内橋克人

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内橋 克人(うちはし かつと、昭和7年(1932年7月2日 - 令和3年(2021年9月1日)は、日本経済評論家市場競争一辺倒からの脱却を訴え、人間を大切にする共生経済を提唱したことで知られている。

経歴[編集]

兵庫県神戸市出身。神戸商科大学(現在の兵庫県立大学)卒業。既婚者。

当初は神戸新聞の記者となる。昭和42年(1967年)にフリーとなる。高度経済成長を支えた無名の技術者を描いた「匠の時代」シリーズで一気に作家として頭角を現す。そして「共生の大地、新しい経済がはじまる」などで市場原理至上主義に警鐘を鳴らした。

内橋は戦前生まれで戦争の時代を経験しているため、ほぼ同世代の大江健三郎と共に「『さようなら原発』一千万署名、市民の会」の呼びかけ人を務めたり、日本国憲法第9条を守る活動などに積極的に参加したりしている。その活動などから平成18年(2006年)にはイーハトーブ賞を受賞。6年後の国際協同組合年で全国実行委員会代表などを務めた。共同通信社の「報道と読者」委員を平成13年(2001年)から2年間ほど努めてもいる。著書も数多く存在する。

令和3年(2021年)9月1日午後4時37分、急性心筋梗塞のため、神奈川県鎌倉市病院死去した。89歳没。

著書[編集]

  • 『外資のなかのニッポン』三一書房・三一新書 1968
  • 『恐るべき外資企業 高収益商法の秘密』エール出版社 1971
  • 『外資商法で儲けろ 超高収益商法から学ぶもの』エール出版社 1972
  • 『優績店への挑戦 ドキュメント 地域密着化に成功した銀行支店の記録』近代セールス社 1972
  • 『挑戦する幹部 「管理から指揮へ」のリーダーシップ』日本能率協会 MSDシリーズ 1974
  • 『伝説の日本人 明治・大正・昭和"型やぶり人間"考』ダイヤモンド社 1975 「破天荒企業人列伝」新潮文庫、「日本資本主義の群像」現代教養文庫
  • 『危機こそ好機である 売上アップの逆転商法』文潮出版 マネーシリーズ 1976
  • 『「安宅崩壊」以後これからの昇進・仕事・人間関係』徳間書店 1978
  • 『恐慌 サラリーマン恐怖時代 ドキュメント』東洋経済新報社 Vブックス 1978 のち新潮文庫、現代教養文庫  
  • 『匠の時代 先駆的開発者たちの実像』サンケイ出版 1978 のち講談社文庫岩波現代文庫  
  • 『続・匠の時代』サンケイ出版 1978 のち講談社文庫 
  • 『続々・匠の時代』サンケイ出版 1979 のち講談社文庫 
  • 『経営の匠・その生き方 「企業新世代」を拓く経営テクノクラートの実像』サンケイ出版 1980
  • 『続々々・匠の時代』サンケイ出版 1980
  • 『続々続々・匠の時代』サンケイ出版 1980
  • 『新・匠の時代1(「生命の海」を拓く)』サンケイ出版 1980 のち文春文庫 
  • 『ニッポン地球時代 匠・海外篇』1-3 日本経済新聞社 1981-82
  • 『幻想の「技術一流国」ニッポン』プレジデント社 1982 のち新潮文庫、「「技術一流国」ニッポンの神話」現代教養文庫 
  • 『新・匠の時代2(インターフェロンから核融合まで)』サンケイ出版 1982
  • 『社長辞典』サンケイ出版 1983
  • 『日本エネルギー戦争の現場』講談社 1984
  • 『考える一族 カシオ四兄弟・先端技術の航跡』新潮社 1985 のち文庫、「考える一族 : カシオ四兄弟・先端技術の航跡」岩波現代文庫  
  • 『「重厚長大」の復権 5年後,日本の企業はどうなっているか』講談社 1985 「「重厚長大」産業の復権」文庫
  • 『原発への警鐘』講談社文庫 1986
  • 『ガンを告げる瞬間』新潮社 1987 のち講談社文庫 
  • 『「手法革命」の時代』中央公論社 1987 のち講談社文庫
  • 『新・匠の時代』2 文芸春秋 1988
  • 『ジャパン・システム激変の新図式 突然変わり出した不可欠構造』青春出版社プレイブックス 1988
  • 『退き際の研究 企業内権力の移転構造』日本経済新聞社 1989 のち講談社文庫 
  • 『尊敬おく能わざる企業』光文社カッパ・ホームス 1991
  • 『「革新」已む能わざる企業』光文社カッパ・ホームス 1992
  • 『隗より始めよ 日本企業の生存条件』光文社カッパ・ホームス 1993
  • 『破綻か再生か 日本経済への緊急提言』文芸春秋 1994 のち講談社文庫 
  • 『共生の大地 新しい経済がはじまる』岩波新書 1995
  • 内橋克人同時代への発言』全8巻 岩波書店、1998-99
1 日本改革論の虚実
2 「消尽の世紀」の涯に
3 実の技術・虚の技術
4 企業社会再生論
5 環境知性の時代
6 周縁の条理
7 九〇年代不況の帰結
8 多元的経済社会のヴィジョン
  • 『同時代の読み方 私の読書術』岩波書店 2000
  • 『不安社会を生きる』文藝春秋 2000 のち文庫 
  • 『浪費なき成長 新しい経済の起点』光文社 2000
  • 『<節度の経済学>の時代 市場競争至上主義を超えて』朝日新聞社 2003 のち文庫 
  • 『もうひとつの日本は可能だ』光文社 2003 のち文春文庫 
  • 『「共生経済」が始まる 競争原理を超えて』日本放送出版協会 NHK人間講座 2005
  • 『悪夢のサイクル ネオリベラリズム循環』文藝春秋 2006 のち文庫 
  • 『共生経済が始まる 世界恐慌を生き抜く道』朝日新聞出版 2009 のち文庫 
  • 『日本の原発、どこで間違えたのか』朝日新聞出版 2011
  • 『荒野渺茫』第1-2部 岩波書店 2013

