ドラえもん

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ドラえもんの画像は著作権上掲載できないため代替画像。

ドラえもん』は、藤子・F・不二雄の漫画作品。および、その本編に登場する主人公キャラクターの名前である。

概要[編集]

主に小学館の発行している学習雑誌(コロコロコミックなど)で連載されていた。現在では国民的漫画というほどの人気を誇る。

物語は、22世紀未来からやってきたネコ型ロボット「ドラえもん」と、勉強スポーツも何も駄目な小学生野比のび太」の日常生活を描いた作品である。

コミックスは「てんとう虫コミックス」で全45巻あるほか、未収録話を収録したプラス巻(全5巻)も45巻の後に発行されている。コミックスが45巻までになった理由は作者の藤子・F・不二雄が死去したためとされる。これをもってドラえもん本編シリーズは終了となったが、単行本未収録作品はその時点でも多数存在しており、その後はプラス巻によって収められた話もあるが、すべての話は収録しきっていない。2009年から発行した「藤子・F・不二雄大全集」(全20巻)では未収録を含む全作品話が収録され、マニアの間では幻の回と思われていたドラえもんの最終回(未収録)の2話も、1巻に収録されている。

1973年からは日本テレビでテレビアニメ化されたが、制作会社の事情により半年の放送で打ち切りとなった。このドラえもんのアニメは現在封印作品となっているため、知る者は少ない。1979年から再びテレビ朝日系でテレビアニメ化がされた。このドラえもんこそが、1990年代あたりの子供なら良く知る大山版のドラえもんである。2005年にはリニューアルを実施し、制作スタッフや声優を一新して放送。このドラえもんが現在放送中の水田版のドラえもんである。

1980年からは長編ストーリーが執筆されている。

なお、ドラえもんの漫画版では矛盾シーンや問題シーンも多い。矛盾シーンでは第39巻(四次元若葉マーク)において遅刻に悩むのび太がドラえもんに「『学校を近くへひっこしさせる機』出してえ」と泣きついたのに対してドラえもんが「そんなもんあるか」と述べている。しかし実は第9巻で「ひっこしちず」というその道具を使っていた。他にドラえもんが主に座ったり、自転車に乗ったりすると腕や足が伸びて描かれていることがある(正座の場合は2倍足が伸びている)。のび太といえばテストで0点をとることで有名だが、実は0点でもおかしくない問題が多いからとする意見もある。2005年に放送されたテストのワンシーンで問題が映されていたが「テレビの上にみかんが1つありました。さてテレビの上にりんごはいくつあるでしょうか?」「君がここにいます。さて誰が何人ここにいるでしょうか?」とあった。他にも同年に放送されたアニメでのび太の母親が0点の答案に激怒していたシーンがあったが、実は答案をよく見ると2+(2×5)の答案でのび太は12と回答しており、それを先生が×にしている、すなわち先生側のミスであり、実は0点ではなかったシーンもあった。[1]

問題シーンでは1978年コロコロコミック8号に掲載されたドラえもん「ターザンパンツ」ではあわやしずかちゃんがアフリカの現地住民に捕縛されて首を斬って殺されかける話で、現地人たちの描写(つまりか弱い女の子を食い殺そうとするストーリー)が問題となった。他にもしずかちゃんが現地住民に拉致された際にジャイアン、スネ夫らが「しずちゃんから食べられるのか」「おれ、いちばんでなくてよかった」とする発言、のび太が履いていたターザンパンツを料理されるために裸にされていたしずかちゃんが履いて自分の物にしてしまうなど感情的・性的にも問題が少なくなく、本作はゼロから書き直されて「てんとう虫コミックス」には現地人が出てこない別のストーリーを収録することになった。なお、この作品は「幻の作品」と言われたが2012年に発売された「藤子・F・不二雄大全集、ドラえもん」第18巻で一部の表現を変えてオリジナル版のターザンパンツが復刻して普通に読めるようになっている。

主な登場人物[編集]

