クラリネット

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クラリネット(英:Clarinet)とは、シングルリードを持つ木管楽器である。「クラ」などと略されることも多い。リードの構造やメカニズムがシンプルであり、初心者でも音高の変更がしやすい。音域は3オクターブ半+全音あり、木管楽器の中では最も広い音域を持つので、機動性が優れ、表現力や表情が豊かな木管楽器である。他の木管楽器に比べて音域がはるかに広い。音域が近いのは、トランペットヴィオラ。響きとしては、ぬくもりのある明るい音色がする。移調楽器で、通常はB♭管が中心。古くはC管もあったが、現在C管はほとんど使われなくなった。材質は、管体はグラナディラ、キイはニッケルシルバーで、上に銀メッキ仕上げでできている。閉管構造のため、クラリネットが使う倍音は、基音の上に12度上の第3倍音、第5倍音、第7倍音と奇数倍音のみである。チューニングする位置は、バレルと上管の間を抜き差して調節する。ベルは朝顔の花ぐらいの開き方である。左右の小指のキイは、押さえやすいように、「涙のしずく」の形=涙形をしている。音域による音色の違いがはっきりしており、低音域は「シャリュモー」、高音域は「クラリオン」とも呼ぶ。語源は、「小さなクラリーノ」に由来する。

リードは、植物のアシの茎を削って作る。

メーカーは、ヤマハ、セルマー、ビュッフェ・クランポン、マイケル。

楽器の種類[編集]

ピッコロ・クラリネット[編集]

A♭管で、「アスクラ」とも呼ばれる。クラリネット属の中では最小である。A♭管は、ほとんど使われない。クラリネットアンサンブルに使用される。

ソプラニーノ・クラリネット[編集]

E♭管が最も一般的で、「エスクラ」と呼ばれる。D管も存在するが、E♭管で代用されることが多い。日本語では「小クラリネット」とも呼ばれる。小さくてかわいらしい楽器。とても鋭くて明るい音がする。クラリネットアンサンブルに使用される。

ソプラノ・クラリネット[編集]

B♭管が最も一般的で、「ベークラ」あるいは単に「クラリネット」と呼ばれる。ほかにA管なども使用されることがある。吹奏楽ではB♭管、オーケストラやポップス(ポピュラー音楽)では、楽曲の調性によって、しばしばB♭管とA管の2つを使い分け・持ち替えている。A管は、B♭管よりも半音分だけ長い楽器で、長さは、B♭管より4cm長く、調号#の数がたくさんついた曲を演奏するときに、指使いが楽になるので、B♭管と持ち変える。フラット系の調性の曲ではB♭管、シャープ系の調性の曲ではA管を用いることで、煩雑な指使いを避けるためである。実音の音域は、B♭管の場合、D2~B♭5(A#5)。A管クラリネットは、C#2~A5。まっすぐな円筒管でできている。B♭管とA管を持ち替える時は、マウスピースだけ共通のものを使う。

バセット・クラリネット[編集]

A管ソプラノ・クラリネットを、後述のバセット・ホルンの最低音まで出るように改良したもの。バセット・ホルンの代用として使用される。

バセット・ホルン[編集]

F管が一般的で、通常のクラリネットと構造が若干異なり低音域が広い。「ホルン」の名がつくが金管楽器ではなく、木管楽器のクラリネット属に分類される。アルト・クラリネットより長2度高い音域を持つ。ヤマハのメーカーには無い。

アルト・クラリネット[編集]

E♭管(エスクラより1オクターブ低い)が一般的で、「アルトクラ」「アルクラ」などと呼ばれる。音色はB♭管クラリネットと変わりは全くないが、オーケストラでは使われない。吹奏楽ではたまに使われる。主にクラリネットアンサンブルで使われる。F管も存在し、バセット・ホルンの代用として使用される。アドルフ・サックスが考案した楽器。金属製の曲がったネックやベルになっている。

バス・クラリネット[編集]

サックス型の楽器で、アドルフ・サックスが完成させたクラリネットの仲間。普通のクラリネットの倍の長さで、B♭管(ベークラより1オクターブ低い)が一般的で、「バスクラ」と呼ばれる。吹奏楽ではよく使われる。A管も存在するが、ほとんど使用されない。オーケストラや吹奏楽で、低音(バス、ベース)パート~中低音域を担当する。低い音が出るほかの楽器と一緒に演奏する。同じバスクラリネットでも、2種類あり、最低音がLow E♭(実音D♭1=C#1)のものと、最低音がLow C(実音B♭0=A#0)まで出るものがある。最低音がLow C(実音B♭0)のものは、ロングタイプである。B♭管しか存在しないと思うので、実音がシャープ系の調性でも、どんな調号も関係なく、全部B♭管で演奏するという難しい練習が必要となる。実音がイ長調の曲でもA管を使わずに、B♭管で実音がイ長調の曲を演奏するということであり、実音がイ長調なら、記音はロ長調となる。実音の音域は、Db1[Bb0]~F4。

コントラアルト・クラリネット[編集]

E♭管(エスクラより2オクターブ低い)。アルトクラより1オクターブ低い。バリトンサックスの代用としても使用される。

コントラバス・クラリネット[編集]

B♭管クラリネット(ベークラ)より2オクターブ低い。バスクラリネットより1オクターブ低い。一般的に使用されるクラリネット属の中では最大で最低音域を担当することから、吹奏楽やクラリネットアンサンブルではオプションの楽器である。コントラバスクラリネットのラインナップをそろえているメーカーは唯一セルマーだけである。

オクトコントラアルト・クラリネット[編集]

E♭管(エスクラより3オクターブ低い)。世界に数個しかなく、特注あるいは試作品としての位置づけであると思われる。

オクトコントラバス・クラリネット[編集]

B♭管(ベークラより3オクターブ低い)。世界で1本しか存在しない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

吹奏楽で一般的に使われる楽器
Aグループ バスクラリネット【コントラバスクラリネット】B - バリトンサックスE - ファゴット(バスーン)【コントラファゴット】C - チューバ【スーザフォン】B - コントラバス弦楽器
Bグループ テナーサックスB【 - アルトクラリネットE】 - ユーフォニアムB - ホルンF - トロンボーン【バストロンボーン】B
Cグループ B♭クラリネットB - アルトサックスE - オーボエ【イングリッシュホルン】C - トランペット【コルネット - フリューゲルホルンB
Dグループ フルートピッコロC【 - E♭クラリネット(エスクラリネット)E・ - ソプラノサックスB
右上のアルファベットは何管かを表す
(C=C管、F=F管、E=E♭管、B=B♭管)

また、【括弧内楽器】はオプション。