よみもの:日本でのアマチュア無線をめぐる諸問題

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日本でのアマチュア無線をめぐる諸問題(にっぽんでのアマチュアむせんをめぐるしょもんだい)とは、日本におけるアマチュア無線に関する各種の問題のことである。

概要[編集]

電波はその性質から「人類共通の財産」とされ、ごく微弱なものを除き、電波利用者は全世界の人々より電波を「預かって」利用するものとされている。従って電波利用者に電波(周波数)を割り当て、監理するのは各国主官庁、すなわち国であり、また国同士での調整もなされる。これは電波利用上、最も優遇されているアマチュア無線においても例外ではない。

アマチュア無線とはその各種電波利用、すなわち各種無線業務における「アマチュア業務」のことである。なお電波利用において「アマチュア」とは「私的学究」、「素人」の意味はなく、アマチュア業務を行おうとする者は、各国主官庁の実施する技術・技能認定試験(無線従事者国家試験)に合格し、所定の無線従事者免許を受けた後、各国主官庁にアマチュア業務を行う無線局=「アマチュア局」の開設を申請・許可を受けなければならない。

国際法、すなわち国際電気通信連合憲章に規定する『無線通信規則』においてアマチュア業務とは「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的に無線技術に興味を持ち、正当に許可された者が行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務(第1条第78項)」と定義され、日本でも総務省令電波法施行規則に「金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう」と定義されている。

以下、このように定義されているがゆえに生じる、日本のアマチュア無線の抱える諸問題などについて記述していく。

非常通信の問題[編集]

アマチュア無線の社会的貢献が報道などされるものとして、災害時など非常時の通信が挙げられる。日本での例として、2008年に発生した岩手・宮城内陸地震では、中山間地で孤立した集落や山中の行楽客からのアマチュア無線を活用した通報により、多数の孤立者が迅速に救助され、人的被害の拡大を防いだことなどが挙げられる。携帯電話インターネットが広く普及した今日にあっても、アマチュア無線の災害時対応などについて社会から期待されている。 [1]

国際的にも、アマチュア無線による災害時対応などについて期待されており、2004年に発生したインド洋大津波を契機に国際条約の整備を目指した国際会議が発足し、各国関係主管庁への働きかけが進められている。先進的な法整備がなされている米国では、災害時など非常時の通信を主目的とするアマチュア無線による非営利の公共業務 (public service) を従来のアマチュア業務に加え、これを推進するための関連法を整備している[1]

一方、2011年現在、日本にはアマチュア無線によるpublic serviceに関する明示的な法文はない。非常通信協議会のガイド・マニュアルでもアマチュア無線については多少触れられており、 [2]、また行われる非常通信訓練にアマチュア無線も「協定」により参加している。非常通信協議会は、想定する非常時の通信とは、いつ何時であっても機能するもの、伝送はFAXまたは電報形式での電文、つまり非常時の通信を目的とした別の無線局と考えている部分もある。日本では「非常通信業務」(電波法施行規則第3条第14号)すなわち「非常通信」のみの取扱いを目的としたアマチュア局の開設は、アマチュア局の目的ならびにその開設事由に該当しないため、行うことはできない。 なお、非常通信業務のみの取扱いを目的とした非常局は、1992年以降、免許されていない。

このような米国との差についてはさまざまな意見があるが、日本の場合、戦前・戦中の国家による完全電波掌握の招いた結果が悲惨なものであったことから、その反省より戦後、すなわち現行の電波法関連の法令は、法に定めるもの以外、アマチュア局に限らず、およそ私設の無線局の「通信内容」などについての公権力介入は、法令上は存在するが、併せて実現不可能ともいえる厳しい制限が設けられている。しかし一方で、明示的な法文がないことにより、各アマチュア局免許人の自発的な判断によるものについては「融通が利く」ことから、非常時の通信についてはこれによるのが通例となっている[1]。なおこれはアマチュア局に限らず、他の無線局についても同じである。

電波法第52条では無線局の目的外使用を禁止しているが、この例外が第1号から第6号に規定され、その内の第4号に「「非常通信」とは、地震台風洪水津波、雪害、火災暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。」と定義している。

「非常通信」は略符号無線電信においては「OSO」、無線電話においては「非常(ひじょう)」)を前置することでその交信が最優先扱いとなり、他の無線局は応答する場合を除き、混信妨害となる電波の発射をしてはならない。(無線局運用規則第129条から第137条)

