コントラバス
コントラバス(contrabass)とは、2種類の意味があり、音域名の一つで、バスより更に低い音域、または楽器名の一つで、この音域を持つ弦楽器。本ページで紹介するコントラバスは、弦楽器のコントラバスについて説明する。
弦楽器としてのコントラバス[編集]
ストリングベース、ウッドベース、ダブルベース、アップライトベース、コントラベース、コントラバス・ストリングと解釈できる。「コントラバス・ストリング」の略でもある。ヴァイオリン属の弦楽器の一つ。オーケストラの中で最低音域を土台として支える弦楽器。重低音を出す弦楽器で、力強い低音で和音(コード)の基本形や転回形の最低音を担当する。
ときには吹奏楽、金管バンドやジャズバンドでも使われ(その場合、弦バスと呼ばれる)、全体的には低音域の響きを増幅する効果が大きく、パイプオルガンの重低音のように、厚みのあるサウンドになり、低音域をワイドで豊かにする深い響きで、どっしりとした重厚な音色を持ち、吹奏楽や金管バンドにおいて低音域のパワー不足を補うことができる。低音部に重みと深みをもたらすために使う。吹奏楽や金管バンドにおけるコントラバスは、チューバに隠れて聴こえにくい。それでもチューバがブレスのときなどに、微かに低音が鳴っているのが重宝になる。吹奏楽では、低音楽器としては唯一の弦楽器である。
メロディー楽器ではないのでソロに使われることはあまり無い。記譜するときは、実音より1オクターブ上で記譜される。記譜された音より実音がオクターブ下になる。
コントラバスのファミリーには、4弦と5弦の2種類がある。スタンダードモデルは4弦である。
コントラバスの調弦は4度間隔で、実音で表記すると、高い音から順に、完全4度下がり、4弦の場合、G1、D1、A0、E0となる。4弦の最低音は、E0(約41.2Hz)。4弦コントラバスの調弦の音名は、音名・音程が、ヴァイオリンと同じ調弦をオクターブ順だけ逆にしたものと一致している。5弦の場合は低音域拡張のため、更に低い音を出すことができる追加の太い弦が付き、最低音は4弦より完全4度低く、B-1(オクターブ表記は英語音名統一なので、正確にはB♮-1と表記)(約30.87Hz)。5弦コントラバスの調弦は、高い音から順に、G1,D1,A0,E0,B♮-1。5弦の場合も、最低弦まで4度間隔である。
各部の調弦の線は、高い音から順に数えると、弦は右から順に並び、4弦ではG線、D線、A線、E線となり、5弦ではE線より更に4度低いH線=B♮線?(Hはシのドイツ音名。シは英語音名ではBであるが、Bと書くと、Bはドイツ音名ではシ♭、移調楽器ではシ♭のドイツ音名を意味するため、曖昧さ回避のため、移調楽器やキイ表記では、シ♭は英語音名のB♭、シ♮はドイツ音名のHを用いる。オクターブ表記は英語音名のみ)となる。電気的にアンプで増幅するエレクトリックベースの最低音も同様。エレクトリックベースの調弦と同じ原理である。調弦は、各弦の最低音である。
5弦コントラバスを用いることにより、低音域が補強され、荘重な低音域を出すことができる。4弦より更に低い音を出せるようにするのは、B♭管チューバや5弦ベースやシンセベースと同じ音域を弦楽器で再現したり、チェロの最低音の1オクターブ下の音を得たり、コントラバスオクターブ(C0~B0)と共通の音域をカバーするためである。音域は、4弦の場合はE0(約41.2Hz)~A2(220Hz)の2オクターブ+4度=約2オクターブ半、5弦の場合は低音域拡張のため、音域がやや広くなり、B-1(約30.87Hz)~A2(220Hz)の3オクターブ弱あるということになる。4弦コントラバスの音域は、ヴァイオリン属の中で音域が最も狭い。5弦コントラバスの最低音は、真ん中のド(約261.63Hz、C3)より3オクターブと半音下。調律は、E0、A0、D1、G1。コントラバスのみ、調弦の音程間隔が4度なので、他のヴァイオリン属より音域が比較的狭い。
