自転車
自転車(じてんしゃ)は、燃料を使わず、乗り手が脚力を使ってペダルを動かしてモーターとタイヤを回して走らせるなどの人力で移動する車両。
概要[編集]
人間が自分の力で走らせることができ、自動車などに比べて整備がしやすく、小回りが利き、身軽に走ることができ、安く使っていくことができる。自転車競技などで本格的の乗る場合はそれなりに費用が掛かってくるが、近場への移動手段として使う分には比較的手軽な乗り物である。
自転車は自動車などの他の乗り物に比べて環境に優しいとされており、環境保護の観点からも推進されている。
人の力のみで動かす機関の中では最高効率を誇るとされている。ランニングと比べて足への負担が軽く、長時間・長距離のサイクリングは無理なく続けられてダイエット効果も抜群。運動不足の人にお勧め。
使用目的[編集]
通勤、通学、買い物、レジャー、スポーツなど、使い方は様々である。
自動車やオートバイ等と異なり、現地点では運転免許証不要。大多数の小学生〜高校生のメインの足。大きくなっても電動アシスト自転車に引き続きお世話になるお母さんも多い。日常生活に欠かせない乗り物である。旅費や輸送費をケチる手段としても重要。
特に明確な目的地を定めず、散歩のように楽しむ自転車乗車は「ポタリング」と呼ばれる。ゆるさをより強調して「ゆるポタ」と表現したり。
車がそれほど多くなく走りやすい道、大きな河川の土手道、美しい景色を楽しめる道、挑戦しがいのある上り坂の道(ヒルクライム)にはしばしば、ロードバイクを駆るサイクリストが集う。
種類[編集]
- 実用車
- 重い荷物を載せるために頑丈なフレームを持つ。後部の荷台に木製のトロ箱、前籠に包丁などの小物を入れた魚屋が昔はよくいた。
- ママチャリ
- 「軽快車」「シティサイクル」とも呼ばれる公道用車輛である。日本で最も普及している自転車であり、しかも日本以外では作れないと謂われている。まず、ロングスカートを履いても乗り降りが楽なようなフレームを用いているため、パイプ曲げ加工が難しい。フロントのフォークもまた加工が難しい。前部・後部にに籠があったり、子供用の椅子などがある。変速機のついたものもある(3段~6段)しパワーアシストつきのものもある。スタンドも丈夫であり、ハンドルロック機能を搭載したものもある。チェーン部分はスカートが引っかからないようにカバーされており、前照灯と後部照明は自動点灯である。部品はシマノ製である。海外の機械屋の間では、「これは工業製品ではない。芸術品だ」と断言するマニアがいる。
- レース用バイク
- 公道を走ることは想定していない。ハンドブレーキもなければ変速機もない。スポーツタイプのロードバイクはまた別枠である。フレームは太く、とにかく頑丈。ダイヤモンドフレームは精密溶接技術の芸術品である。命知らずのプロ選手は目も眩むような山の下り坂をノンブレーキで滑り降りる。
- マウンテンバイク
- 不整地を走ることを目的とした自転車。タイヤが; レース用バイク
- クロスバイク
- マウンテンバイクよりもロードを軽く走れる。変速機は5段〜6段。普段の街乗りからサイクリングまで幅広く対応し、人気が高まっている。
- スポーツ車(ロードバイク)
- 道路を高速で走ることを目的とする。車体重量が軽く、タイヤが細い。「ドロップハンドル」と呼ばれる、カマキリの手のようなハンドルが特徴的。変速機は20段〜30段近くに及ぶ。スピードが出る故に大事故も多い。とにかく高価で、プロ用は200万円台に達している。
- 折りたたみ自転車
- 自動車の荷物室に入れて、持ち運びできる。「ミニベロ」の別称もある。或いは専用の「輪行袋」へ入れて鉄道などの公共交通機関で持ち運ぶ手も。
それ以外[編集]
交通機関としての機能がなく、有酸素運動能力の向上を目的とした、いわゆる「エアロバイク」(有酸素運動=エアロビック+自転車=バイシクルの合成語)があり、心臓リハビリテーションにおいて用いられるが、「エルゴメーター」(労作強度の測定器)の機能も備えているため、「漕いでいて面白くない」という欠点がある。大型のスクリーンを前に置いて「人力飛行機のフライトシミュレータ」とかにしてくれればよいと思うし、発電機であるのだからスマホの充電とかにも使えればよいと思うのだが。
