川人博
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川人 博(かわひと ひろし、1949年10月7日[1] - )は、弁護士。専門分野は過労死・過労自殺・労災・職業病[2]。川人法律事務所所長。過労死弁護団全国連絡会議幹事長[3]。兄は医師の川人明[2]。
経歴・人物[編集]
大阪府泉佐野市生まれ。泉佐野市立日新小学校、同第三中学校、大阪府立三国丘高校卒業[2]。1974年、東京大学経済学部卒業[1]。1978年、東京弁護士会に弁護士登録。文京総合法律事務所を経て、1995年、川人法律事務所創立。1988年から「過労死110番」の活動に参加[4]。1989年10月に結成された過労死弁護団全国連絡会議の事務局長となり、のち幹事長に就任[1]。1992年から東大教養学部「法と社会と人権」ゼミナール講師[4]。
過労死・過労自殺問題の第一人者として知られる[5][6]。2014年の過労死等防止対策推進法制定に尽力し[7]、2015年に電通社員の高橋まつりさんが過労自殺した事件や、2017年に新国立競技場の建設現場で働いていた建設会社社員の男性が過労自殺した事件では遺族代理人を務める[8][9]。
北朝鮮による日本人拉致問題や人権問題にも取り組み、2003年に「北朝鮮による拉致と人権問題に取り組む法律家の会」を結成[10]、同会の幹事や特定失踪者問題調査会常務理事を務める[11]。金正日独裁体制温存のための主張をしているとして、『諸君!』2007年4月号で政治学者の姜尚中を批判した。姜は『週刊朝日』2007年3月30日号で反論し、同誌で5回(姜3回、川人2回)にわたる論争が展開された[12]。論争をまとめた『金正日と日本の知識人』(2007年6月)では、歴史学者の和田春樹、評論家の佐高信、憲法学者の水島朝穂に対しても厳しく批判している。
役職[編集]
- 厚生労働省・過労死等防止対策推進協議会委員
- 過労死弁護団全国連絡会議幹事長
- 過労死等防止対策推進全国センター共同代表幹事
- 内閣官房拉致問題対策本部 拉致問題に関する有識者との懇談会の有識者委員
- 東京大学教養学部「法と社会と人権」ゼミ講師
- 東京弁護士会人権擁護委員会国際人権部会長[13]
- 特定失踪者問題調査会常務理事
- 北朝鮮による拉致と人権問題に取り組む法律家の会幹事[14]
著書[編集]
単著[編集]
- 『過労死と企業の責任』 労働旬報社(ヒューマン・ネットワーク・シリーズ)、1990年
- 『過労死社会と日本――変革へのメッセージ』 花伝社、発売:共栄書房、1992年
- 『タイムショップ』 講談社、1995年
- 『過労死と企業の責任』 社会思想社(現代教養文庫)、1996年
- 『いま、人権を読む』 リブリオ出版、1996年
- 『過労自殺』 岩波書店(岩波新書)、1998年
- 『過労自殺 第二版』 岩波書店(岩波新書)、2014年
- 『時代の流れから――いま、人権を読む』 リブリオ出版、1998年
- 『過労自殺と企業の責任』 旬報社、2006年
- 『金正日と日本の知識人――アジアに正義ある平和を』 講談社(講談社現代新書)、2007年
- 『過労死・過労自殺大国ニッポン――人間の尊厳を求めて』 編書房、発売:星雲社、2010年
- 『過労死しない働き方――働くリアルを考える』 岩波書店(岩波ジュニア新書)、2020年
共著[編集]
- 『人権を考える本 人が人らしく生きるために 5 労働者とその生命と人権』 徳住堅治共著、岩崎書店、2001年
- 『これ以上、働けますか? ――労働時間規制撤廃を考える』 森岡孝二、鴨田哲郎共著、岩波書店(岩波ブックレット)、2006年
- 『壊れゆく医師たち』 岡井崇、千葉康之、塚田真紀子、松丸正共著、岩波書店(岩波ブックレット)、2008年
- 『就活前に読む――会社の現実とワークルール』 宮里邦雄、井上幸夫共著、旬報社、2011年
- 『過労死・過労自殺労災認定マニュアル――Q&Aでわかる補償と予防』 平本紋子共著、旬報社、2012年
- 『還暦からの医療と法律』 川人明共著、連合出版、2015年
- 『過労死ゼロの社会を――高橋まつりさんはなぜ亡くなったのか』 高橋幸美共著、連合出版、2017年
- 改題新装版 『過労死・ハラスメントのない社会を――電通高橋事件と現在』 高橋幸美共著、日本評論社、2022年
編著[編集]
- 『テキストブック現代の人権』 日本評論社、1993年、第2版1997年、第3版2004年、第4版2009年
- 『国際交流のための英語――人権・環境・平和のコミュニケーション』 佐藤綾子共編著、大月書店、1993年