詳細には、アマチュア局が取り扱うことのできる非常時の通信には二つある。すなわち実施判断者による違いで、一つは総務大臣命令により無線局に行わせる「非常の場合の無線通信」(電波法第74条1項)で、要した実費は無線局に国費弁償される。そしてもう一つは無線局免許人の判断で行う「非常通信」(電波法第52条4号)であり、要した経費は無線局の全面自己負担である。両者には実施基準に若干の違いがある(「非常の場合の無線通信」の実施基準には、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるという条件がない。他は「非常通信」と同じ。)が、運用・取扱いは同じであり、いずれも正当な目的外通信として認められる。

しかしながらアマチュア局の場合、「非常の場合の無線通信」は電波法制定以後、命令されたことはなく[3]、現代未曾有の広域大災害となった2011年の東日本大震災においても、中央非常通信協議会長(総務省総合通信基盤局長)から日本アマチュア無線連盟(JARL)への「実施要請」により、「非常通信」が実施されている[4]

その他、電波法第52条第6号及び電波法施行規則第37条第33号による、「人命救助などの急を要する通信」(人命の救助または人の生命・身体・財産に重大な危害を及ぼす犯罪捜査もしくはこれらの現行犯人もしくは被疑者逮捕に関し、急を要する通信(他の電気通信系統によっては当該通信の目的を達する事が困難である場合に限る。)があるが、これはその運用・取扱いについて明文規定はなく、通常運用の範囲によるとされる。(目的外通信として認められない。)

あわせて電波法第52条第1号から第3号には「遭難通信」「緊急通信」「安全通信」の定めがある。これはそれぞれ、船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合、船舶又は航空機が重大かつ急迫の危機に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合、船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するため、とあり、船舶、航空機に限定した通信とされている。従って船舶または航空機にアマチュア局が開設されており、当該船舶や航空機に開設された本来の無線局(船舶局遭難自動通報局を含む。以下同じ。)・航空機局)が使用不能である場合には、当該アマチュア局から「遭難通信」「緊急通信」「安全通信」を行うことができるが、それ以外にはアマチュア局の場合、全て「非常通信」ということになる。

日本での「非常通信」はあくまでも「無線局に許される目的外通信の一つ」であり、無線局の免許がない、すなわち無線設備を有していても、無線局の免許を受けずに「非常通信」を行った場合には原則として電波法に基づき罰せられる。また「非常通信」は無線局免許状指定事項(無線設備の設置場所、識別信号電波型式及び周波数、空中線電力)の範囲を逸脱して行うことはできない。逸脱運用が認められるのは「遭難通信」のみである(電波法第53条から第54条)から、船舶、航空機に搭載されたもの以外、免許のない無線局からの通信は、緊急避難である場合を除き、人命保護のためといった理由であっても原則として認められない。

よく勘違いされるのがこの点で、日本の電波法における遭難とは、船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥った場合を示し、人が野山などで重大かつ急迫の危険に陥った場合などは示していない。従って例えば「山岳遭難」に備え、アマチュア無線機を持って行っても、無線局の免許を受けていなければこれを使うことはできない。もし実際に免許を受けていないアマチュア無線機を使って通信を行った場合、通信を行った事実そのものは「緊急避難」として不問にされる「可能性」はあるが、不法無線局の開設ということで別途、罰せられることがある。また無線局の免許を受けていても、免許状に記載のない周波数や電波型式などの無線機を「遭難通信」ということで運用しても同じく罰せられることがある。

目的外であるが、それでも「山岳遭難」に備えてアマチュア無線機を持ちたいならば、まず、アマチュア無線技士となってアマチュア局の免許を受け、また不幸にも山岳遭難した時の緊急運用は「遭難通信」ではなく「非常通信」としなければならない。

なお、無線従事者以外の者(無資格者)がアマチュア局を運用して「遭難通信」「緊急通信」「安全通信」および「非常通信」を実施できるか否かについては、よほどの事態に陥らない限り、認められないものとされている。すなわちアマチュア局は電波法第39条の13により、アマチュア局の無線設備を操作することのできる無線従事者でなくては運用は行ってはならないとされ、たとえこれらの通信といえども原則として有資格者による運用に限られるためである。2012年現在の総務省の見解を要約すると以下の通りになる。あくまでもアマチュア局が無資格で運用できる場合は電波法第39条の13の但書にある場合に限られる。その但書を補足する目的で電波法施行規則第34条の8から第34条の10が規定されている。

