが、明治10年(1877年)に明治政府が西郷隆盛率いる反乱軍に勝利した西南戦争に伴う軍費などでインフレが発生しており、それを収束するために大蔵卿松方正義は日本銀行の設立に尽力した。これは、日本国内の紙幣を一元的に発行する中央銀行を設立し、また前述の全国各地の国立銀行が当時発行して流通していた様々な不換紙幣を回収する目的もあった。

日本銀行は明治15年(1882年10月10日日本銀行条例により設立された[1]昭和17年(1942年)には旧日本銀行法が制定されたが、当時は軍国主義で軍部の権力が絶対化していた時期に当たるため、政府からの独立性は低かった[1]平成に入り、大蔵省改革の一環で平成9年(1997年)に旧日銀法が全面的に改正されて新日銀法が成立し、平成10年(1998年4月施行された。新日銀法では政府の広範な監督権限をチェックに限定し、政策委員会の政府代表委員制度の廃止などによって独立性の確保が図られた[1]。また、金融政策決定会合の議事要旨の公開の仕組みなどにより透明性の向上が図られ、業務内容の明確化の観点から金融機関に対する考査の法定化がなされた[1]

日銀は政策委員会を最高意思決定機関としており、その構成員(日銀総裁日銀副総裁日銀審議委員)は国会の同意を得て内閣が任命する[1]。任期は5年である[1]

日銀本店には以下の14室局及び金融研究所が設置されている[1]

  • 政策委員会の議事運営などを担う政策委員会室。
  • 通貨・金融調節に関する基本的事項の企画・立案を担う企画局。
  • 信用秩序の維持に関する基本的事項の企画・立案や考査などを担う金融機構局。
  • 決済システムに関する基本的事項の企画・立案などを担う決済機構局。
  • 金融市場調節の実施内容の決定などを担う金融市場局。
  • 国内経済・財政の調査・分析、統計に関する事務を担う調査統計局。
  • 外国中央銀行との連絡・調整などを行なう国際局。
  • 銀行券に関する事務などを担う発券局。
  • 貸し付けや債権の売買などを行なう業務局。

他に日銀本店以外に、国内に32支店[注 1]、14事務所、海外7駐在員事務所の拠点がある[1]

議事録[編集]

日銀の正副総裁と審議委員が金融政策の運営方針を決める金融政策決定会合の発言録である。金融政策の透明性を高めるため、平成10年(1998年)に施行された新日銀法に基づき、会合の内容を10年後に半年分ずつ、年に2回公表している。会合の1ヶ月から2ヶ月後に公表する議事要旨は、一部の抜粋で発言者の氏名を伏せているが、議事録は発言者の氏名を明記し、原則として全てのやり取りを公開する。

総裁について[編集]

日銀総裁は、日銀の最高責任者であり、金融政策の運営方針を決める金融政策決定会合の議長を務める。政策の方向性を市場や国民に分かりやすく説明し、金融危機などの際には海外の中央銀行と協調して対応することが求められている。任期は5年、衆議院参議院両院の同意を得た上で、内閣が任命する。大蔵省すなわち財務省か、日銀の出身者がこのポストに就くケースが多い。令和2年(2020年)の賞与を含む役員報酬は3529万6000円である。

資産買い入れ[編集]

日銀は市中に出回るお金の量を増やし、金利を低く抑えるため、市場から国際や上場投資信託(ETF)、社債、コマーシャルペーパー(CP)といった資産を買い入れている。

脚注[編集]

  1. 27支店は府県庁所在地に置かれ、函館、釧路、松本、下関、北九州の5支店は非道県庁所在地に置かれている。
出典
  1. a b c d e f g h i 『金融時事用語集、2016年度』(金融ジャーナル社2015年12月)。253頁

参考文献[編集]

外部リンク[編集]