ホルン

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

ホルン(Horn)とは、金管楽器の一つ。

概要[編集]

ふくよかな、柔らかく、美しく、ダークでソフトな響き、こもったような響き、柔和で素朴な音色、丸みを持った温かく深みのある響きを出すために、細長い円筒管のラッパがぐるぐる円形に丸く巻かれていて、ベルはアサガオのように広がりが急で、大きな円周を持っている。フレンチホルン(french horn)とも呼ばれる。3.6mほどの長く緩やかな円錐管が丸く巻かれ、大きく開かれたベルが特徴。他の金管楽器と最も異なる点は、一番大きな金管楽器であるチューバに匹敵する管長を持ちながら、管が非常に細い。最も長い管であるものの、マウスピースは小さな口径になっていて、中高音が出しやすい。周波数成分は、倍音が少なく、トランペットやトロンボーンのような華やかさは少ししか持たないが、強く吹くと勇ましく力強く、雄大な音になり、音色による表現範囲が広く、様々な幅広い響きを出すこともできる。

半音階の演奏を可能にするために、ロータリーバルブを採用し、ローターの回転で、抜き差し管に空気を送る仕組みになっている。キーは左手で操作する。ロータリーバルブの数は4本で、1つの楽器にF管とB♭管の2つの調性を持たせたもので、親指のレバーで2種類の調性を切り替え、F管は管が長く、B♭管は管が短く、中低音域ではF管、中高音域ではB♭管と使い分け、真ん中にある3本のレバーの組み合わせで音高を変える。フルダブルホルンと呼ばれる。メロー系の音色で、一般に、複数のホルンと並んで和音(コード)を作って演奏することが多く、たまにメロディーを吹くときもある。他の楽器ともよく溶け合う音色を持ち、木管楽器とも音が調和する。金管楽器の中で音域が最も広いく、一本の楽器で幅広い音域に対応できる。ベルの中に手を入れてバルブと唇で音程を変化することができる。記譜するときは、実音より完全5度上で記譜される。

レバーはロータリーバルブを操作するためのものである。ロータリーは、ピストンより速く音を切り替えることができる。

フレンチホルンの語源は、フランス式のホルンがイギリスに伝わったという意味に由来する。

ホルンの種類[編集]

  • シングルホルン…一調性ホルン。一番シンプルな形のホルンで、管が平屋建て=1階建てのもの。F管のみとB♭管のみの2種類がある。デメリットは、出せる音が足りない部分があり、演奏面でコントロールが難しい。そのため、シングルホルンは、使い道はあまり無いと思う。F管では、管が長く高音部分が足りないため、高音部分を出すときにミスを起こしやすく、操作性が悪い。B♭管では、最低音域の一部で出せない音がある。F管シングルホルンの場合、トランペットがB♭管で代用されるのと同じような解釈である。B♭管シングルホルンは、ゲシュトップキーが標準装備されている。
  • フルダブルホルン…単に「ダブルホルン」とも書かれる。二調性ホルン。管の長さが異なるF管とB♭管の2つの迂回管を組み合わせて1台の楽器に装備し、管が2段重なって、管が2階建てになったもの。F管とB♭管の切り替えバルブは、第4バルブに当たり、第4バルブは左手小指で操作する。F管とB♭管を切り替えることによって、各バルブを通る段も切り替わり、それぞれの短所を補う。高音側ではB♭管、低音側ではF管と使い分けるので、音域が広い。一つの楽器でFとB♭の両方の調子を出すことができ、F、B♭両方の音色をカバーできる。レバーを押すことにより、息は裏に表にと、円錐状の管内を瞬時にかけめぐる。最もよく使われるタイプ。オーケストラや吹奏楽、学生(学校備品)、アンサンブル、マーチング用(マーチングチューバ)、室内楽など、あらゆる幅広いジャンルに使われ、多くのホルン奏者が求める常用楽器とされ、幅広い表現が可能である。日本の金管バンドに使われることもある。F管とB♭管が独立していて、各調性の管・2種の管は1つのバルブ装置に取り付けられ、2段に重ねて収められ、2階建てになっている。音域は3オクターブ半あり、中低音域から中高音域に渡る幅広い音域を持つ楽器。フルダブルホルンの音域を実音で表記すると、最低音はF管の最低音で、約65.41HzのC1で、B♭管の最低音は約87.31HzのF1で、最高音は約698.46HzのF4である。フルダブルホルンの管を伸ばすと、全長4m。F管で約3.6m、B♭管で約2.8mである。フルダブルホルンの自然倍音は、B♭管で解放の運指状態では、最低音は2倍音で、低い音から順に、B♭1、F2、B♭2、D3、F3…となる。自然倍音のうち、高音域では音階が並びやすい。