  • アマチュア局の行う「遭難通信」「緊急通信」「安全通信」は、船舶又は航空機にアマチュア局が開設され、当該船舶や航空機の船舶局・航空機局が使用不能であり、正にアマチュア局しか通信の手段が無い状況にあり、かつ無資格者が運用する場合には、本来の無線設備を運用できる者が死傷するなどし、事実上、有資格者による無線設備の運用が不可能である場合と考えられる。
  • アマチュア局の行う「非常通信」において無資格者がアマチュア局を運用する場合というのは、人命救助のため一刻を争う通信であり、通信手段が正式なアマチュア局以外に皆無であり、本来、当該アマチュア局の無線設備を運用できる者が死傷するなど、事実上、有資格者による運用が不可能である場合に限られる。この場合の無資格者による運用はあくまでも緊急避難(厳密には後から司法がその適応の可否を判断する)として行われるものである。

すなわち無資格者によるアマチュア局の「非常通信」は、そのアマチュア局の無線設備を操作することのできる無線従事者が死傷し、一刻を争う人命救助のため、どうしても無資格者による運用以外に方法がない場合にのみ「緊急避難」として認められる「可能性」があるということである。

これは根本的にアマチュア局は電波の型式、周波数、空中線電力などを免許された範囲内において自由に変更することが認められており、そもそも「簡易な取扱いのできる無線設備ではない」とされていることからである。現実的にもアマチュア局において非常通信を行おうとする場合、まず、現状からの非常通信の可否判断、次に周波数の設定、空中線電力の設定、変調方式の設定、送受信装置の調整云々、さらには「効果的な通信」と簡単ではなく、無資格者には相当な困難を伴い、最も肝心な「非常通信の目的を達成する」のは困難である。端的にいえば、アマチュア局の無線設備は、船舶局・航空機局などのように、はじめから危急の事態を想定し「一発操作」で危急時の通信をおこなうことができるものとされておらず、特に危機迫る中、およそ素人がまともに使えるものではなく、無資格者運用はまずできない [5] [6] [7] ということである。

また、アマチュア局は非常通信用に4630kHzの指定を受けることができるが、この周波数は原則として非常通信の呼出し設定を行うためのものである。この周波数が指定されていても「非常通信業務」を行うことができるわけではない。 あくまでもアマチュア局の「非常通信」は、アマチュア局の無線設備を操作することのできる無線従事者免許を受け、正式にアマチュア局を開設してからのことになる。

個人開設のウェブサイトで、法令の誤った解釈により、アマチュア局には「無資格で非常通信がおこなえる特例」があると記載しているところ[1]があるが、電波法施行規則第33条の2[2]第2号は、電波法第39条[3]第1項の但書を補足するために規定されている。そもそも電波法第39条第1項それ自体がアマチュア局以外の無線局について適用される条文であるので、非常通信業務とアマチュア局とを関連付けて議論するということ自体、本来ありえないことである。しかし、最近、修正されたページも見受けられるようになった。(「アマチュア無線による非常通信(最新法令版)」[4]

国際社会からも期待されている分、日本では極論先行、勘違いされがちなのであるが、アマチュア局はいわば本式高等な無線局であるがゆえに「非常通信」が認められている。これは他業務の同等無線局と何ら変わりはなく、国際的にも共通している。従ってもしもアマチュア局に「遭難通信」「緊急通信」「安全通信」「非常通信」を現行の「例外として認める」ではなく「扱わさせる」とするならば、人命にかかわるこれらの通信には「絶対の信頼性」が要求されるようになり、船舶局・航空機局などと同様の高価で高度な専用設備の設置、維持管理体制、危急時の運用体制構築なども義務付け[8]になる。またこうなった場合、例えば危急時の通信に失敗、結果、人を死傷させる事態に至ったときには、免許人は別途、その責を負わなければならなくなり(現在の「上手くいきませんでした。ごめんなさい。」では済まなくなる。)学究無線局であるアマチュア局の目的から大きく外れることになる。上述、無線従事者以外の者(無資格者)がアマチュア局を運用して「遭難通信」「緊急通信」「安全通信」および「非常通信」を実施できるか否かについて厳しい見解がなされている、また先行している米国においても、あくまでも非営利の公共業務の範囲とされているのは、単に電波法および関連法規だけではなく、刑法民法などに定められている各種の責任からのものであることに注意が必要である。