コントラバスの弦を指ではじくと、太い共鳴音が鳴る。
コントラバスの底部には、床に立てて楽器を支えるためのエンドピンがついている。弦を巻いてチューニングするペグは、金属製のギア式になっている。
オーケストラ、吹奏楽では、チューバとのユニゾンで用いられ、チューバの響きに厚みを与える。
MIDIにおけるコントラバスの音色は、「GM49.ストリングス1」「GM51.シンセストリングス1」を使用する。
コントラバスの調弦の全ての音をコードネームで書き表すと、4弦はA7sus4、5弦はEm7(add11)となる。
名称にコントラバスの付く他の楽器[編集]
単に「コントラバス」と書くと、定義が曖昧になる。曖昧さ回避で、コントラバスというのが弦楽器の種類ではなく、コントラバスの音域名に相当・対応する楽器の種類については、コントラバスの付く名称の楽器のことで、金管楽器ではチューバ、木管楽器ではコントラファゴット、撥弦楽器及びベース楽器ではエレクトリックベースやシンセベースに相当し、これらのものと同じ役割を果たす。コントラファゴットとは、「コントラバスの音域を持つファゴット」が語源で、コントラバスファゴットの略と解釈できる。B♭管チューバは、コントラバスチューバとも呼ばれることがある。コントラバスチューバはB♭管チューバとC管チューバの2つの調性を組み合わせて一組を形成したものである。このように、コントラバスの音域に相当する楽器は、コントラバスの音域名が付く楽器となる。音域名のコントラバスは、略して「コントラ」とも書かれる。
更にコントラバスの音域名が付く楽器が他にもあり、コントラファゴット、コントラバスチューバ以外に、★コントラバストロンボーン、★コントラバスクラリネット、★コントラバスリコーダー、★コントラバスサクソフォンがある。
★印はオプションの楽器
コントラバスの音域名を持つ楽器の音域[編集]
音域…実音で表記すると、コントラファゴットの最低音はB♭-1(約29.14Hz)、B♭管コントラバスチューバの最低音はA-1(27.5Hz)、コントラバスサクソフォンの最低音はD♭0(約34.65Hz)、コントラバスクラリネットの最低音はD♭0(約34.65Hz)、コントラバストロンボーンの最低音はC0(約32.7Hz)、コントラバスリコーダーの最低音はF1(約87.31Hz)。エレクトリックベースの最低音は、4弦でE0(約41.2Hz)、5弦でB-1(約30.87Hz)、シンセベースの最低音はC0(約32.7Hz)。
コントラファゴットは、普通のファゴットより1オクターブ低く、B♭管チューバと同じ音域である。コントラバスサクソフォンは、バリトンサクソフォンより1オクターブ低い。コントラバストロンボーンは、テナーバストロンボーンより1オクターブ低く、C管チューバと同じ音域である。コントラバスクラリネットは、バスクラリネットより1オクターブ低い。
曖昧さ回避で、コントラバスというのが弦楽器そのものではなく、音域名のコントラバスは、実用的な音域は、C0(約32.7Hz)~F#1(約92.5Hz)で、コントラバスオクターブは、C0(約32.7Hz)~B0(約61.74Hz)となる。コントラバスオクターブは、コントラオクターブとも呼ばれる。
このように、コントラバスという名称はさまざまな場面で使われることの表れである。
音域名で、低音域というのがコントラバスではなく単にバスだけだと、最低音は周波数約65.41HzのC1(チェロの最低音)であり、低域が抑えめで、最低音でも使いやすい音であるが、低音域が足りないと感じる場合もある。バスの音域については、nicodic:音名を参照すればわかる。
※440Hz=A3(ヤマハ式?)
※オクターブ表記を使った音名=英語音名とする
関連項目[編集]
吹奏楽で一般的に使われる楽器 |