TOYOTA LONGPASS EXPRESS

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TOYOTA LONGPASS EXPRESS
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種別高速貨物列車
列車番号2050~4051~4052~2051列車
運行事業者日本貨物鉄道(JR貨物)
名古屋臨海鉄道
トヨタ自動車
佐川急便
走行路線東海道本線
武蔵野線
東北本線
運行区間名古屋南貨物駅 - 盛岡貨物ターミナル駅
両数20両
使用車両EF210形EH500形
運行開始年2006年平成18年)11月15日
備考指定のコンテナ・貨車使用

TOYOTA LONGPASS EXPRESS(トヨタ・ロングパス・エクスプレス)とは、日本貨物鉄道(JR貨物)および名古屋臨海鉄道名古屋南貨物駅 - 笠寺駅 - 盛岡貨物ターミナル駅間で設定している、コンテナ貨物列車の愛称。トヨタ自動車の私有コンテナが列車編成の大部分を貸し切るブロックトレイン(貸切列車)である。通称「ロンパス」「トヨロン」。

南港線東港線東海道本線武蔵野線東北本線を経由する。

概要[編集]

本列車が設定されるまでは、愛知県をはじめ中京圏に多く所在するトヨタ系工場で生産された部品を、トヨタ自動車東日本岩手工場(岩手県胆沢郡金ケ崎町)まで輸送するために内航海運によって輸送されてきた。しかし、生産量増加などによる情勢の変化によって輸送力が不足したため、これまで船舶で輸送していた一部を鉄道貨物輸送に切り替える目的で、トヨタ自動車が日本貨物鉄道(JR貨物)・名古屋臨海鉄道と連携し、2006年平成18年)11月15日より名古屋南貨物駅 - 盛岡貨物ターミナル駅間で『TOYOTA LONGPASS EXPRESS』として運行が開始された[1]。同区間で1日1往復が運行されている(但し名古屋臨海鉄道は日曜日運休)[2]

2017年9月からは、同列車の空きコンテナスペースを利用して、佐川急便が宅配便輸送を開始[3]。鉄道貨物輸送としては異例の「異業種モーダルシフト」として大いに注目され、翌年の2018年に佐川急便とトヨタ輸送は「平成30年度グリーン物流パートナーシップ会議」において特別賞を受賞した[4][5]

編成は牽引する機関車を除いてコンテナ車20両で構成され、大部分をトヨタ自動車の私有コンテナ(U55A形)で貸し切る形となり、コンテナは最大で40個積載される。列車種別は高速貨物列車Aで、およそ15時間から20時間で名古屋と盛岡を結ぶ[6]。列車番号は、笠寺新鶴見信間が2050列車、新鶴見信→盛岡(タ)間が4051列車、盛岡(タ)→新鶴見信間が4052列車、新鶴見信→笠寺間が2051列車[7]

歴史[編集]

  • 2006年平成18年)11月15日:名古屋南貨物 - 盛岡タ間で1往復目が運行開始[8]
  • 2007年(平成19年)10月22日:土休日を除き1日2往復に増便。その後2009年にいったんは1往復に減便されるも、エコカー減税などの優遇措置によって同年度中に2往復体制に戻っている。
  • 2016年(平成28年):再び1往復が臨時化される。臨時化された1本は、東北本線内は12両と8両に分割し、12両側は定期列車、8両側は4083列車・八戸貨物駅行に併結された。
  • 2017年(平成29年)
    • 3月4日:ダイヤ改正により、再び1日2往復の運行に増便される[9][10][11]
    • 9月下旬:2往復に増便した同列車の空きコンテナスペースを利用し、佐川急便が宅配便の輸送を開始する[12][13][3]
  • 2018年(平成30年)12月11日:宅配便輸送の功績が評価され、佐川急便とトヨタ輸送が「平成30年度グリーン物流パートナーシップ会議」において特別賞を受賞する[4][5]
  • 2022年(令和4年)3月12日:ダイヤ改正にてTOYOTA LONGPASS EXPRESSの1往復が臨時列車に格下げされる[14]。当時の世界的な半導体不足による需要減退が原因とみられている。
  • 2023年(令和5年)3月18日:ダイヤ改正にて2022年に臨時化された1往復が廃止され、再び1日1往復での運転となる[15]

北上貨物駅構想[編集]

