フリーター

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フリーターとは、派遣社員契約社員パートタイマーなどの立場で働く非正規雇用労働者のうち、15歳から34歳の若年層の労働者を指す言葉である。ただし、学生主婦はこの定義には含まれない。フリーターとは英語の「フリー(自由)」とドイツ語の「アルバイター(労働者)」を組み合わせたものである[1]

概要[編集]

フリーターという言葉が生まれたのは1980年代後半とされ、俳優志望や世界一周をするなどといった夢や希望を叶えるために、あえて正社員として会社に就職するのではなく、必要な生活費や旅費を稼ぐためにアルバイトをする者を指す言葉であった[1]。当時はそういう人間も少なくなく、むしろ積極的にフリーターと言う立場を選ぶことも多かったといえる[1]。ところが1990年代に入ってバブル景気の崩壊により景気が悪くなると、日本では正社員の雇用を控えることで人件費を抑えようとする会社が増加し、その結果として正社員になれず、仕方なくフリーターとして働いている若年層の労働者が増加している傾向がある[1]

ひとたびフリーターの身分となると、その後の就職においても重大な不利益を負う可能性が高い。日本ではノンキャリア採用が通用するのは20代前半までであり(25歳までが一般的)、大抵、20代半ばを過ぎれば職務経歴書の提出が求められる。しかし、厚生労働省のフリーターの定義は「働く意思を持つ無職」であり、フリーターをやっていた期間は職務経歴書上は“無職扱い”になってしまう。

無職の期間が長い者はマイナス評価される上に、正規雇用の経験がない者は、白紙の職務経歴書と職歴欄が空白の履歴書しか用意する事ができないために、書類選考の段階で落とされてしまうのである。

しかし、企業によっては、フルタイムの派遣労働やスキルを必要とするアルバイトならば、職歴として評価する所も存在する。最も不利なのは、複数のアルバイトを掛け持ったり、登録派遣で複数の派遣先を転々としてきたがために、自身の非正規の職歴すら正確に把握できなくなってしまっているフリーターである。

また、2010年代の日本の企業において、人事や面接を担当する者は、多くの場合、バブル経済全勢の恵まれた時期にさほどの苦労もなく就職できた中高年や、現役で就職を決めた(挫折経験を知らない)者たちである。彼らは一般に「フリーター=“バブル期のフリーター”」「“学生時代に就職活動をしていなかった”」などとイメージしており、フリーターに対する偏見が強く、フリーター経験のある者を社会からの逸脱者として「好きでなった」「長続きしない」「問題を起こす」などと決め付けて、マイナス評価する傾向が強い。

語源[編集]

1985年(昭和60年)5月、東京都内で音楽分野においてライブ活動していたシンガーソングライター長久保徹が初めて使用したとされていたが、1983年にCMディレクターの佐藤典之が現在の職に就く以前、京都市内のパブ・倫敦亭でアルバイト時代に客から仕事を聞かれた際、「フリーのアルバイターです」と自己紹介していたことが語源であるとする説もある。

1985年(昭和60年)6月、公式にフリーアルバイターが発表されたのは、中島みゆきチャゲ&飛鳥など多数の著名アーティストを輩出したヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)の「渋谷エピキュラス大会」の際で、エントリーした長久保徹はプロフィール欄に記したフリーアルバイターについて司会者にインタビューされ、「激動の幕末に脱藩し夢のために生き続けた『坂本龍馬』のように『就職』というレールから外れても自分の夢を実現するために頑張り続けるための『仮の職業』」と答えると会場が沸き、会場の観客や同コンテスト審査員だった音楽家・村田博之、作詞家・松井五郎らを介して、マスコミファッション界へ広がっていった。

1986年(昭和61年)3月31日朝日新聞に「フリーアルバイター」という造語が紹介されたのを機に各新聞社が取り上げ全国的に流行語となっていく。

フリーターの増加[編集]

バブル期フリーターの小発生[編集]