引用文の促音の表記は原文ママ

法を守らない運用の問題[編集]

日本国内におけるアマチュア無線の運用には、無線従事者免許証および無線局免許状の2つが必要であるが、アマチュア無線機自体は簡単に手に入ることなどから、スカイレジャー(パラグライダーハンググライダー熱気球など)、猟友会狩猟などにおいて、これらを取得せず無免許でアマチュア無線機を用いて通信を行う者がいる(不法無線局)。

特に、ダンプ運転手の間では仲間との雑談・業務連絡目的で144MHz帯・430MHz帯にて不法開設する者が非常に多く問題となっている。また、無線局の免許を受けていても、指定された周波数帯以外の周波数で運用(オフバンド)したり、空中線電力を超えて運用する者もいる(オーバーパワー)。さらにアマチュア無線を仕事イベント業務などに利用する者がいること(目的外通信)も問題になっている。 その他、告示アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別(いわゆる「バンドプラン」)を逸脱した運用、識別信号の不送出、長時間にわたる周波数の独占など、解決しなければならない課題が山積である。

このため総務省、各総合通信局沖縄総合通信事務所を含む。)およびJARLは指導や啓蒙活動などに励んでいる[9]。なお、不法行為については電波法の罰則規定により、懲役または罰金刑に処せられる。これは管理者などに対しても適用される。すなわち例えばアマチュア無線機を仕事やイベント業務などのために不法使用した場合、直接使用した者のみならず、直属の管理者、さらには経営責任者なども併せて処罰の対象となる。無線従事者免許を有する者が不法行為を行った場合にはより重い刑に処せられる。 また刑事罰にまで処せられなくとも、行政処分として無線局免許や無線従事者免許の取消しの処分を受けることがあり、他の種別の無線従事者免許を有するものがアマチュア無線技士免許の取消し処分を受けた場合、他の無線従事者免許も併せて取り消され、アマチュア局のみならず、職業としている全ての無線局の免許人あるいは無線従事者としての身分をはく奪され、就業できなくなることもある。

デジタル対応の難しさ[編集]

1990年以後デジタル無線機の自作も行われるようになった。JA1IHEによるパケット通信機器の製作は米国の機器にプロトコルを合わせたものであり、RSV96やNEKOシリーズは英国のG3RUH方式の機器との互換性を持つものである。一方、2000年頃にはデジタル変調やスペクトラム拡散を独自方式で作成するアマチュア無線家があらわれ、関東で2局(G.711, G.721および直接変調)、関西で1局 (CDMA) が免許を受けている。 しかしその後、メーカー製デジタル無線機 (GMSK+twin VQ) が発売されたため、純粋な通信目的で独自方式に追従する局は無いようである。

アマチュア以外の無線通信の世界では1990年以後、大企業を中心に優秀な人材と資金を多く投入した結果、急速にデジタル無線技術が向上したが、日本のアマチュアのデジタル無線技術は大きな遅れをとった。これは近年の傾向として、日本では優秀な自作家がその活躍の場をアマチュアからプロに移し、その技術をアマチュアに還元しなくなってきていることが背景にあると言われるが、その根本には、個人としてのデジタル無線技術の開発は金銭的な負担が大きいこともあるが、アマチュア局に対して新しいデジタル変調方式が免許されにくいという問題があるためであるとも言われている。

アマチュア局の免許において、「通信の相手方」は「全世界の多数のアマチュア局」であり、アマチュア局は他の業務局のように、いわば「身内同士の通信」のためにあるという解釈はされない。アマチュア局以外では、従来より「身内同士の通信の秘匿性」をいかに高めるかということに尽力されてきた。このため古くより、アマチュア局の通信は普通語、他の業務局の通信は暗語といった規定があったわけであるが、デジタル変調方式は、従来、オペレータや傍受者(第三者)の、いわば「遵法精神」に依っていたところに加え、ハード的に高い秘匿性を得られるものであること、少ない周波数を有効に利用できるものであることから、アマチュア局以外では格好のものとなり、急ピッチでデジタル化が進められた。 しかし一方で皮肉にもこれは、「アマチュア局が、ごく一部のアマチュア局のみが復調できる変調波により通信を行うことは問題がある。」すなわちアマチュア局の輻射する電波の変調方式は、「汎用とすることを目的として公開されたものを用いるべきである。」と、より強力に解釈されることになってしまったのである。

