正社員
正社員(せいしゃいん)とは、期間の定めがない労働契約を会社と結び、長期間雇用されることを前提として働く労働者のことである[1]。といっても、「民法上、法人と雇傭契約を結んだ商業商業人」でしかないのだが。
概要[編集]
正社員の特徴は、雇用される期間に制限が無く、定年まで働き続けることができる[1]。また、会社側も余程の理由が無い限りは正社員を解雇することはできないとされている[1]。そのため正社員は身分的に安定していて、結婚して子供を育てたり住宅ローンを組んで家を買ったりする将来の展望がたてやすい[1]。また、働く期間が長いため、仕事に集中できるし、会社は正社員に対して社内教育や研修を積極的に行なうので、スキルアップが容易で大きなプロジェクトややりがいのある仕事を任されて課長や部長などの管理職へ出世するチャンスも拡大する[1]。また会社の規模により違いがあるが、賞与(ボーナス)や福利厚生(家賃補助や健康診断の実施)などが受けられるケースも多い[2]。
ただし正社員であるぶん、仕事への責任も重い[2]。得意でない仕事や興味の無い仕事であっても、割り当てられればやり遂げなければ成らないし、出張や残業にも応じる必要がある[2]。転勤が命じられて家族と別れて単身赴任する場合もある[2]。
なお、雇用契約を結んでいる企業が倒産した場合は、従業員は第一債権者なので、権利は主張できる。ところが倒産するような会社のほとんどは債務超過なので、本来の社員(出資者あるいは株主)と共倒れになることもある。
成果主義[編集]
20世紀の正社員達は年功序列に基づいた地位や賃金の上昇に手厚く保護されることが多かったが、21世紀に入ると年功序列制度は次第に崩壊してゆく。これに変わって仕事の成果を給料や地位の昇進・昇格に反映させる成果主義(せいかしゅぎ)のシステムを導入する会社が増加していった[2]。ただ成果主義の定義は曖昧な部分も決して少なくなく、頑張った人が報われるとされている一方で、高い給料を貰って出世できるのはごく一部であり、大半の正社員はキャリアを積んでも給料も地位もそれほど上がっていないといわれている[2]。そのため、成果主義の導入はかえって正社員であっても収入が安定しないという事態が含まれている[2]。
正社員の減少について[編集]
21世紀に入るとアルバイトなどの非正規社員を雇用するケースが増加し、そのため正社員の割合が大幅に減少する事態となっている[2]。平成2年(1990年)には全体の74パーセントだった正社員の割合が、平成19年(2007年)には67パーセントに低下していることが厚生労働省の調査で明らかになっている[2]。これは会社側が非正規社員を大量雇用することで人件費を減らそうとしていることが主な原因とされている[3]。だがこのため、一人当たりの正社員が抱える仕事の量が増加し、過重労働で健康を損なったり退職を余儀なくされる正社員が増加したとする指摘もある[3]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 季刊 政策・経営研究「特集:日本の働き方〜『正社員』の行方〜」(archive) 2010年 , vol.11 - 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
- 統計局ホームページ/労働力調査特別調査
- 統計局ホームページ/労働力調査
- 図8 雇用形態別雇用者数/早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
- 図9 各年齢階級の正規、非正規別雇用者数/早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)