遠坂良一

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

遠坂 良一(とおさか りょういち、1912年 - 1980年11月29日[1])は、社会運動家[2]。ソ連問題調査センター代表[1]毛沢東主義者[3]

経歴[編集]

熊本県生まれ。中学卒業後の1931年農民運動に入り、全国農民組合全国会議派(全農全会派)茨城県委員会常任となる[2][4]。1932年日本共産党中央委員会農民部副部長埴谷雄高の下で活動[4]農民闘争社にも所属[5]。同年10月検挙され、懲役3年の実刑判決。1935年釈放[4]

戦後茨城県の党組織再建に当たり、茨城地方委員長、書記長。1946年2月茨城県委員長。1947年第6回党大会で中央委員候補。1949年社共合同の中で山口武秀常総農民同盟の活動家を入党させ、東京都委員長[4]。「五〇年問題」では国際派に属し、1950年4月第19回中央委員会総会で五〇年テーゼ草案を巡り徳田球一書記長と対立[6]。同年7月6日党臨時中央指導部により増田格之助とともに除名[7]。同年9月に国際派が結成した日本共産党統一委員会の全国委員に選出され[8]、その解散後は宮本顕治らと共に国際派が再結集した日本共産党全国統一会議の中心となった[9]。1951年宮本に反対して国際派を離脱[4]

1952年水戸市新いばらきタイムス社を創立[2][3]、不定期刊の『いばらきタイムス』を創刊[10]、のち日刊紙にまで拡大。1955年の六全協により日共に復党するが、のち中国の文化大革命を支持して離党[4]。1962年東風社を創立[2]。1971年『新いばらき』に「哲学者・梅本克己氏の生活と思想」を6回にわたり連載し、日共の圧力で新いばらきタイムス社の社長を辞任。1972年月刊誌『東風』(東風社)を創刊、これに梅本との対談を連載[11]。1976年からソ連問題調査センターを主宰[3]、機関誌『ソ連問題調査月報』、『季刊ソ連問題』(のち『別冊ソ連問題』)を発行。

人物[編集]

  • 1980年に遠坂が逝去した際、いいだももは『朝日新聞』で「茨城県が戦後輩出した三人の真当(まっとう)な共産主義者」として、梅本克己、遠坂良一、山口武秀の名を挙げた[12]
  • 妹の夫は在日朝鮮人の遠坂寛(本名:崔斗煥)。戦前からの活動家で、1947年の第6回党大会で中央委員に選出、1950年6月朝鮮籍の日共党員は日共から離脱との方針を朝鮮労働党が出したため日共を離脱。六全協後は砂利採取業で生計を立てた。長男は映画監督の崔洋一[4]
  • 来栖宗孝「農業・農民問題研究のために : お礼に代えて」(『立命館言語文化研究』21(3)、2010年1月)では、1947年日共茨城県委員長、1950年東京都委員長。遠坂寛は妻の妹の夫。

著書[編集]

  • 『毛沢東思想と現代の課題――対談』 梅本克己共著、三一書房、1972年

脚注[編集]

  1. a b 20世紀日本人名事典の解説 コトバンク
  2. a b c d 鈴木正節「遠坂良一」、現代革命運動事典編集委員会編『現代革命運動事典』流動出版、1981年、192頁
  3. a b c 「表現の自由」研究会編著『現代マスコミ人物事典』二十一世紀書院、1989年、646頁
  4. a b c d e f g 渡部富哉監修、伊藤律書簡集刊行委員会編『生還者の証言――伊藤律書簡集』五月書房、1999年、207頁
  5. 立花隆『日本共産党の研究(三)』講談社文庫、1983年、141頁
  6. 小山弘健『戦後日本共産党史――党内闘争の歴史』津田道夫編・解説、こぶし書房(こぶし文庫 戦後日本思想の原点)、2008年、95頁
  7. 小山弘健『戦後日本共産党史――党内闘争の歴史』津田道夫編・解説、こぶし書房(こぶし文庫 戦後日本思想の原点)、2008年、106-107、277頁
  8. 小山弘健『戦後日本共産党史――党内闘争の歴史』津田道夫編・解説、こぶし書房(こぶし文庫 戦後日本思想の原点)、2008年、116頁
  9. 小山弘健『戦後日本共産党史――党内闘争の歴史』津田道夫編・解説、こぶし書房(こぶし文庫 戦後日本思想の原点)、2008年、125頁
  10. 新いばらきタイムス社廃刊茨城県の地元新聞「新いばらき」廃刊
  11. 梅本克己文庫 一般財団法人 日本鉄道福祉事業協会(公式ホームページ)
  12. 来栖宗孝「いいだももを追討する」『コモンズ』36号(2011年6月1日)

関連文献[編集]

  • 山口武秀『わが青春を賭けたもの――牢獄と戦争と抵抗』三一書房、1969年
  • 宮内勇『1930年代日本共産党私史』三一書房、1976年
  • 大岡昇平、埴谷雄高『二つの同時代史』岩波書店、1984年/岩波現代文庫、2009年
  • 小島亮『ハンガリー事件と日本――一九五六年・思想史的考察』中公新書、1987年/現代思潮新社、2003年
  • 大池文雄『水戸コミュニストの系譜』ぺりかん社、2009年