ながら運転
ながら運転(ながらうんてん)とは、自動車を運転しながら携帯電話で通話したり、スマートフォンを操作したりすることである。この運転は取り返しのつかない死亡事故に繋がりやすい。
概要[編集]
ながら運転が現れだしたのは平成11年(1999年)である。当時、携帯電話が急激に普及してながら運転による事故も発生し始めたので、同年の改正道交法に初めて罰則規定が盛り込まれることになった。当時の処罰対象行為は通話中などに交通の危険性を生じさせた場合のみに限定されていた。当時はまだ、インターネットなどが携帯電話で操作はほとんどできなかったためである。
だが、平成16年(2004年)に携帯電話で通話すること自体などに対象を拡大して、道交法を改正する。しかしスマートフォンの普及により、ながら運転は増加の一途をたどり、それにより平成28年(2016年)10月には愛知県一宮市でスマホ向けゲーム「ポケモンGO」をしながら運転していた男のトラックに当時小学4年生の男児がはねられて死亡したり、平成30年(2018年)9月に新潟県南魚沼市でスマホで漫画を読みながらワゴン車を運転していた男が死亡事故を起こしたりなど、重大事故も相次いだ。平成30年(2018年)の統計ではながら運転の事故数は全国で2790件、その内訳はカーナビやテレビを注視していたためが1698件、スマホや携帯電話が966件、通話が144件で、死亡事故は42件。これは10年前と比較して約2.3倍も増加している。
このため、ながら運転の被害者遺族などから罰則強化を求める声も強く、罰則強化の道が進められている。
罰則[編集]
- 運転中の携帯電話での通話や画面を注視する違反(携帯電話使用等・保持)の違反点数は1点。反則金は大型車は7000円、普通車は6000円。二輪車は6000円。原付車は5000円。
- 運転中の携帯電話使用等(交通の危険、通話や注視により交通の危険を生じさせる違反)の違反点数は2点。軽微な違反であれば反則金の納付で刑事責任は免れる。重大な違反の場合は刑事責任を問われて3か月以下の懲役、または5万円以下の罰金。
この罰則は令和元年(2019年)9月13日に反則金と違反点数が約3倍に引き上げられ、懲役刑も重くするなど厳罰化した改正道交法の施行令が閣議決定されたことにより、同年12月1日から罰則がさらに重くなるとされている。改正された場合は、
- 保持の場合は違反点数は3点。反則金は大型車は2万5000円、普通車は1万8000円。二輪車は1万5000円。原付車は1万2000円と点数、罰金が共に倍以上になっている。さらに懲役刑が新設され、違反を繰り返すと「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」となる。
- 交通の危険の場合、軽微な違反であれば反則金の納付で刑事責任を免れる交通反則通告制度の適用が除外され、直ちに刑事手続きの対象となる。違反点数は6点。さらに1年以下の懲役または30万円以下の罰金、
に強化されている。