救援車 (鉄道車両)
救援車 (きゅうえんしゃ)とは、本線が不通になった際、資材や人員を乗せて現場まで運ぶ鉄道車両である。本稿では鉄道車両の救援車について述べる。
登場に至った経緯[編集]
鉄道路線で事故や災害が起きた際、復旧のために現場へ資材と人員を派遣することになるが、現場に道路が接続していない場合、大八車や自動車が乗り入れられず、人力で運ぶしかなかった。そこで資材をあらかじめ搭載した車両を準備しておき、必要なときに運行させることにした。
概要[編集]
事故や災害が起きたのみに使用され、そのようなことがなければ数年間放置に近い状態にされているので新製されることはなく、現役を退いた車両が使用される。ほとんどが客車で、電車は少ない。また、最も機動力の大きいと思われる気動車の救援車は存在しない。側面には資材を素早く下ろせるよう幅広の扉が設けられている。このため荷物車から改造された例が多い。記号は「エ」。近年はコンテナに置き換えられる例が多い。
沿革[編集]
1950年代までは明治時代初期の二軸車の救援車が基地の片隅で眠っていることがあった。木造客車の鋼体化改造が完了すると、鋼体化改造されなかった明治時代末の二軸ボギー客車 (標準型客車)が救援車の中核となったが、やがて荷物車 (鉄道車両)に使用されていた戦災復旧客車が置き換えられると、木造客車よりは程度の良いこの車両が救援車として使用され、国鉄分割民営化まで車籍を残していた。また17m級客車である鉄道省オハ31系客車も救援車に改造された。次に20m級客車である鉄道省マニ32形客車、国鉄マニ60形客車、国鉄オハニ36形客車が種車に選ばれた。
国鉄スエ30形客車[編集]
オハ31形客車、オハニ30形客車、スユニ30形客車などから改造された。これが国鉄スエ30形客車である。
国鉄オエ61形客車[編集]
鋼体化客車の形式であるが、実際は種車が鋼体化客車でない車両も多い。
私鉄では[編集]
全鋼製・半鋼製の救援車が後年まで在籍していたが、れっきとした救援用の鉄道車両として令和に入っても残るのは京急のみである。
京急デト17・18形電車[編集]
レール運搬用の電動貨車デチ15・16形からの改造。
相鉄モヤ700形電車[編集]
7000系電車から改造されたアルミ車。検測車としても使用される。
西鉄900形電車[編集]
5000形電車からの改造。検測車としても使用される。
阪急4050形電車[編集]
920系から改造された無動力の車両。すでに車籍はない。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 和田洋『国鉄救援車図鑑 (上)』ネコ・パブリッシング2018年8月1日発行。
- 和田洋『国鉄救援車図鑑 (下)』ネコ・パブリッシング2018年9月1日発行。