ドラえもん
本編の主人公。22世紀のネコ型ロボットである。未来の世界からのび太の不幸な未来を変えるために現代にやってきた。好きなものはドラ焼きで、ネズミが大の苦手。四次元ポケットの中から未来の様々な道具を出す。ネコ型ロボットにも関わらず耳がなく、しばしばタヌキと間違われる。
野比のび太(のび のびた)
本作の副主人公。勉強もスポーツも駄目駄目どころか運も悪すぎる小学生。未来では就職できず、自分で会社を建てるが会社を火事にしてしまい、大量の借金を抱える。ジャイアンの妹ジャイ子と結婚する運命でもあり、22世紀では子孫のセワシが誕生するが、のび太の膨大な借金のおかげで22世紀では貧乏の生活を送っているという。この運命を変えるためにドラえもんが送り込まれた。
源静香(みなもとしずか)
通称「しずちゃん」(アニメでは「しずかちゃん」)。のび太の憧れるクラスメイトの少女。本作のヒロインでもある。
骨川スネ夫(ほねかわすねお)
野比のび太のクラスメイトの一人。ジャイアンと共にのび太をいじめたり仲間外しにしたりする。裕福な家庭を持ち、多くのものを自慢したりする。
ジャイアン/剛田武(ごうだたけし)
のび太のクラスメイトの一人でクラスのガキ大将である。自己中心的で乱暴な性格。クラスメイトの男子達をいじめるため、皆からは恐れられている。人のものを奪っては返すことはない。歌を歌うことが好きだがすごく音痴で周りからは苦痛を感じられ嫌がられている。母親が苦手。映画版では一転して男らしい一面を見せることもしばしば。
ジャイ子
ジャイアン(剛田武)の妹。第一話から登場。兄のジャイアン同様「ジャイ子」はあだ名であり、本名は不明(設定されていない)。「ドラえもんが来ない未来」ではのび太と結婚し、6人の子供を設ける。そしてその中の子孫からセワシが誕生する。こういう設定から、作中ではジャイアンよりも登場するのが早い。「クリスチーネ剛田」というペンネームで少女漫画家を目指している。
セワシ
のび太の未来の5代目に当たる子孫。第一話にて、ドラえもんをのび太の元へ送り込んだ張本人である。第一話でも分かるように、結婚相手がジャイ子でも生まれてくる運命である。
出木杉英才(できすぎ ひでとし/えいさい)
野比のび太のクラスメイトの1人。名前の通り頭がよく、スポーツも万能で、のび太とは正反対的存在。静香と仲がよいため、のび太は強い嫉妬心を向けている。ドラえもんの作品内では準メインキャラクターと位置付けられ、映画1作目の初期は出木杉を含む6人と冒険を繰り広げる設定があったが、キャラが完璧すぎるためか(もしくは他のキャラの立場がなくなるためか)、出木杉のシーンはカットされてしまっている。そのため、その後の大長編においてもメインキャラクターにはならず、冒険には一度も連れて行って貰ってない。その代わりにストーリーの序盤で歴史等の解説役で登場することが多い。

日テレ版ドラえもんについて[編集]

日テレ版ドラえもんは「初代ドラえもん」とも言われる。昭和48年(1973年)から半年間、52話が放送された。現在では封印作品同然になっている。

この日テレ版ドラえもんは、現在のテレビ朝日版ドラえもんとは違いが非常に多い。例えば、

  • テレビ朝日版ではドラえもんが四次元ポケットからひみつ道具を出す際に効果音が流れるが、日テレ版ではドラえもんが「あらよっと!」と掛け声をあげる。
  • 声優にドラえもんが富田耕生、後に変更されて野沢雅子が務め、またテレビ朝日版ではスネ夫役の肝付兼太がジャイアンを、同じくのび太役の小原乃梨子がのび太のママ役を務めている。
  • テレビ朝日版と比べて日テレ版のドラえもんはかなり不恰好である。

などが挙げられる。

また、当初は視聴率が低迷していた。これはドラえもんの放送時間時にマジンガーZお笑いオンステージアップダウンクイズなど人気アニメ、人気番組が存在していたためである。そのため日テレ版ドラえもんは声優の変更、内容的に視聴者の対象年齢を引き上げるなどスタッフの努力もあり、視聴率は徐々に伸び始めて当初の予定より1クール延長の話もあったという。しかし、半年で打ち切りになった。これは当時のアニメ制作会社であった日本テレビ動画の社長が突然失踪したためだという。失踪の理由は明らかではないが、金銭トラブルが一説として挙げられている。そのため、52話『さようならドラえもんの巻』終了時に「来週をおたのしみに」ではなく「次回をおたのしみに」と流され、日本テレビ動画は解散して消滅。これにより日テレ版ドラえもんは打ち切られた。

この際、台本など主だった資材は焼き捨てられたとされ、フィルムは日本テレビで保存、管理されて地方局で再放送された。ところが昭和54年(1979年)にテレビ朝日版ドラえもんが開始されると状況が一変。小学館から書面で日本テレビに対し、日テレ版ドラえもんを再放送しないように求められるようになる。これは作者の藤子・F・不二雄が「日テレ版ドラえもんは私の原作とは似て非なるもの」として存在そのものを否定したから、という説がある[2]。この際に日本テレビで保管されていたフィルムも廃棄処分された、といわれる説もある。

また、日テレ版ドラえもんはソフト化もされていない。これは前述の日本テレビ動画社長が昭和61年(1986年)に拳銃密輸の容疑でフィリピンで逮捕され、その後の一切の消息が不明になっているため、とされる。

そのため、日テレ版ドラえもんは当時のスタッフが個人的に所持していたフィルムくらいしか残っていないとされ、そのため日テレ版ドラえもんのセル画などは高額でオークションで取引される場合もあり、偽物が出回るケースまで確認されている。