1980年代後半のバブル経済の時期、コンビニ等のチェーン店の発達や建設ラッシュに伴う建設業界の人手不足によって、それまではマイナーな雇用形態であったアルバイトの求人が急増し始めた。アルバイトマガジンが発行され、若者の間でアルバイトが身近なものとなった。空前の好景気のお陰で高給のアルバイトも多く、就職せずとも生計を立てる事すら可能なほどだった。こうして自分の好きな時間帯に働く事ができる“新しい雇用形態”として、学生のみならず一部の社会人の間でも重宝された。[2]

また、1986年7月1日に労働者派遣法(通訳、航空機操縦士、プログラマーなど専門技術を持つ者のみ対象)が施行されると、一つの会社に所属するのではなく、不特定多数の会社と契約を結んで生きるフリーエージェントのような生き方をする若者が発生した。

これが当初のフリーターの発生経緯であり、初めの頃のフリーターは“不安定な雇用”ではなかった。フリーターの状況が一変したのは、アルバイトの賃金が急速に落ち込んだバブル経済崩壊後である。

氷河期フリーターの大発生[編集]

バブル経済が崩壊すると、アルバイトの賃金は急速に落ち込み、同時に企業の多くは正社員の雇用自体も抑制し始めた。1993年以降、新卒の求人倍率は低下し、企業側の新卒を厳選する態度は厳しくなった[3]

そのため、新卒の求人倍率が一倍以上に保たれていながら、学生たちは数十社回って内定が一つ取れるか取れないかという状況へと陥った。いわゆる就職氷河期の到来である。2000~2005年の超氷河期と呼ばれた時期は酷く、大卒ですら、半数近くが就職すらできないという状態であった。[4]

さらに、ハローワークの中途採用枠も、求職者数(就職希望者)に対して求人数(雇用口)が半分近く足りない状況であったため、新卒の段階で就職できなかった者の何割かは、フリーターになる以外に選択肢のない状況へと追いやられた。これが後に深刻な社会問題となる“氷河期フリーター”の発生経緯である。

フリーターの増加に対する内閣府の見解[編集]

内閣府の平成18年度国民生活白書の見解[5]でも、企業側の要因がフリーター増加に大きな影響を及ぼしているとされる。

企業はバブル崩壊後の景気低迷期に、正社員の採用を抑え、労働力非正規雇用に置き換えることによって人件費削減を図った。また、正社員についても、新卒よりも訓練する必要が無く、即戦力となる中途採用を増やす動きがあった。

そのため、正規雇用での採用を希望していた若者の多くが、新卒時に正社員になることができなかった。また、産業構造の変化等により、業種ごとの求人数が変化し、雇用のミスマッチを誘発することとなった。また、企業の採用態度が新卒一括採用に偏っているため、一度新採で正社員になれなかった者は正社員になりづらいことも指摘されている。また企業側の言い分としては学生の質が低下し、企業が求める水準まで達していないとするものがある。

ほかには大学等学校が進路指導等の就職支援のフォローが十分でないことも指摘されている。

一致しないマスコミの見解とフリーターの主張[編集]

上記白書の分析以外では若者の意識も変化しているという意見がある。若者がフリーターとなる動機として「希望する就職先に決まらなければ、就職しなくともよい」「他にやりたいことがあるから」といったものや「自分に合う仕事を見つけるためにフリーターになった」というものがある[6]

フリーターらによって組織された氷河期世代ユニオン等の団体や著名な支援者らはそのような主張は行っておらず、彼らが論じているのは、前述の[平成18年度国民生活白書][7]で指摘されている問題である。

日下公人の見解[編集]

経済思想家日下公人は著書『あと三年で、世界は江戸になる』(ビジネス社)において、フリーター・ニートは江戸時代でいえば「風流人」であるとし、労働によって時間を奪われるよりも人生の充実を優先する若者が増えている事がフリーターの増加に繋がっているとしている。

湯浅誠による総論[編集]