共編著[編集]

  • 『KKニッポンを射る』佐高信共著 講談社 1986 「「日本自讃論」では未来は読めない」文庫、「「日本株式会社」批判」社会思想社現代教養文庫
  • 『「会社本位主義」をどう超える 新しい企業社会のパラダイム』佐高信、奥村宏共著 東洋経済新報社 1992
  • 『日本会社原論』全6巻 佐高信、奥村宏共編 岩波書店 1994
  • 『規制緩和という悪夢』グループ二〇〇一共著 文芸春秋 1995 のち文庫 
  • 『大震災復興への警鐘』鎌田慧共著 岩波書店 同時代ライブラリー 1995
  • 『経済学は誰のためにあるのか 市場原理至上主義批判』編 岩波書店 1997
  • 『現代日本文化論4 仕事の創造』河合隼雄共同編集 岩波書店 1997
  • 『規制緩和 何をもたらすか』ジェーン・ケルシー、大脇雅子中野麻美共著 岩波ブックレット 1998
  • 斎藤茂男 ジャーナリズムの可能性』筑紫哲也,原寿雄共編 共同通信社 2001
  • 『誰のための改革か』編 岩波書店 2002
  • 『「人間復興」の経済を目指して』城山三郎共著 朝日新聞社 2002 のち文庫 
  • 『ラテン・アメリカは警告する 「構造改革」日本の未来』佐野誠共編 新評論 2005 シリーズ<「失われた10年」を超えて-ラテン・アメリカの教訓>
  • 『城山三郎命の旅』佐高信共編 講談社 2007
  • 『始まっている未来 新しい経済学は可能か』宇沢弘文共著 岩波書店 2009
  • 『大震災のなかで 私たちは何をすべきか』編 岩波新書 2011
  • 『取り返しのつかないものを、取り返すために 大震災と井上ひさし大江健三郎,なだいなだ,小森陽一共著 岩波ブックレット 2011