環境問題・戦争問題・独裁者[編集]

藤子先生が脚本を担当していた当時の映画は、環境問題・核や侵略などの戦争問題・ソ連をモチーフにした独裁者や収容所などが登場し、これらはドラえもんらしい話として定番であったが藤子先生死去後は徐々にこれらは扱わなくなる[3]

実写化について[編集]

昭和47年(1972年)にドラえもんの実写化がフジテレビで企画されていたが、当時の技術問題などもあり実現にはいたらなかったという。平成20年(2008年7月に舞台版「ドラえもん」が上演された。脚本や演出は鴻上尚史が務めたが、のび太役が31歳、静香役25歳、スネ夫役37歳、ジャイアン役27歳というものだった。

ドラえもん最終回騒動[編集]

1980年代後半(1986年頃)からドラえもんの最終回に関する噂が流れ出した。それによると、

  • のび太が植物状態になる」説 - ドラえもんは昏睡状態ののび太が見ていた夢であったというもの。原作者の藤子・F・富士雄が入院している知人のうわ言にヒントを得て、ドラえもんを生み出したという説が元になったと推測されている。ただしこれは、まだ当時は存命中であった藤子が「そのような悲観的なラストにするつもりはない」と正式に否定コメントを出している。
  • のび太開発者」説 - バッテリーが切れて動けなくなってしまったドラえもんだが、バッテリーを交換すればのび太との思い出と共に今までの記憶は全て消えてしまう。そのため壊れたドラえもんを修理するために猛勉強して、見事にドラえもんが復活するというもの[4]

このうち、のび太開発者説は完成度が高かったためか、平成12年(2000年)頃にはこの噂を元にした「ドラえもんの最終回」と称するメールが全国的に広がった。さらにファンのひとりが「あくまで勝手に考えた自作の物」と前置きした上でホームページで公開された。これがチェーンメールでさらに拡大した。平成17年(2005年)にはこれを基にして広まったストーリーをとある人物が同人誌として出版するが、1部500円で発売されたこの同人誌は1万数千部もの異例の大ヒットとなる。これに対し、平成19年(2007年)にドラえもんの出版元である小学館が著作権侵害を主張し提訴し、騒動は裁判沙汰に至る。これは被告側が著作権の侵害を認めて謝罪し和解に至ったが、その条件などは明らかにされていないという。

長編作品[編集]

ドラえもんには、短編の他に童話や歴史などを基にし、冒険に出て敵と戦うといった長編ストーリーも存在する。この作品ではドラえもん・野比のび太・源静香・剛田武(ジャイアン)・骨川スネ夫の5人がメインとなる。これらはドラえもんの映画作品として使用される。第一期では原作漫画が執筆されており、藤子・F・不二雄が逝去した後も、藤子・F・不二雄プロのスタッフ(萩原伸一(むぎわらしんたろう)と岡田康則)によって2004年まで作品が執筆されていた。1980年から毎年公開あるいは掲載されている。

第一期(大山版)
第二期(水田版)

主な収録単行本[編集]

  • 『ドラえもん』てんとう虫コミックス 全45巻
  • 『ドラえもん プラス』てんとう虫コミックス 全5巻
  • 『ドラえもんカラー作品集』てんとう虫コミックススペシャル 全6巻
  • 『ドラえもん巻頭まんが作品集』てんとう虫コミックススペシャル 既刊2巻
  • My First BIG
  • 『ドラえもん傑作選』てんとう虫コミックスワイドスペシャル 既刊1巻
  • 小学館コロコロ文庫 全18巻
  • 小学館コロコロ文庫デラックス 全10巻
  • 藤子不二雄自選集 全7巻
  • 『藤子・F・不二雄 自選集 ドラえもん』全2巻
  • カラーコミックス全6巻、映画版全4巻
  • 中央公論社(中公コミックス 藤子不二雄ランド)全45巻
  • 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS Doraemon』既刊10巻
  • 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS AUDIO版 DORAEMON』既刊2巻
  • ぴっかぴかコミックス 全18巻
  • 『ドラミちゃん』ぴっかぴかコミックス全1巻
  • 『カラー版 ドラえもん』ぴっかぴかコミックススペシャル全1巻
  • 『デジタルカラーセレクションドラえもん』てんとう虫コミックススペシャル 既刊6巻
  • 藤子・F・不二雄大全集 全20巻

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

注釈[編集]

  1. 先生と母親双方が気付かないままというのはある意味ギャグといえよう
  2. ただし、藤子は日テレ版ドラえもんの主題歌の作詞を務めており、放送当時は少なくとも非協力的あるいは否定的だったとは思い難い
  3. ※のび太の宇宙小戦争(1985年)のび太とアニマル惑星(1990年)のび太とブリキの迷宮(1993年)など多数
  4. ある小学校教諭から道徳の時間でこの話を使わせてほしいと小学館に連絡が入ったほどだったという。