湯浅誠はフリーターについて次の通り推測している。曰く、フリーター層増加のきっかけはバブル経済破綻と構造不況、それにともなう労働市場の緊縮によって、若年層が労働意欲をそがれ、かつ旧来の労働市場に魅力を感じなくなったことが大きい。他の構造的要因としては、大量消費社会の成熟にともない、産業構造が変容し、旧来の労働倫理よりも消費生活を基軸とした価値観が成立したことが考えられる。またフリーター層の大量発生によって労働市場の可塑化がすすむとともに、例えば年齢を就職条件とする表記は不当な差別にあたるとして平成19年雇用対策法も改正された。とはいえ非正規労働者への不当な待遇はいまだ存在しており、 EU諸国の政策と比較すると、失業者対策、再雇用政策などの面において日本政府の対応の遅れが著しい。また、他の遠因としては日本の労働運動の性質も挙げられる。北欧などではネオ・コーポラティズムの運動などによって同一労働同一賃金の原則などが導入される一方、日本では労働運動が「正規労働者」の既得権益を保守するにとどまり、若年層等労働市場への新規参入を阻むことにもなっている[8]

バブル期フリーターと氷河期フリーター[編集]

バブル期フリーターと氷河期フリーターの最大の違いは、前者は自ら就職を拒否してフリーターを選んだのに対し、後者は就職を希望しながらフリーターにならざるを得なかったという点である。[9]

バブル期はアルバイトでも高収入であり、正社員にならずとも生活には困らなかったのである。そして当時は、アイドルブームや尾崎豊らが広めた自由な生き方に触発され、フリーエージェントのような生き方やアイドル・作家・ミュージシャン等の職を希望する若者が多く、彼らにとって、その夢を実現する為にはフリーターという雇用形態が都合良かったのである。

対して、氷河期はアルバイトは低賃金であり、フリーターは正社員以上に働かなければ生活は困難である。にも関わらず、氷河期にフリーターが発生した原因は、単に就職難の時代が十数年も続いたためである。

日本の就職市場は新規卒業予定者を対象とした“新卒市場”と、キャリア採用を対象としたハローワーク等の“中途市場”の2つに分かれる。

従来、若者は最初に“新卒市場”で就職口を得、再就職や転職の際は、ハローワークの“中途市場”で自身の職歴に見合った仕事を紹介してもらうという流れが主流であった。(詳細は、就職氷河期の「日本の雇用史」の項を参照)

しかし、バブル崩壊以降、このシステムは崩壊した。

新卒市場には、求人は募集しても採用者を出さない企業が増加し、毎年、希望職はおろか就職自体が適わない若者が発生し続ける。

中途市場の方は、1993~2005年の期間は、求人数(就職口)が求職者数(就職希望者数)を下回り続けていた為に、絶対に何割かの求職者は仕事に有り付けない状況が発生し続けたのである。(特に、中高年、主婦、職歴の無い若者は、不利な状況におかれていた)

そのため、新卒市場でも中途市場でも安定した仕事に有り付けず、フリーターにならざるを得ない若者が誕生したのである。また、新卒市場で就職に成功した者でも、不況のために希望職に就けなかったという不満から離職し、その後、再就職に失敗してフリーターにならざるを得なかった者も多かったのである。

これが氷河期フリーターであり、バブル期フリーターとは全く別物である。

フリーターは自由なのか[編集]

自由と称した自分勝手な行動[編集]

フリーターは自由であるとされるが、自由と乱雑を履き違えたフリーターの問題行動が非常に目立つ。人間は、既存の分野の知識体系を学ぶことで、知識体系を学んだ分野に自身の行動範囲を拡大させることが出来る。しかし、大多数のフリーターは目指す分野も無く、知識体系も学ばず、日常的に乱雑な行動を繰り返すだけである。結果として、既存の社会構造から逸脱して享楽的な消費行動に明け暮れ、自らの生活の乱雑さを増加させることで、職業選択の自由度を大きく下げて社会に対して手も足も出なくなり、自らの首を締めている。一般的には、このような享楽的なフリーターが、生活保護受給者に転落して社会保障を圧迫することで、社会に負荷を掛ける可能性が高い点が問題視されている。