俗語・方言[編集]
- 一番使われる俗語は、「チャリンコ(ちゃりんこ)」である。
- 名古屋近辺では「ケッタ」、さらに愛知県豊橋近辺では「ケッタマシーン」と呼ばれる。
- 和歌山では「ジテコ」と呼ばれる。
注意点[編集]
自転車は「軽車両(軽車輛)」であり、原則的には車道を走らないといけない(ただし、車道が危険な場合は歩道を走ることも認められてはいる)。歩道を走った場合、2万円以下の罰金または科料となることもある(ただし単に歩道を自転車で走るだけで罰金になるケースはほとんどない)。ただし歩行者を退かせるためにベルを鳴らしたりするのは罰金の対象となる。実際には必ずしも正確な表記であるとは言えない(?)。
住宅街や狭い道はなるべくスピードを抑えたほうが無難。歩行者を追い抜く、またはすれ違う際は、なるべく徐行もしくは十分な距離を開けるべき。その他にも
- 2台以上並走禁止
- 夜間の無灯火走行禁止
- 傘さし運転やスマホを見ながら運転禁止
- イヤホン禁止
- 酒酔い運転禁止
- ヘルメットの着用は努力義務
など、自転車にも守るべきルールは多い。悪質なものは赤切符を切られる。
後述のように(一部地域を除き)自転車保険が義務付けられていたり、ヘルメット着用が努力義務となっていたりする。事故相手はもちろん自分自身を守るものでもあるため、なるべく守るべき。
パンクを始め、自転車の故障・トラブルの対処は訓練を受けたプロ選手はともかく一般人にはやや敷居が高い。特にブレーキ系統のトラブルは専門のメカニックへ任せたほうが無難。こういったトラブルの際に頼れる自転車屋さんを知っておくためにも、自転車はなるべく通販では買わずに自転車屋さんで買ったほうが良いという意見も。
問題点[編集]
交通事故で人が死傷することもある。このため、主に小学生の使用や中学生の通学にはヘルメットの着用が義務付けられている自治体がある。2023年4月より小中学生のみならず全ての自転車利用者に対しヘルメット着用が努力義務化されている。
万が一の事故のために保険の加入が義務づけられている自治体がある。東京都・大阪府など人口の多い都道府県は軒並み加入義務、その他の都道府県でも努力義務を課す自治体は多い。お住いの地域に加入義務がなくても、ある程度自転車に乗る人は加入しておくに越したことはない。
鉄道駅の駐輪場が整備されていないところも多く、整備費用の分担をめぐって鉄道事業者と地方自治体で争われることもある。
自転車盗難は被害額の大小を問わない根深い問題。生活の足として利用している電動アシスト自転車が盗まれると必然的に生活に支障が出る。高価なロードバイクは重量も軽くリターンも大きいため常に狙われている。鍵を2つ以上かける、アパートの駐輪場には止めずに室内保管するなど、なるべく狙われにくくする対策を行うべき。
2020年より本格流行した新型コロナ(COVID-19)に伴い外出自粛が勧められ、電車や自動車などの密な空間が避けられる中、それほど密にならないサイクリングが再注目され需要が高まる一方、コロナの影響で生産・物流が滞り、自転車の価格は上昇傾向にある。元々高価なロードバイクはいよいよ一般人には手が届かない価格に。
部品[編集]
- フレーム
- 自転車のもっとも重要な構成部品。一般の自転車は鋼製だが、スポーツ車は軽量化のため、チタン、炭素繊維で作られている。
- 車輪
- ホイールとタイヤで構成される。一般的な二輪車では前輪と後輪に分かれている。ランドウォーカーは前輪が二輪、同社の製品の「カルガモ」は後輪が二輪。ヤクルトのおばちゃんが運転しているのは後輪二輪タイプ。自転車のタイヤ外径は650mm〜660mm。
- ハンドル