フルダブルホルンの各部は、レバーは、右から順に、第1レバー、第2レバー、第3レバーとなる。ロータリーも同様、右から順に、第1、第2、第3、第4ロータリーとなる。バルブがほぼ一直線に並んでいる。

  • セミダブルホルン…B♭管にF延長管を組み合わせて第4バルブで付け足したもので、F管は補正管で、フルダブルよりは軽量で、管の長さが若干短く、低音を出す時に管内の凸凹を多く通るため、音が影響を受ける。B♭管を主に使い、F管は低音域で使う。セミダブルホルンの調性の仕組みは、ユーフォニアムやピストン式チューバのコンペンセイティング・システムやテナーバストロンボーンのF管アタッチメントと同じ仕組みである。コンペンセイティングダブルホルンとも呼ばれる。セミダブルホルンは、常用楽器ではない。
  • トリプルホルン…「フルトリプルホルン」とも書かれる。三調性ホルン。高音域の演奏を比較的容易にするため、フルダブルホルンに、更に短い管、F管の1オクターブ高い「High F管」を加えた楽器。「HighF管」は、「F-Alto管」とも呼ばれる。管が三段重なり、3階建てになり、複雑な知恵の輪でできた管がいくつも絡まっている仕組みで、管の周り具合がかなり複雑な構造で、ロータリーもその分長く、B♭/Low F切替時にデュアルプレーンバルブの付属と、「ゲシュトップキイ」と呼ばれる音程を少し低くする補正バルブも付き、重量も重くなり、構造が非常にデリケートで、かなり高度で、ロータリーの数は6本。二つのレバーの操作によって、F管・B♭管・High F管の3段を切り替える。この1台の楽器で全音域に渡る幅広い音を出すことができる。シングルホルンよりも音域が広く見える。デメリットは、楽器の重量が重くて持って歩きにくく、高価であり、特に長時間の演奏には体力を要し、音色のコントロールが難しくなり、軽やかな演奏が難しく、珍しい楽器であり、トリプルホルンは常用楽器ではないので、トリプルホルンは、ホルンの種類におけるオプションの楽器である。オーケストラ、アンサンブル、ソロ、室内楽、バロック音楽、ルネサンス音楽に利用される。ゲシュトップキーにより、♯系の曲を演奏する際に運指を楽にすることができる。

High F管の最低音は約130.81HzのC2である。

  • デスカントダブルホルン…B♭管とHighF管を組み合わせたもの。構造はフルダブルと同じであるが、F管の全長がフルダブルの半分のHighF管となっている。通常のF管より1オクターブ高い音域を演奏できる。主に高音域の演奏を目的として使われる。デスカントとは「高い」という意味である。トリプルホルンと同様、「ゲシュトップキイ」と呼ばれる音程を少し低くする補正バルブが付いている。主にアンサンブルに使用される。フルダブルホルンよりは音域はやや狭くなるので、デスカントダブルホルンは、常用楽器ではないので、これもオプションの楽器である。

デスカントダブルホルンの音域を実音で表記すると、最低音はB♭管の最低音で、約87.31HzのF1で、High F管の最低音は約130.81HzのC2で、最高音は約698.46HzのF4である。

ホルンと名の付く金管楽器には、サクソルン族のフリューゲルホルン、アルトホルンがある。そのため、サクソルン属のホルンと区別を付ける場合は、「フレンチホルン」と表記したほうが、曖昧さなく回避できる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

吹奏楽で一般的に使われる楽器
Aグループ バスクラリネット【コントラバスクラリネット】B - バリトンサックスE - ファゴット(バスーン)【コントラファゴット】C - チューバ【スーザフォン】B - コントラバス弦楽器
Bグループ テナーサックスB【 - アルトクラリネットE】 - ユーフォニアムB - ホルンF - トロンボーン【バストロンボーン】B
Cグループ B♭クラリネットB - アルトサックスE - オーボエ【イングリッシュホルン】C - トランペット【コルネット - フリューゲルホルンB
Dグループ フルートピッコロC【 - E♭クラリネット(エスクラリネット)E・ - ソプラノサックスB
右上のアルファベットは何管かを表す
(C=C管、F=F管、E=E♭管、B=B♭管)

また、【括弧内楽器】はオプション。