日本の社会構造から大きく逸脱するフリーター[編集]

日本の社会常識として、各個人の生活は、他者に貢献をすることで、自らに相応の見返りが生じることで成り立つものとされる。また、社会は仕事を分野で区分して各個人に配分する分割統治により、各個人を分野に特化させて集中力を高め、その成果を束ねることで全体として高度な機能を成立させている。それにより、各個人の自由な行動は制約される。その社会常識を持つ大勢の者から、「常に自らの事情(自分のやりたいこと・ワークライフバランス・いじめによる精神状態の悪化・就職活動における実力不足等)を優先して参入しやすい不安定な仕事を選ぶことで、市場競争から逃げてしまい、自らの市場価値を下げることで収入が少なくなり、生涯通して生活に困窮する、極めて近眼視的な行動をする者」に対する揶揄も込めた呼び名であると認識されている。雇用に関する議論では、反面教師として扱われ、困窮しても自業自得であって存在価値が全く無いとされる事が多い。また、そのような定義であるため、ビジネスが軌道に乗らない段階の起業家も、アルバイトで生計を立てるフリーターと同格に扱われる事が多い。

フリーターの発想は真に有意義な発想であるか?[編集]

また、「フリーターは自由な発想が得意」と言う主張に対する非常に強い批判が存在する。代表的な批判として、各業界の現状に合わせた提案が出来ないことが挙げられる。フリーターの提案は、実現できれば理想的ではあるが、斬新さを重視し過ぎていて、業界の現状を考慮しない極めて非現実的な内容である事が多い。それとは逆に、フリーターの提案内容自体が抽象的には車輪の再発明に過ぎず、また非常に漠然としていて稚拙でもあり、既存の製品・サービスと比較しても新規性・内容の質共に遥かに及ばないことも多い。一見、自由な発想から来る有望な提案に見えて、現実的には全く意味をなさない提案をしてしまう原因としては、そもそも大多数のフリーター自身に纏まった業界経験が無く、勤勉な者も少ないという事実から、非常に浅い知識・思考しか持てず、近眼視的な発想(ネットの普及により成功者インタビューが目に触れやすくなったため、自分でも簡単に出来ると勘違いし、そのような成功者の発言の雰囲気を表面的になぞっただけで、実質的には具体性・実効性のない提案)しか出来ていないのではないかと推察できる。そのため、フリーター経験の無い正社員として勤務する社会人からは、全ての側面において幼稚で実力が期待できず、全く信用出来ない人間達であると評価されている。

企業からのフリーターに対する評価[編集]

2010年代の日本の企業において、人事や面接を担当する者は、多くの場合、バブル経済全勢の恵まれた時期にさほどの苦労もなく就職できた中高年や、現役で就職を決めた(挫折経験を知らない)者たちである。彼らは一般に「フリーター=“バブル期のフリーター”」「“学生時代に就職活動をしていなかった”」などとイメージしており、フリーターに対する偏見が強く、フリーター経験のある者を社会からの逸脱者として「好きでなった」「長続きしない」「問題を起こす」などと決め付けて、マイナス評価する傾向が強い。事実、厚生労働省が発表した2004年度の「雇用管理調査」では[10]、フリーター経験をプラス評価する企業は3.6%に過ぎず、逆にマイナス評価する企業は30.3%である事が分かっている。過去のフリーターブームや就職氷河期でフリーターを選んで享楽的に過ごした者が、現在では将来の収入の見通しが全く立たず困窮した生活を強いられている事実がある。そういった負の実績のみが認識されているため、フリーターの社会的信用の獲得は難しいのが現状である。