例えばD-STARであれば、ストリームプロトコルは公開されたものの、肝心の音声圧縮アルゴリズムが公開されず、結果、アマチュアはメーカー製の基板を少々加工してGMSK変復調部に接続するという方法でしか免許を受けることができない状況にあった。そこで、日本のあるアマチュア無線家は、D-STARの研究関連文書を総務省が管理していることを逆手に取り、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく公開請求を行い、これを認めさせた。結果、音声圧縮アルゴリズムにAMBEを採用していることなどが公開され、2007年頃からようやく、D-STAR関連の本格的な自作が試みられる[10][11]ようになってきている。

また、このD-STARは「標準方式」とされているため、D-STAR以外のデジタル音声通信方式の免許申請については、その免許の必要性について明確な説明ができないと、「アマチュア局に認められたものではない。」として拒絶されてしまう結果になりかねない。前述のG.721についても、その後申請した各局は拒絶されている。

歴史的にアマチュア無線家の無線技術に関する貢献度は大きく、今後も当然、期待されるべきものであるが、上述のようにこれを阻害することにもなりかねない矛盾も生じている。このようなことから、アマチュア無線への包括免許制度の導入が望まれている。

脚注[編集]

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  1. a b c 中山間地の孤立対策へのアマチュア無線の活用PDF 上野勝利・森 篤史・中野 晋・吉田 敦也 第30回土木学会地震工学研究発表会論文集
  2. 非常通信確保のためのガイド・マニュアルについて PDF 総務省電波利用ホームページ 非常通信協議会
  3. 日本の場合、法に定めるところを除き、いわゆる私設無線局の「内容」への公権力介入、すなわち「命令」は厳しく制限されるためである。太平洋戦争前中、大日本帝国による電波の全面的戦争利用がなされ、アマチュア局については、太平洋戦争前は、「無線義勇団」「国防無線隊」などとして戦争遂行に利用したこと、太平洋戦争中はアマチュア無線家を戦争遂行のために利用、非協力的な者については弾圧した歴史的事実がある。電波の全面的戦争利用の招いた結果は悲惨であり、この反省より戦後の電波関係法では、通信、放送ともに公権力がその「内容」に介入することについて、日本国憲法の下、制限が課された。派生して「非常の場合の無線通信」を無線局に行わせるためには、実費弁償に加え総務大臣、つまり国が通信の円滑な実施を確保するための必要な体制を整備するため、非常の場合における通信計画の作成、通信訓練の実施その他の必要な措置を講じておかなければならない(電波法第74条の2)とされており、特にアマチュア局や一般人であるその免許人を、いずれも強制となる、国の策定する通信計画に従わせる、国の実施する通信訓練に参加させる、非常時には有無を言わせず招集するというのは極めて困難であり、事実上、アマチュア局に国家命令による「非常の場合の無線通信」を実施させることは不可能とされている。(参考文献:『放送ハンドブック:文化をになう民放の業務知識』 日本民間放送連盟編、東洋経済新報社、1992年3月16日(原著1991年5月23日)ISBN 4492760857)
  4. 東日本大震災におけるJARLの活動 JARL
  5. 非常時におけるアマチュア局の運用規制の緩和に関する告示改正案に係る意見募集PDF 総務省報道資料 2010年11月10日
  6. 非常時におけるアマチュア局の運用規制の緩和に関する告示改正案に係る意見募集の結果PDF 同上 2011年3月11日
  7. 非常時におけるアマチュア局の運用規制の緩和に関する告示改正案に係る意見募集の結果 意見及びそれに対する総務省の考え方PDF 同上 2011年3月11日
  8. 特に維持管理体制、危急時の運用体制(定期訓練を含む)などが別途、無線局の免許必須条件になる。また技術基準をクリアして免許を得るため、下手をするとそれだけで1000万円以上もかかる専用装置の自作あるいは付加は個人レベルでは非現実的である。
  9. 電波環境・不法局関連 JARL
  10. DXV Project Moetronix
  11. D-STAR技術情報 7M3TJZ

関連項目[編集]