スピルオーバー

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スピルオーバーとは、行政が放送エリアを免許で許可するテレビやラジオにおいて、免許で設定されたエリアの外まで放送電波が届いてしまうことである。ここでは総務省管轄の日本の地上波放送について記述する。

概要[編集]

スピルオーバー発生の原因としては

  • 放送エリア内に満遍なく電波を届ける目的で
    • 標高の高い場所に送信所を建設する
    • 送信出力と実行放射電力を高出力化する
    • 以上の2要素と地形的な要因

といったものが挙げられる。

スピルオーバーによって受信が可能な放送局は地元の放送局と同レベルの設備でも受信できる場合、高性能アンテナを使用しなければならない場合とに分かれる。

テレビにおける事例[編集]

日本におけるテレビ草創期は電波資源の制約[注 1]から、都道府県単位での放送エリアの免許が出せない場合、都市圏単位での割り当てが行われた[注 2]
スピルオーバーという概念が登場したのは、UHF帯域の周波数が実用化され、放送エリアが関東、中京、関西広域圏以外は都道府県毎に放送法に定める放送対象区域単位で免許されるようになってからである。また、衛星放送でも日本国外でのスピルオーバー視聴ができないように出力調整がされている。

放送エリアが都道府県単位で区分されるようになった後も、地形的・経済的繋がりといった要因や地元局にない系列を視聴したいという需要などからスピルオーバーによる視聴が見られ、電波で直接受信が出来なくともケーブルテレビ局のサービスエリアで受信が出来る区域外局をケーブルテレビが再放送する事例も多く存在した。

しかし地上デジタルテレビ放送の開始はスピルオーバーによる視聴習慣を大きく変えた。
放送対象区域外方向の出力抑制といった送信パターンの厳格化[注 3]、物理チャンネル被せなどによって、スピルオーバー潰しを推し進めた地元局が視聴者から要らぬ憎しみを持たれたり、地元に系列がない局や深夜アニメなど系列があっても地元外でしか放送されない番組を中心に区域外視聴をし難くさせる事例が全国で相次ぎ、視聴者から不満が募ったりと全員が全員納得したという事例ばかりとは言えない状態である[注 4]

ケーブルテレビ(CATV)でも区域外局の再放送が中止されて加入者数が減少したりしたが、大分県のCATVのように福岡のテレビの再放送を求めて裁定申請に持ち込んで再放送を実現させた例もある。

チャンネル被せによるスピルオーバー潰しの一例[編集]

ラジオのスピルオーバー[編集]

中波放送(AMラジオ)は、アース引きが必要で送信所の建設に非常に広い土地を必要とする性質や帯域が限られる以上、どうしても大出力の送信所数箇所でエリア全体をカバーするというケースが多い[注 6]。更に夜間になると電離層反射で超遠方まで電波が届くため、AMラジオはスピルオーバーが起きやすい。

一方FMラジオは、山頂設置といった方法で送信所に広い土地を必要としないし、電離層反射もAMラジオ程は起きない。そのため程々の出力の親局と中継局を整備する形が大半で、スポラディックE層発生時以外はスピルオーバーの規模は比較的小さい。

もっとも、短波放送のようにアマチュア無線でスピルオーバー交信が行われたのをヒントに国外への放送が実施されたケースもある。

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  1. VHF帯域の12チャンネルのみ、隣り合うチャンネルは3 - 4ch間を除いて近接使用不可。
  2. 関東、中京、関西広域圏以外では、関門都市圏や有明都市圏(熊本・佐賀)など。
  3. 他方アナログでは茨城ローカル放送ができなかったNHK水戸放送局でローカル放送が実施されるといったプラス面もある。
  4. もっとも奈良県栃原中継局のように地元局に悪影響してリパックした結果、サンテレビのスピルオーバー潰しが解消された事例もある。
  5. 東海テレビ放送が放送権を手放したプロ野球ナイター中継を三重テレビが行うため、スピルオーバー潰しを被る愛知県東三河での視聴ニーズが高いにも関わらず、アナログ時代からチャンネル被せが行われた。
  6. 但し、韓国のように1MWの出力の送信所は無く、最大でも500kWかつテレビに影響した放送対象区域の考えで5kWの送信所が多く、岩手県のように県域面積に比して出力僅少の地域もある。