少なくとも上述のような重大な欠陥を抱えている可能性があるは無視できないため、フリーターを擁護することもまた難しいものとなる。フリーターの現実の姿としては、日本の社会構造の存在理由を理解しないままに自身が行う自分勝手で乱雑な行動により、本来ならば自身の行動の自由度の向上を目指していたはずが、有意義に行動するために必要な社会経験が就職を避けることで不足してしまい、社会の現状に沿った提案が出来なくなり、自身の行動に対する他者の協力を得ることも難しくなることで、自身の行動の自由度を逆に大きく下げてしまっている自業自得な人間である。

対策[編集]

キャリア育成支援[編集]

職場体験、トライアルウィークなどとも言われる。主に中学2年生を対象とした就業体験プログラム。地元の企業と連携し、1日~5日間、生徒は学校を離れ、様々な仕事を実体験する。なお2004年の公立中学校の実施率は89.7%となっている。

フリーター予防授業[編集]

鳥居徹也#「キャラバン先生」としての活動」も参照

文部科学省委託事業として、小・中・高校の主に総合的な学習の時間などで「フリーター・ニートになる前に受けたい授業」と題するワークショップ2007年4月まで実施されていた。その内容は主に「フリーターやニートになるのは本人の甘えや努力不足が原因であるから、血の滲む思いをしてでも正社員の座を勝ち取れ」というものであった。しかし、そもそも1990年代初頭のバブル経済崩壊以降に始まった企業側の採用抑制・採用基準の引き上げがフリーターやニートを大量に生み出した主な原因である事情を考慮すると、このような内容の授業は不適切であるとする指摘もあり、その後、文部科学省の委託事業から除外されている(ただし、助成金は付与されなくなったものの一部の学校では継続されている)。

番外・その他のフリーター[編集]

不況・リストラ型フリーター[編集]

簡単にいうと、非正規で食いつなぐ、職を失った元正社員および店を畳んだ元自営業者である。

発生経緯[編集]

1991年のバブル崩壊以降の長期不況、および1997年のアジア通貨危機の煽りを受けた大不況、企業の倒産が相次いだ。倒産を免れた企業でも、多くの管理職が責任を取って辞職し、高給取りの中高年層の正社員が大量リストラされた。

また、バブル崩壊以降、大手・中堅企業の多くが人件費削減の為に正社員を余り採らなくなったが為に低所得層が増大[11]し、国内市場が冷え込み、店を畳まざる得ない自営業者が増えた。

この失業者と離職者の内、再就職で不利となる年齢(30代半ば)であったが為に、非正規で食いつなぐ事を余儀なくされた人々が、不況・リストラ型フリーターである。

就職で不利になる理由[編集]

一般的に、ノンキャリア採用が通用するのは20代半ばまでだが、キャリア採用とて歓迎されるのは30代半ばまでである。

30代半ば以上の求職者は、“人件費の問題”と“習慣上の問題”がある為、キャリアや有資格があっても歓迎されない傾向にある。

“人件費の問題”とは、初任給を年齢に応じて配慮する企業の場合、30代半ば以上の人材は人件費がかさんでしまう為だ。

“習慣上の問題”とは、目上を敬う習慣がある日本では、若い上司にとって、年上の部下は何かと気を使わねばならず扱いにくい為だ。

ゆえに、30代半ばを過ぎた求職者は、“氷河期フリーター”同様、就職では不利な状況におかれている。

また、2000年以降、世の中が急速にIT化された為に、彼らが正社員時代(アナログ時代)に習得したスキルの多くが役に立たなくなっており、これも就職で不利になる要因の一つとなっている。(「手書きの経理は出来るがエクセルは扱えない」など)

若年層に広まる誤解と差別意識[編集]

昨今、中高年の非正社員がメディアで取り上げられる度に、ネット上では「40代、50代にもなってバイトなんて、どんだけ無能なんだよ(笑)」と、バカにする光景が多々見られる。

しかし、中高年の非正社員が“初めから非正社員”だったなどという事は有り得ない話である。 50代の非正社員が若かった頃はアルバイトはマイナーな雇用形態であり、アルバイトマガジンなども存在しなかった。派遣制度も1999年に一般に解禁されたばかりだ。

