飲酒運転

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飲酒運転(いんしゅうんてん)とは、飲酒などで体内にアルコールを保有した状態で運転する行為である。アルコールは人間の認知・判断機能に影響を与え、その危険性から飲酒運転は法律で禁じられている。飲酒運転は自動車以外にも自転車や公道上での乗馬も取り締まりの対象となる。

概要[編集]

体内に取り込まれたアルコールは中枢神経系に作用し、認知機能や判断力が低下するのみならず、集中力や運動機能の低下も引き起こす。また、そのような状態でありながら気が大きくなり、「運転しても大丈夫」などという自制心の低下も生じるとされている。このような状況下で自動車を運転すれば事故やそれに伴う犠牲者の発生は容易に起こりうるものであり、実際に多くの犠牲も発生していることから各国で規制する法律が定められている。

日本における規制[編集]

日本においては道路交通法により取締りの対象となっている。取締りの基準と罰則は以下の通り。

酒酔い運転

正常な歩行や受け答えが出来なかったり、呂律が回らないなど酩酊状態にある状態。

  • 5年以下の懲役または100万円以下の罰金/35点(免許取消し+欠格期間3年)
酒気帯び運転(0.25mg以上)

呼気1Lに含まれるアルコール量が0.25mg以上の場合。

  • 3年以下の懲役または50万円以下の罰金/25点(免許取消し+欠格期間2年)
酒気帯び運転(0.25mg未満)

呼気1Lに含まれるアルコール量が0.15mg以上0.25mg未満の場合。

  • 3年以下の懲役または50万円以下の罰金/13点(免許停止90日)

飲酒運転は交通反則通告制度の対象外となり、反則金ではなく原則として罰金刑の対象となる。

このほか、飲酒運転の虞のあるものに対して車両を提供する車両提供罪や酒類を提供する酒類提供罪、飲酒運転の車に同乗する同乗罪が「飲酒運転周辺三罪」として処罰の対象となっている。これらの罰則は飲酒運転したものと同等の処分が下されるため、たとえ自分が飲酒していなくとも飲酒運転の車に同乗すれば免許取り消しなどの処分が下されることになる。

日本においては1960年に道路交通法が制定された際に初めて飲酒運転が規制され、呼気1Lあたりに含まれるアルコール量が0.25mg以上かつ酩酊状態の場合のみ取締りの対象であった。また、罰則も刑事罰が6ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金であり、行政罰は免許停止となっていた。その後、法改正が進むたびに厳罰化が進み、1969年には酩酊状態でなくとも酒気帯び運転として検挙が可能になったほか、1978年には酒酔い運転が免許取り消しに、1987年には刑事罰も引き上げられ、酒酔い運転が2年以下の懲役または10万円以下の罰金に、酒気帯び運転は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金となった。

1987年の改正後、しばらく飲酒運転に係る罰則の改定はなされなかったものの、1999年に発生した東名高速飲酒運転追突事故を契機に厳罰化を求める世論が高まり、2002年には酒気帯び運転の基準値引き下げや行政罰・刑事罰の引き上げなど多岐にわたって厳罰化がなされることとなった。この改正により酒気帯び運転は呼気1Lに含まれるアルコール量が0.15mg以上で検挙対象となった。

その後、2006年に福岡県で発生した福岡海の中道大橋飲酒運転事故により飲酒運転のさらなる厳罰化が求められるようになり、飲酒運転に係る刑事罰が引き上げられたほか、新たに飲酒運転する可能性のあるものに対して車両を提供する「車両提供」、酒類を提供する「酒類提供」、飲酒運転の車に同乗する「同乗」の三行為が飲酒運転周辺三罪として処分されるようになった。なお、酒類提供に関しては1970年の改正時からすでに禁止行為とされていたが罰則がなかったものである。

2021年に千葉県で発生した八街児童5人死傷事故を受け、翌年に道路交通法施行規則が改正された。飲酒運転に関する厳罰化ではないものの、事業用自動車を持たない事業所のうち、5台以上の社有車を持つ事業所に対して出庫前と出庫後のアルコール検査及び安全運転管理者の選任が義務付けられた。

余談[編集]

馬は軽車両であるため、酒に酔った状態で公道で乗馬する行為が飲酒運転に該当するのは明白である。しかし、馬が飲酒した場合の法規制については定めがない。一般的には整備不良が該当するのではないかとささやかれているが、実際のところは不明である。なんにせよ危険な行為であることに変わりはないため、馬のためにもお勧めしない行為である。

関連項目[編集]