満濃池
満濃池(まんのういけ)は、香川県仲多度郡まんのう町にある日本最大の灌漑用のため池である。国の名勝に指定されている。
概要[編集]
香川県には総数で2万を超える灌漑用の溜池があるが、この満濃池はその中でも最大で、歴史も古いことで知られている。
飛鳥時代末期の701年から704年頃に築かれたといわれるが、たびたび決壊して住民を悩ませた。そのため、平安時代の弘仁年間(810年から824年)に、朝廷は築池使として路真人浜継を派遣し、堤の修築に努めるも工事は進まなかった。そして、弘法大師・空海が工事の別当に任命されると、これまでと違ってわずか3か月で工事が完成したといわれている。
ただ、その後も決壊を繰り返してそのたびに住民は賦役に狩り出され、「百姓泣かせの池普請」などと歌に詠まれているほどである。江戸時代初期の讃岐国高松藩主・生駒高俊は伊勢国津藩から西島之尤を迎えて堤を修築することに努めている。
ところが幕末の安政元年(1854年)、安政の大地震により堤防が破損し、幕末の動乱の中ということもあってそのまま放置されてしまう。明治3年(1870年)になって復旧が進められ、明治31年(1898年)に改修工事、明治38年(1905年)から明治39年(1906年)にかけて堤防の第1次嵩上工事、昭和3年(1928年)から昭和5年(1930年)にかけて第2次嵩上工事、昭和16年(1941年)から昭和34年(1959年)にかけて大規模な第3次嵩上工事が行なわれた。
池は堤高は32メートル、満水面積はおよそ1.35平方キロ、周囲20キロ余りである。有効水深はおよそ21メートル。入江が多く、春の新緑や夏のホタル狩り、秋の紅葉と自然に恵まれ、毎年6月には「ゆる抜き」という放水行事が行われる。池の周囲にはまんのう公園、県立満濃池森林公園などがある。
なお、この池には竜神伝説がある。昔、この池に住んでいた竜が、晴れの日に小蛇の姿で日向ぼっこをしていると、そこに近江国の比良山に住む天狗がやってきて、小蛇をさらって比良の洞窟に監禁した。蛇は竜の姿に戻ろうとしたがそのためには水が必要で、たまたま同じように浚われて閉じ込められていた僧侶が持っていた水瓶から水をもらって竜の姿に戻り、天狗を退治して僧侶を寺院に無事に送り届けたという。
アクセス[編集]
- 鉄道
- 土讃線琴平駅または琴電琴平線・琴電琴平駅よりタクシーにて約15分
- バス
- JR琴平駅前、琴電琴平駅前より美合線(美合、美霞洞温泉、落合、川奥行き)「まんのう公園口」下車 徒歩約15分
- 車
- 高松自動車道善通寺ICより国道319号を琴平方面へ榎井交差点を左折、香川県道282号高松琴平線経由四条交差点右折、香川県道200号まんのう善通寺線で約4キロ