ゆえに、中高年の非正社員はほぼ百%“離職・失業した元正社員”である。

しかし、バブル崩壊やアジア通貨危機の際に、再就職が困難な中高年が大量リストラされた事を知らない世代(20代前半かそれ以下の世代)が増えている為、このような誤解と差別が広がり続けている。

深刻な問題点[編集]

不況・リストラ型フリーターは“元正社員”である為に、安定した生活を送っていた頃に結婚して家庭を持っている者が多い。

また、自身が中高年である為に、子供が学費がかさむ時期(大学進学など)を迎えている者や両親が高齢化して介護を必要としている者も多い。

ゆえに、その多くが氷河期フリーター以上に苦しい生活を送っているが、内閣府は彼らをフリーターの定義から外しており、積極的な救済対策は行われていない現状である。

退職型フリーター[編集]

簡単にいうと、定年退職後も勤労意欲が衰えないが為に働き続けている高齢の労働者である。

非正規で働いているのは、年齢的に正規の求人が皆無に等しい為というよりも、引退した身である為に融通の効くパートタイムを故意に選択しているケースがほとんどである。

会社を退職後、今度は契約社員として同じ会社に在籍しなおし、OBとして働き続けるケースもよく見られる。

これも、不況・リストラ型フリーター同様、内閣府のフリーターの定義には当てはまらない。

中卒型フリーター[編集]

家庭事情で高校に進学できなかった為に、あるいはイジメ等で高校中退を余儀なくされた為に、最終学歴が中学卒になってしまった者である。

日本では、戦後間もない頃までは中卒で就職するのが主流であった。(世界のホンダを築き上げた本田宗一郎も稀代の政治家・田中角栄も最終学歴は高小(高等小学校の略。現在の中学に相当)卒である)

しかし、学歴志向の高まりにより中卒で学業を終える者は少なくなり、それと共に中卒を対象とする求人は減り続けた。


現在の日本では、中卒はノンキャリア採用が通用する年齢であろうが、好景気の年に卒業していようが、安定した求人に有り付く事は困難であり、フリーターとして生きる事を余儀なくされるケースが多い。

エリート型フリーター[編集]

プログラマー、通訳、航空機操縦士など、専門技術を持つ非正規労働者である。

俗に「技術屋」などと呼ばれ、高いスキルを保有している。

1986年7月1日に施行された労働者派遣法以降に発生した雇用形態であり、1999年に派遣制度が一般に解禁されるまでは、派遣社員といえば彼らを指していた。

複数の企業と契約を結んでいる者もおり、優れた者は高年収である。

脚注[編集]

  1. a b c d 『知っておきたい! 働く時のルールと権利』籏智優子著。2010年4月。P24
  2. 特に1980年代はアイドル全盛期であり、ミュージシャンや俳優に憧れる若者が多く、彼らは芸能人を目指し、就職せずにアルバイトで生計を立てる者が多かった。
  3. バブル期は新卒でさえあれば面接一本だけで大手に入れた状況が一変し、求人は出しても採用者を出さない企業が増え始めた。
  4. http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/20/017.xls
  5. 平成18年度国民生活白書
  6. 2006年12月1日付 読売新聞『フリーター選択の理由は「夢追求」…5年前に比べ増
  7. 平成18年度国民生活白書
  8. 湯浅誠『反貧困ー「すべり台」社会からの脱出』岩波新書、2008
  9. 2003年度の内閣府「若年層の意識実態調査」により、氷河期フリーターの過半数(男性は90.9%以上)が就職を希望している事が分かっている。逆に、フリーターを続けたいと希望している者は8%に過ぎなかった。「意識」の項に出典へのリンク先あり
  10. ―平成16年雇用管理調査結果の概況― フリーターについて
  11. 35歳平均年収300万円台 12年で200万円減少に衝撃 - Ameba News [アメーバニュース]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

フリーターを題材にした作品[編集]

外部リンク[編集]