アマチュア無線

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アマチュア無線(Ham Radio)とは、個人的な無線技術への興味によって行う無線通信であり、無線通信によるコミュニケーションのほか、無線通信技術への興味によって行われる通信とされている[1]。アマチュア無線の用途に使用される無線機をアマチュア無線機という。

概要[編集]

「アマチュア」の名のとおり、金銭上の利益のためではなく、無線通信への個人的な興味から行う無線通信全般を指すものである。

アマチュア無線局はその出力と周波数(バンド)が多岐にわたっており、簡易無線局や特小無線などのライセンスフリーラジオとは異なり無線局・操作する者のどちらにも免許が必要である。

日本のみならず世界中に愛好者が存在しており、同じ地方や国内の通信にとどまらず国外との通信を行うことも珍しくない。

多く親しまれているのは音声通信が多く、モールス信号のように信号による交信も盛んである。

一方でインターネット携帯電話の発達により、コミュニケーション目的で新規開局する人は減っているとされ、業界人口の減少に歯止めがかかっていない状況である。

無線機[編集]

無線機は主に「利用形態」「出力(空中線電力)」「電波形式」などによって分けられることが多い。

利用形態による分類は特小トランシーバーのような「ハンディ機」、自動車などに搭載し、視認性と操作性がよく、機能を限定した「モービル機」、自宅などに設置し、機能・操作性に優れた「固定機」が主流である。固定機とハンディ機の中間のような「ポータブル機」も存在しており、フィールドでの運用に重宝される。

出力による分類は従事者免許とほぼリンクしており、4級で使用できる20W以下のもの、3級から使用できる50W以下のもの、2級以上で使用できる200W以下のハイパワー機である[注 1]

電波形式によるものとしてはハンディ機に多い「FM専用機」、固定機などのAMやFMは当然としてCW、SSBやRTTYなどすべての形式が可能な「オールモード機」などがある。変わり種としてはCW専用機の存在も確認されている。

かつてはFMハンディ機一つあればだれかと交信できたといわれているが、現在は都市部などの人の多い場所かイベントのときのみである。そのため、最初から固定機を勧められることも多い。

楽しみ方[編集]

音声通信
もっともポピュラーな通信である。これを「ラグチュー」といい、基本的な楽しみ方でもある。
APRS
自分の位置やメッセージなどをビーコンとして発信し、どのルートでゲート局まで到達したかを確認したり、近くにいるユーザと交信するために使用するなど、能動的に楽しむ手法である。気象ビーコンなどを発信している人もいる。
信号通信
モールス信号による通信(CW)を楽しんだり、コンピュータと無線機を利用して文字の伝送、つまりチャットで通信するなどの楽しみ方である。特にCWは遠距離通信で使われることも多く、信号通信としてはポピュラーなものである。
フォックスハンティング
ビーコンを発信する無線機を受信機を使って探し出す競技である。単に電波を受信すれば見つかるものではなく、電波がどのように伝わるのか、どのようにして位置を特定するのかなど、無線技術と合わせて測位技術も要求される。
遠距離受信
DX(Distant)と略されることもある。主に海外との通信を指すものであり、短波中波を用いた交信が行われている。遠方との交信だけでなく、対象国の言語技能も必要であるため難易度は高い。
自然現象を利用した通信
稀に起きる自然現象を利用したものとして電離層を利用した通信は有名である。特にスポラディックE層と呼ばれる電離層は有名であり、アナログテレビ全盛期の時代に異常伝搬の原因にもなった現象を逆に遠距離交信に利用したものである。また、流れ星などが大気圏に突入する際に起こる電離電子を利用した流星バースト通信というものもある。自然現象を利用した通信の極めつけともいえるのはを利用した月面反射通信であり、送信・受信ともに条件が厳しく成功させるのは至難の業であるという。月は出ているか?
限られた条件下で楽しむ
通信距離は単純に無線機の出力が高いほど遠くまで届くとされている。しかし、あえて最低限の出力で通信を試みるのがQRPである。また、個人宅とは違ってアンテナや電気設備に制限のあるアパートマンションでいかに効率よく送受信できるかという「アパマンハム」も存在している。

日本の状況[編集]

かつては趣味の王様とまで言われたアマチュア無線であるが、1995年3月末を境に衰退が続いている。ドローンレースやコロナ禍により愛好家人口が増加した[2]とも言われているが、一時的なものである可能性も多い。2011年の東日本大震災が発生したのち、アマチュア局の減少スピードが鈍化こともあったが、5年後の2016年からは従前のペースで減少し続けていることが分かっている[3]

追随するように無線機メーカー側もラインナップの整理、縮小の傾向が続いている。また、近年ではデジタル変調を用いた無線機がリリースされているがメーカーの囲い込みが顕著である。

一方でかつての日本のアマチュア無線は世界でトップの局数、世界で最低のマナーともいわれており[4]、そういったマナーの悪さに閉口して無線局の更新をせず、閉局するユーザも多かったという。そんな中で残ったユーザーがふるいにかけられた結果、蟲毒のような有様になってしまい謎なルールの横行などで新規人口が寄り付かないのではともいわれている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 正確には周波数帯と出力、電波形式によって許可される出力は異なるが、ここでは省略している

参考[編集]