現在この列車は盛岡貨物ターミナル駅にて荷役作業を行い、貨物駅からは東北自動車道経由でトレーラーでトヨタ自動車東日本の岩手工場まで輸送している。しかしこれでは50km以上も来た道を戻ることになり、非効率的である。そこで、より工場に近い北上市付近の東北本線沿線(旧:北上操車場跡地)に貨物駅を設置すれば輸送効率が上昇するとして、2008年(平成20年)10月6日に「きたかみ新貨物駅設置促進協議会」が設立され、JR貨物などの関係先に新駅設置を要望していた。しかし、2015年11月に仙台貨物ターミナル駅移転計画や自動車関連企業の現地調達率向上を理由として新駅設置を断念、同協議会は「岩手県南地域ロジスティクス懇話会」と名称を変更した[16]

使用車両[編集]

現在の使用車両[編集]

名古屋臨海鉄道[編集]

2形式ともに、名古屋臨海鉄道線内(笠寺 - 名古屋南貨物間)にて運用される。2023年のダイヤ改正にて1往復に減便されたことにより、日中に名古屋臨海鉄道を走るTOYOTA LONGPASS EXPRESSは見ることができなくなった。

JR貨物[編集]

2050列車(新A236仕業)の笠寺→新鶴見信間、2051列車(新A234仕業)の新鶴見信→笠寺間において運用が設定されている[17]。いずれもマルヨ運用。
4051列車(仙貨A156仕業)の新鶴見信→盛岡タ間、4052列車(仙貨A157仕業)の盛岡タ→新鶴見信間に於いて運用が設定されている[18]

脚注[編集]

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出典
  1. TOYOTA LONGPASS EXPRESS 運転開始”. 日本貨物鉄道東北支社 (2006年11月6日). 2023年10月21日確認。ウェイバックマシン
  2. トヨタロングパスエクスプレス”. はてなブログ. 2023年10月21日確認。
  3. a b 佐川急便がJR貨物の「TOYOTA LONGPASS EXPRESS」を活用したモーダルシフト事業を開始”. railf.jp 鉄道ファン (2017年9月13日). 2023年10月21日確認。
  4. a b 【佐川急便】第17回グリーン物流パートナーシップ会議にて特別賞を受賞”. 佐川急便株式会社 (2018年12月12日). 2023年10月21日確認。
  5. a b グリーン物流パートナーシップ会議にて特別賞を受賞しました”. トヨタ輸送株式会社 (2018年12月11日). 2023年10月21日確認。
  6. TOYOTA LONGPASS EXPRESS”. 2023年10月21日確認。
  7. トヨタ・ロングパス・エクスプレス”. 鉄道関連趣味の部屋♪. 2023年10月21日確認。
  8. 企業情報”. 日本貨物鉄道株式会社. 2023年10月21日確認。
  9. “平成29年3月時刻改正 新しい輸送サービスのご案内” (PDF) (プレスリリース), 日本貨物鉄道, (2016年12月16日), オリジナル2017年3月4日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20170304114722/https://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/201612daiya.pdf 2020年11月19日閲覧。 
  10. “JR貨物ダイヤ改正「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」2往復体制に - 機関車新製も”. マイナビニュース. (2016年12月18日. https://news.mynavi.jp/article/20161218-a077/ 
  11. きょうJRダイヤ改正 2017年3月4日、何が変わった? 大物なくとも多くの変化 通販の影響も”. 乗りものニュース (2017年3月4日). 2023年10月21日確認。
  12. “佐川急便、「TOYOTA LONGPASS EXPRESS」を活用したモーダルシフトの運用を開始”. 日本経済新聞. (2017年9月11日. https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP456809_R10C17A9000000/ 2023年10月21日閲覧。 
  13. 異業種共同モーダルシフト…宅配便と自動車部品を運ぶ鉄道貨物、トヨタの「LONGPASS EXPRESS」”. レスポンス (2017年9月13日). 2023年10月21日確認。
  14. 2022年ダイヤ改正 川崎界隈の貨物列車運用はこう変わる!①”. 川崎鶴見鉄道録 (2022年3月13日). 2023年10月21日確認。
  15. みやがわ (2023年2月15日). “JR貨物ダイヤ改正(ロンパス減便+はねうまに迂回スジ設定)”. 4号車の5号車寄り. 2023年10月21日確認。
  16. 北上の新貨物駅断念 設置推進協、物流研究は継続”. いわてを考える (2015年11月5日). 2023年10月21日確認。
  17. 新鶴見機関区EF210運用状況”. 貨物ちゃんねる. 2023年10月21日確認。
  18. 仙台総合鉄道部EH500運用状況”. 貨物ちゃんねる. 2023年10月21日確認。
注釈

関連項目[編集]