- シティサイクルのトンボ型ハンドル、クロスバイクのフラットバー、ロードバイクのカマキリ型ドロップハンドル、他にも用途に合わせていくつか種類がある。
- ブレーキ
- ハンドルを握りながらも使用できるように、ハンドルの下隣に取り付けられている。前輪と後輪にそれぞれ備えられており、日本でそれを怠ると法律違反となる。競輪の「ピスト」が公道を走れないのはブレーキがないため。
- サドル
- 腰を下ろす場所。お尻が当たる箇所であり、
可愛い女子の自転車のサドルを狙う変態もいるとかいないとか。ママチャリのサドルはクッション性が重視される一方、長時間乗るスポーツ自転車のサドルには尿道の圧迫をなるべく軽減するべく溝が入っている。 - ペダル
- ほとんどの自転車は足を踏み込むことで力を伝える普通のペダルだが、ロードバイク等はペダルとシューズを「接続」し、踏み込むだけでなく足を引き上げる力も活用するための「ピンディング」という部品に対応するペダルも用いられる。
- クランク、チェーン、変速機
- 自転車は足でクランクを回し、クランクへ固定された歯車の回転をチェーンを通して後輪の歯車へ伝え、歯車が後輪を回転させて地面を蹴ることにより前へ進む。ごく単純な自転車を除き、後輪の歯車は直径が異なるものが複数枚取り付けられており(スプロケット)、変速機によって歯車を切り替えることにより回転数の切り替え(ギアチェンジ)を行う。
- 前照灯
- 自動車などと同じく、夜間などの暗い場所で前方を照らす。日本の自転車は夜間にライトを照らすことが義務付けられている。スポーツ自転車などは最初から備え付けられてはおらず、電池式ライトを自分で取り付けなければならない場合も。
- 電動アシスト
- モーターとバッテリーを備え、非力な人でも楽に漕げる電動アシスト自転車は、小さな子供を連れたお母さんや、身体能力の衰えたおじいちゃんおばあちゃんの強力な味方ではあるが、車体がバッテリーのぶんだけ重いので、「後輪パワーアシストで後輪は二輪」が望ましくはある。
- かご、荷台
- ほとんどのシティサイクルに標準装備されるかご。業務用自転車はそれだけでは足りずに荷台を後付けする。荷台に荷物を満載して走る自転車旅行者を「過積載組」と呼ぶとか呼ばないとか。
- 服装
- 自転車そのもの以外にも、自転車用ヘルメット、転倒時に手を保護する手袋、本格スポーツ向けサイクルジャージ、上記ピンディングに対応するシューズなどが販売されている。夏場は強い光から目を守るサングラス、水分補給のためのボトルがあると嬉しい。長いスカートなどひらひらした服はチェーンや歯車に巻き込まれて転倒する恐れがあり、またサンダルなど足へ固定されない履物は脱げて怪我する恐れがあり、なるべく避けるべき。
- その他、オプションの付属品
自転車の後ろにリヤカーをけん引させれば、タイヤの数は補助輪になるので、横転しにくくなり、停止しても安定性を失うことはない。
自転車競技[編集]
自転車のレースは世界中で行われている。レースで使う自転車は、近場への移動などで使う自転車より高価なものとなる。上記、自転車の種類ごとに種目が存在し、オリンピック種目にもなっている。
- ツール・ド・フランス等、ヨーロッパではロードバイクで公道を走るロードレースがサッカーの次くらいに人気。
- 競輪は日本発祥の公営競技だが、後に競輪を参考としてトラックレースの1ジャンル「KEIRIN」が誕生し、オリンピック種目にもなっている。ただし競輪を参考にしているとはいえルールは結構異なり、あくまで別のスポーツという扱い。
地域性[編集]
電動パワーアシスト自転車の普及によって地域格差は解消されつつある。
具体的には、長崎などの坂道や階段の多い地域では「自転車に乗れない子供が多い」という例や、「オランダは平地だらけなので自転車大国であり、ハンドルブレーキのない競輪用自転車みたいなのが普通に走っている」というものがある。
施設[編集]
伊豆・修善寺にレジャー施設として「自転車の国 サイクルスポーツセンター」(https://www.csc.or.jp/)がある。