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ノヴィーク級駆逐艦

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ノヴィーク級駆逐艦(ノヴィークきゅうくちくかん)(露:Эсминец типа Новик)は、ロシア帝国海軍およびソビエト連邦海軍駆逐艦艦級である。日本語ではノヴィーク型駆逐艦とも呼ばれる。

概要[編集]

ノヴィーク級駆逐艦は、1912年から1917年にかけて53隻建造された、ロシア初の蒸気タービン機関を搭載した駆逐艦の艦級である。
ロシア帝国海軍、ソ連海軍、エストニア海軍ペルー海軍で使用され、一部は1950年代半ばまで運用されていた。初期はバルチック艦隊と黒海艦隊に配備され、中には晩年を太平洋艦隊やペルー海軍で過ごした艦もあった。
最大速力は28〜35ノット、航続距離は1931〜2673km。

搭載兵装[編集]

主兵装はオブホフ工場式60口径102mm砲を3〜5門と、2〜5連装魚雷発射管を3〜5基を備えていた。
魚雷は9〜14本、機雷は40〜80発搭載可能だった。
対空兵装は艦により様々で、主にQF 1ポンド、QF 2ポンド機関砲、21-K 45mm、QF 3ポンド 47mm、63mm、レンダー 76.2mm高角砲などの内1〜数種類がそれぞれが1〜数門搭載されていた。マキシムやDShKなどの機関銃が数挺搭載されていた艦もあった。

開発・建造[編集]

1904年、ロシア帝国海軍は日露戦争で失った戦力を補うため、「有志寄付による海軍強化特別委員会」で集めた資金により、日露戦争での経験を基に設計された駆逐艦18隻の建造が決定した。これらの駆逐艦は、1910年から1912年にかけてサンクトペテルブルクプチロフ造船所で起工し、ノヴィーク級駆逐艦として完成した。
また、1912年〜1916年にかけて、黒海艦隊増強のためにもノヴィーク級駆逐艦が建造された。 その後もこれらの艦をベースとした駆逐艦が多数竣工し、バルチック艦隊や黒海艦隊に配備された。

艦級と同型艦[編集]

ノヴィーク級は、ネームシップ一隻と細かく分けた艦級8つにより構成されている。

ネームシップ[編集]

駆逐艦 ノヴィーク
  • ノヴィーク(Новик) - ノヴィーク級駆逐艦の一番艦でありネームシップである。ノヴィーク級の中で下位艦級に分類されていないのはこの艦だけである。1926年「ヤコフ・スヴェルドロフ」(Яков Свердлов)に改名。

第一世代[編集]

デルズキー級[編集]

デルズキー級駆逐艦(Эсминец типа Дерзкий)は、1912年から黒海艦隊向けに4隻が建造された。当時黒海艦隊には巡洋艦の戦力が存在せず、黒海艦隊を早急に増強する必要があったために建造されたのが本級である。

兵装[編集]
  • 主砲:60口径102mm単装砲 3基
  • 魚雷発射管:457mm連装発射管5基
  • 機雷(80発)
同型艦[編集]

シャストリヴイ級[編集]

駆逐艦 フルンゼ (改名前:ブィストルイ)

シャストリヴイ級駆逐艦(Эсминец типа Счастливый)は、デルズキー級の改良型で、1912年から黒海艦隊向けに5隻が建造された。艦首形状がそれまでの垂直船首から傾斜船首となり、これ以降のノヴィーク級も傾斜船首が標準となった。

兵装[編集]
  • 主砲:60口径102mm単装砲 3~4基
  • 副砲・対空砲:QF 3ポンド47mm速射砲2基 (フルンゼは76mm高角砲1基とQF 1ポンド37mm機関砲1基 → 76mm高角砲1基と21-K 45mm対空砲1基に換装)
  • 機銃:なし、又はDShK 12.7mm機関銃2基
  • 魚雷発射管:457mm連装発射管5基 (一部は457mm三連装発射管3基に換装)
  • 機雷、爆雷
同型艦[編集]

オルフェイ級[編集]

駆逐艦 エンゲリス (改名前:デスナ)

オルフェイ級駆逐艦(Эсминец типа Орфей)は、ノヴィーク級駆逐艦第一世代の一つで、前級のシャストリヴイ級をバルチック艦隊向けに改良したもの。1913年から8隻が建造された。最大速力は35ノット。

兵装[編集]
  • 主砲:60口径102mm単装砲 2〜4基
  • 対空砲:QF 2ポンド40mm単装機関砲1基、又は21-K 45mm対空砲、又は63mm高角砲、又はレンダー76.2mm高角砲
  • 魚雷発射管:450mm三連装発射管3~4基 → 457mm三連装発射管3~4基
  • 機雷、爆雷
同型艦[編集]

第二世代[編集]

レイチェナント・イリーン級[編集]

レイチェナント・イリーン級駆逐艦(Эсминец типа Лейтенант Ильин)は、バルチック艦隊向けの駆逐艦の艦級で、1913年から8隻建造され、5隻が完成した。日本語ではレイテナント・イリイン級などとも呼ばれる。

同型艦[編集]

ガヴリール級[編集]

ガヴリール級駆逐艦(Эсминец типа Гавриил)は、バルチック艦隊向けに1913年から6隻建造され、3隻が完成した。

同型艦[編集]

イジャスラフ級[編集]

イジャスラフ級駆逐艦(Эсминец типа Изяслав)は、バルチック艦隊向けに1913年から5隻建造されたが、完成したのは3隻であった。他のノヴィーク級駆逐艦と比べると垂直な舷側と細い船首楼が特徴である。イジャスラフ級の船はすべてタリンで建造された。

兵装[編集]
  • 主砲:60口径102単装砲 3〜5基 - 初期段階では2門だったが、WW1での経験をもとに3門に改められ、最終時は全艦が5門搭載していた
  • 対空砲:レンダー76.2mm高角砲 1基、その他
  • 魚雷発射管:450mm三連装発射管3基 → 457mm三連装発射管3基 - 主砲門数と引き換えに、計画より1基減らされている(4基の計画だった)
  • 機雷、爆雷
同型艦[編集]

ゴーグランド級[編集]

ゴーグランド級駆逐艦(Эсминец типа Гогланд)は、ノヴィーク級駆逐艦の第二世代最後の艦級である。1913年から合計9隻が起工されたが、WW1でドイツ敵国になったことで建造は滞り、進水まで漕ぎ着けた2隻も未完成のまま解体された。

同型艦[編集]

進水した2隻(いずれも未完成)

第三世代[編集]

フィドニシ級[編集]

フィドニシ級駆逐艦(Эсминец типа Фидониси)は、黒海艦隊向けに1914年から建造された駆逐艦の艦級で、合計16隻が起工された。 ウシャコフスキー級(типа Ушаковские)とも呼ばれる。

兵装[編集]
  • 主砲:60口径102mm単装砲 4基
  • 対空砲:QF 2ポンド40mm単装機関砲2基、又は21-K 45mm対空砲、又は57mm単装高角砲2基、又は70-K 37mm単装機関砲、等々
  • 機銃:マキシム7.62mm機関銃4基、又はDShK 12.7mm機関銃2〜4基
  • 魚雷発射管:450mm三連装発射管4基 → 457mm三連装発射管4基
  • 機雷、爆雷
同型艦[編集]

関連項目[編集]