- 『「東大卒」20代の会社生活――受験戦争の勝者たちの今』 かもがわ出版、1994年
- 『現代社会と東大生――学生たちは、いま』 花伝社、発売:共栄書房、1995年
- 『世界人権の旅』 日本評論社、1997年
- 『サラリーマンの自殺――今、予防のためにできること』 高橋祥友共編著、岩波書店(岩波ブックレット)、1999年
- 『東大は誰のために――川人ゼミ卒業生たちは今』 連合出版、2010年
監修[編集]
- 『こんなふうに生きている――東大生が出会った人々』 東京大学教養学部「法と社会と人権ゼミ」出版委員会編集、花伝社、発売:共栄書房、2001年
訳書[編集]
- 『働きすぎのアメリカ人――予期せぬ余暇の減少』 ジュリエット・ショアー著、森岡孝二ほか共訳、窓社、1993年
- 『窒息するオフィス――仕事に強迫されるアメリカ人』 ジル・A・フレイザー著、森岡孝二監訳、青木圭介ほか共訳、岩波書店、2003年
- 『北朝鮮の人権――世界人権宣言に照らして』 ミネソタ弁護士会国際人権委員会、アジアウォッチ編、小川晴久共訳、連合出版、2004年
- 『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』 デイヴィッド・K.シプラー著、森岡孝二、肥田美佐子共訳、岩波書店、2007年
- 『豊かさの向こうに――グローバリゼーションの暴力』 V・A・ギャラガー著、佐藤綾子、加藤彰共訳、連合出版、2010年
- 『プレニテュード――新しい「豊かさ」の経済学』 ジュリエット・B・ショア著、森岡孝二監訳、青木圭介ほか共訳、岩波書店、2011年
分担執筆[編集]
- 過労死弁護団全国連絡会議編『過労死 国際版』窓社、1990年
- 過労死弁護団全国連絡会議編『過労死!』講談社(講談社文庫)、1992年
- 内橋克人、奥村宏、佐高信編『日本会社原論 5 企業活動の監視』岩波書店、1994年
- 佐高信編『現代の世相 2 会社の民俗』小学館、1996年
- ストレス疾患労災研究会、過労死弁護団全国連絡会議編『激増する過労自殺――彼らはなぜ死んだか』皓星社、2000年
- 損害論研究会編『逸失利益等の算定における中間利息控除率の研究』損害論研究会、2002年
- 氏原寛、田嶌誠一編『臨床心理行為――心理臨床家でないとできないこと』創元社、2003年
- 北朝鮮による拉致被害者の救出にとりくむ法律家の会編『拉致と強制収容所――北朝鮮の人権侵害』朝日新聞社、2004年
- 日本法社会学会編『死そして生の法社会学 法社会学第62号』有斐閣、2005年
- 山脇直司、金泰昌編『公共哲学 18 組織・経営から考える公共性』東京大学出版会、2006年
- 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編『弁護士専門研修講座――労働法の知識と実務』ぎょうせい、2010年
- 広井良典編著『講座ケア 新たな人間-社会像に向けて 1 ケアとは何だろうか――領域の壁を越えて』ミネルヴァ書房、2013年
脚注[編集]
- ↑ a b c 日外アソシエーツ編『現代日本人名録 2002 1. あ~かと』日外アソシエーツ、2002年、230頁
- ↑ a b c 還暦からの医療と法律 紀伊國屋書店
- ↑ 過労死ゼロの社会を 紀伊國屋書店
- ↑ a b 過労死・過労自殺大国ニッポン―人間の尊厳を求めて 紀伊國屋書店
- ↑ 「過労死、過労うつを促進する法案を叩き潰す」弁護士たちが「残業代ゼロ法」反対集会 弁護士ドットコム(2015年2月18日)
- ↑ 電通過労死の遺族代理人・川人博弁護士「経営者が無能」 日刊ゲンダイ(2017年1月16日)
- ↑ 2015年・第27回労働法講座 日本労働弁護団(2015年1月7日)
- ↑ 「新国立」現場の過酷な長時間労働、川人弁護士に聞く 日本経済新聞(2017年7月25日)
- ↑ 新国立工事の過労自殺、遺族代理人弁護士が指摘する「真犯人」 ダイヤモンド・オンライン(2017年8月8日)
- ↑ 『金正日と日本の知識人』18頁
- ↑ “北 人権問題批判の可否が知識人の価値を決定” デイリーNK(2008年1月14日)
- ↑ 『金正日と日本の知識人』7頁
- ↑ 川人博経歴 川人法律事務所
- ↑ 特定失踪者問題調査会について 特定失踪者問題調査会
参考文献[編集]
- 紀田順一郎ほか編『新現代日本執筆者大事典 第2巻(か~し)』日外アソシエーツ、1992年
- 紀田順一郎ほか編『現代日本執筆者大事典 第4期 第2巻』日外アソシエーツ、2003年