ポケベル
ポケベルとは、固定電話から特定の番号に電話すると、小型受信機の呼び出し音が鳴る通信手段のことである。無線呼び出しサービス(むせんよびだしサービス)とも言われ、ポケベルは略称で正式名称はポケットベルと言われる。英語では当該受信端末はpagerと呼ばれる。現在、日本ではポケベルのサービスは行われていない。
概要[編集]
1968年に日本電信電話公社(現在のNTT)がサービスを開始した。当初は呼び出しのみのサービスだったが、主に営業マンを出先で呼び出して電話連絡を促すことに使われた。1980年代後半になって、端末に数字や文字を表示できるようになってから一気に普及が進み、「3470」(さよなら)、「33414(さみしいよ)」「999(サンキュウ)」などの数字の語呂合わせでメッセージを伝えることが流行し出した。カナ文字通信が拡大した1996年には契約者数が1000万件を突破し、当時のルーズソックス、プリクラなどと共に1990年代の女子高生の文化の一つに数えられ、端末のあまりの普及に局番が枯渇寸前になり、多くの県庁所在地で市外局番の3桁化が進んた。
しかし、同時期から携帯電話・PHSが普及しだすとポケベルの衰退が始まる。しかも携帯電話でメッセージやメールが送れるようになり、さらにカメラ付き端末で撮影した写真をメールで送ることが一般化した一方、携帯電話の規制は学校現場への持ち込み禁止など物的なものに終わって販売規制はされず、加えて文字連絡や安全確保の手段としてのポケベル活用に教育機関が消極的[注釈 1]で、音声通話が困難なろうあ者団体の影響力も小さかったため、ポケベルの契約者数は激減し、全国展開していたNTTドコモが2007年にサービスを終了した。
他方、東京テレメッセージはドコモ撤退後も東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の1都3県でサービスを継続。悪影響のある電磁波を出さないことから、携帯電話の普及が進んでも医療関係者に主に重用され需要があった。だが、2019年9月30日に東京テレメッセージもサービスを終了(9月30日深夜から10月1日にかけてポケベル用の電波を順次停止した)。これにより、ポケベルは通信手段としての役目を完全に終えることなった。一方、東京テレメッセージはポケベルの電波資源を防災情報の送信に活用している。
日本国外の事業者一覧[編集]
- 大衆電信(Fitel) - 台湾(現PHS事業)
- 聯華電信 - 台湾
- SKテレコム - 韓国
- ナレ移動通信 - 韓国(現:原州東部プロミの元親会社)
- ソウル移動通信 - 韓国
- ブイル移動通信 - 韓国
- セリム移動通信 - 韓国
- 光州移動通信 - 韓国
- シンウォン・テレコム - 韓国
- セハン移動通信 - 韓国
- 全北移動通信 - 韓国
- 江原移動通信 - 韓国
- 済州移動通信 - 韓国
- ブキョン移動通信 - 韓国
ポケベルが登場する作品一覧[編集]
テレビドラマ[編集]
- ポケベルが鳴らなくて(日本テレビ)
- ピュア(フジテレビ・1996年) - 発達障害の主人公の恋を繋ぐ「魔法のベル」としてポケベルが登場。
- 当番弁護士 第3作(1997年) 「金融業者殺しの無実を立証できるポケベル援助交際の女子高生を探せ」
- 職員室 第8話(1997年) 「裏切ったベル友」
- 中学生日記(1998年) 「ポケットベル」
テレビ特番[編集]
- NHKスペシャル「ベル友〜12文字の青春〜」(1996年) - ポケベルを駆使して、ベル友・恋人を作ろうと奔走する高校生の男子に密着したドキュメンタリー。
漫画・アニメ[編集]
- 金田一少年の事件簿「金田一少年の殺人」
- 物語第2話で、主人公が恋人との連絡を取り合うために購入。
- ドラえもん「伝言花火」
- 名探偵コナン「お天気お姉さん誘拐事件」
- 誘拐された女子アナからコナンのポケベルに送られてくる暗号メッセージを解読して、監禁場所を探し当てる。
- Beep・Peak(作:河内実加)
- オパーリン3巻に収録。拾ったポケベルにまつわるミステリー。
映画[編集]
- 恋は舞い降りた。(1997年)
音楽[編集]
- ポケベルが鳴らなくて(国武万里)/ 同名ドラマの主題歌
- ポケベルNightは5643#(ANZA、森野文子)/が歌う数字だらけの歌詞の歌。
- 1977年生まれの僕らは(アンダーグラフ)
関連項目[編集]
- 無線通信
- 移動体通信
- 無線呼出局
- 携帯電話
- PHS
- 2タッチ入力
- アステル - テレメッセージ各社との間でポケベルとPHSの一体型の端末でサービスを行っていた。
- 日本移動通信(IDO) - 東京テレメッセージとポケベルと携帯電話の一体型の端末でサービスを行っていた。
- 広末涼子 - ポケベルのCMで一躍有名になった。
- BlackBerry - キーボードを搭載した双方向無線呼び出し端末「Inter@ctive」から派生したスマートフォン。
脚注[編集]
- 注釈
外部リンク[編集]
- 無線呼出し 情報通信法令wiki(情報通信振興会)
- ポケットベルの歴史 NTTドコモレポートNo.55 2007.3.13
- ポケットベルサービス終了 ドコモ通信Vol.33 2007年6月夏号
- ポケベル文字コード表大全集 個人サイト