岡村達雄
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岡村 達雄(おかむら たつお、1941年5月9日[1] - 2008年7月8日[2])は、教育行政学者。関西大学名誉教授[2]。
東京教育大学大学院教育学研究科博士課程(教育行財政専攻)修了[3]。長崎大学専任講師、助教授[4]、教授、関西大学文学部教授を経て[1]、名誉教授。同大学文学部長、学校法人関西大学評議員も務めた[2]。
公教育と国家、教育政策論を研究した[5]。公教育の教育労働は資本制社会において、労働力商品の再生産に関与しているとする「教育労働論」の代表的論者[6]。マルクス主義の立場をとる持田栄一の学説を受け継ぎ、資本制社会での公教育による経済的支配・イデオロギー支配を批判する階級教育論を展開し、堀尾輝久ら人間の全面的発達を掲げる「国民教育論」を批判した[7][8]。国民教育論批判は「教育支配批判論」とも呼ばれ、統合教育を主張する「共生共育論」とも結び付いた[7]。現実の教育行政実践の批判的解明も行ったため、「アンチ教育行政学」「カウンター教育行政学」と評され[9]、学校労働者運動に影響を与えた[10]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『教育労働論――公教育の構造と官僚制』(明治図書出版、1976年)
- 『現代公教育論――再編と変革への視座』(社会評論社、1982年)
- 『現代公教育論――臨教審批判と変革への視座』(増補改訂版、社会評論社、1986年)
- 『処分論――「日の丸」「君が代」と公教育』(インパクト出版会、1995年)
- 『教育基本法「改正」とは何か――自由と国家をめぐって』(インパクト出版会、2004年)
編著[編集]
- 『教育実践の記録 別冊2 現代教育論争』(編集・解説、筑摩書房、1982年)
- 『教育のなかの国家――現代教育行政批判』(勁草書房、1983年)
- 『養護学校義務化以後――共生からの問い』(古川清治共編著、柘植書房、1986年)
- 『教育の現在――歴史・理論・運動 第1巻 戦後教育の歴史構造』(社会評論社、1988年)
- 『教育の現在――歴史・理論・運動 第2巻 現代の教育理論』(社会評論社、1988年)
- 『教育の現在――歴史・理論・運動 第3巻 教育運動の思想と課題』(社会評論社、1989年)
- 『教育の解放を求めて――鈴木祥蔵・竹内良知先生関西大学退職記念論集』(田中欣和、玉田勝郎、山本冬彦共編、明石書店、1990年)
- 『学校という交差点』(尾崎ムゲン共編著、インパクト出版会、1991年)
- 『日本近代公教育の支配装置――教員処分体制の形成と展開をめぐって』(社会評論社、2002年、改訂版2003年)
- 『人権の新しい地平――共生に向けて』(玉田勝郎共責任編集、学術図書出版社、2003年)
分担執筆[編集]
- 持田栄一編『講座マルクス主義 第6 教育』(日本評論社、1969年)
- 持田栄一編『生涯教育論――その構想と批判』(明治図書出版、1971年)
- 持田栄一編『教育変革への視座――「国民教育論」批判』(田畑書店、1973年)
- 持田栄一、市川昭午編著『教育福祉の理論と実際』(教育開発研究所、1975年)
- 伊藤和衛編著『教育行政過程論』(第一法規、1976年)
- 日本臨床心理学会編『戦後特殊教育・その構造と論理の批判――共生・共育の原理を求めて』(社会評論社、1980年)
- 新泉社編集部編『現代日本の偏見と差別』(新泉社、1981年)
- 全国障害者解放運動連絡会議編『障害者解放運動の現在――自立と共生の新たな世界』(現代書館、1982年)
- 菅孝行編『モグラ叩き時代のマルキシズム』(現代企画室[PQ books]、1985年)
- 新堀通也編『教師教育の再検討 2 教員養成の再検討』(教育開発研究所、1986年)
- 伊藤和衛編『講座公教育体系 1 公教育の理論』(教育開発研究所、1988年)
- 大橋昭一編著『21世紀の大学・企業・社会』(関西大学出版部、1998年)
- 「君が代」訴訟をすすめる会編『資料「君が代」訴訟』(緑風出版、1999年)
- 巨大情報システムを考える会編『変貌する大学シリーズⅤ グローバル化のなかの大学――根源からの問い』(社会評論社、2000年)
- 日本教育行政学会編『義務教育学校「存立」の行政原理を問う』(日本教育行政学会、発売:教育開発研究所、2005年)
- 市川昭午編著『リーディングス日本の教育と社会 第4巻 教育基本法』(日本図書センター、2006年)
所属学協会[編集]
脚注[編集]
- ↑ a b 日外アソシエーツ編『新訂 現代日本人名録2002 1.あ~かと』日外アソシエーツ、2002年、1573頁
- ↑ a b c 關大第547号(PDF) 関西大学校友会(2008年9月15日)
- ↑ 『教育のなかの国家』執筆者紹介
- ↑ a b 岡村達雄 researchmap
- ↑ 紀田順一郎ほか編『現代日本執筆者大事典 第一巻(あ~お)』日外アソシエーツ、1992年、615頁
- ↑ 西口正文「教育労働と自己組織性 : 立論のための予備的考察」『東京大学教育学部教育行政学研究室紀要』14、1995年4月、1-9頁
- ↑ a b 内野正幸『教育の権利と自由』有斐閣、1998年、60-61頁
- ↑ 池田祥子 高校全入運動と大衆教育社会の到来 季刊現代の理論
- ↑ 若井彌一「教育行政実践と教育行政研究 : 日本の教育行政研究から(発表2,課題研究2 教育行政実践における教育行政研究の有用性,VI課題研究)」『日本教育行政学会年報』27、2001年11月、206-212頁
- ↑ 横校労ニュース 岡村達雄さんを追悼する 横浜学校労働者組合
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 岡村達雄 - researchmap