篠原睦治

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篠原 睦治(しのはら むつはる、1938年[1] - )は、日本の臨床心理学者。脳死・臓器移植に反対する市民会議代表、子供問題研究会代表[1]日本社会臨床学会運営委員[2]和光大学名誉教授[3][4]

経歴・人物[編集]

東京生まれ[1]東京教育大学特殊教育学科卒業[5]、同大学院修了[1]。1969年、同大学特殊教育学科助手[6]。60年代半ばから70年代当初まで、心理テストやカウンセリングを使いながら、「普通教育から特殊教育への橋渡し的業務としての教育相談」に従事する。その中で「分けない、分けられない」「どの子も地域の学校へ」という親の願いに賛同し、特殊教育を分断・隔離と批判、「共生・共育」を主張するようになった[5]。1972年に「子供問題研究会」を結成[6]、機関紙『ゆきわたり』を発刊する[5]。1979年の養護学校義務化実施、養護学校義務化を理論的に支える発達保障論を批判する[5]

1973年から和光大学人間関係学科教員[5]。和光大学人文学部教授[7](後に改組に伴い人間関係学部人間関係学科、現代人間学部身体環境共生学科)教授を務め、臨床心理学、「障害児・者」問題などを担当する[8]。80年代前半から日教組全国教研障害児教育部会に共同研究者として参加する[5]。60年代半ばから日本臨床心理学会会員、60年代末から20数年間学会活動の企画・運営に参加したが、1991年以降、臨床心理士の国家資格化に反対した篠原らは脱会し、1993年に日本社会臨床学会を設立した[5]。2009年3月に退職[5]

1979年の養護学校義務化反対運動のスローガンとなった「共生・共育」論の代表的論者であり[9][10]、障害児教育運動の中で初めて共生という言葉を使ったとされる[11]。「同一時・空問で、同一テーマ・教材のもとで、共に生活する」ことを「共生・共育」として主張した[10]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『キブツのこどもたち』 誠信書房、1971年
  • 『「障害児」観再考――「教育=共育」試論』 明治図書出版、1976年
  • 『「障害児」教育と人種問題――アメリカでの体験と思索』 現代書館、1982年
  • 『「障害児の教育権」思想批判――関係の創造か、発達の保障か』 現代書館、1986年
  • 『共生・共学か発達保障か――'80年代日教組全国教研の争論』 現代書館、1991年
  • 『脳死・臓器移植、何が問題か――「死ぬ権利と生命の価値」論を軸に』 現代書館、2001年

共著[編集]

  • 『国の責任――今なお、生きつづけるらい予防法』 島比呂志共著、社会評論社、1998年

編著[編集]

  • 『関係の原像を描く――「障害」元学生との対話を重ねて』 現代書館、2010年

分担執筆[編集]

  • 『俺、「普通」に行きたい』 子供問題研究会編、明治図書出版、1974年
  • 『俺、「普通」に行きたい 続』 子供問題研究会編、明治図書出版、1976年
  • 『「できない」子の側の生活とことば――共に育つことへの模索』 子供問題研究会編、教育出版、1978年
  • 『心理テスト――その虚構と現実』 日本臨床心理学会編、現代書館、1979年
  • 『戦後特殊教育・その構造と論理の批判――共生・共育の原理を求めて』 日本臨床心理学会編、社会評論社、1980年
  • 『子どもに学び子どもと共に――普通学級における「共育」の創造』 子供問題研究会編、教育出版、1980年
  • 『現代心理学の動向――1946~1980』 肥田野直編、川島書店、1980年
  • 『知能神話――競う知能から生きる知恵へ』 山下恒男編著、JICC出版局、1980年
  • 『大学教師の実践記録――和光大学の場合』 和光大学編著、明治図書出版、1984年
  • 『調査と人権』 広田伊蘇夫、暉峻淑子編、現代書館、1987年
  • 『教育心理学の社会史――あの戦争をはさんで』 波多野誼余夫、山下恒男編、有斐閣、1987年
  • 『「早期発見・治療」はなぜ問題か』 日本臨床心理学会編、現代書館、1987年
  • 『裁判と心理学――能力差別への加担』 日本臨床心理学会編、現代書館、1990年
  • 『四つの死亡時刻――阪大病院「脳死」移植殺人事件の真相』 季刊メディカル・トリートメント編集部編、さいろ社、1992年
  • 『社会臨床シリーズ 第2巻 学校カウンセリングと心理テストを問う』 日本社会臨床学会編、影書房、1995年
  • 『社会臨床シリーズ 第3巻 施設と街のはざまで――「共に生きる」ということの現在』 日本社会臨床学会編、影書房、1996年
  • 『変容するモンゴル世界――国境にまたがる民』 和光大学モンゴル学術調査団、新幹社、1999年
  • 『カウンセリング・幻想と現実 下巻 生活と臨床』 日本社会臨床学会編、現代書館、2000年
  • 『子どもの〈心の危機〉はほんとうか?』 小沢牧子編、教育開発研究所、2002年
  • 『人権の新しい地平――共生に向けて』 岡村達雄、玉田勝郎責任編集、学術図書出版、2003年
  • 『いのちの対話――ふたたび生と死を考える』 長野大学編、郷土出版社、2006年
  • 『シリーズ「社会臨床の視界」 第3巻 「新優生学」時代の生老病死』 日本社会臨床学会編、現代書館、2008年
  • 『シリーズ「社会臨床の視界」 第4巻 心理主義化する社会』 日本社会臨床学会編、現代書館、2008年
  • 『再検討教育機会の平等』 宮寺晃夫編、岩波書店、2011年
  • 『国策と犠牲――原爆・原発そして現代医療のゆくえ』 山口研一郎編著、社会評論社、2016年

脚注[編集]

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 日外アソシエーツ編『新訂 現代日本人名録2002 2.かな~せ』日外アソシエーツ、2002年、1519頁
  2. 日本社会臨床学会の活動履歴・組織など 日本社会臨床学会
  3. #09 石川憲彦さん: 不登校50年証言プロジェクト 全国不登校新聞社(2016年12月8日)
  4. #14 中島浩籌さん: 不登校50年証言プロジェクト 全国不登校新聞社(2017年3月6日)
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 篠原睦治 「"仕事"36年を振り返る」『和光大学現代人間学部紀要』2、2009年3月、pp.7-28
  6. 6.0 6.1 Ricketts Robert 「ブックレビュー 篠原睦治編著『関係の原像を描く--「障害」元学生との対話を重ねて』」『東西南北』2011、和光大学総合文化研究所 、2011年、pp.262-272
  7. 紀田順一郎ほか編『現代日本執筆者大事典77/82 第1巻 (か~し)』日外アソシエーツ、1984年 、622頁
  8. 脳死・臓器移植、何が問題か―「死ぬ権利と生命の価値」論を軸に 紀伊國屋書店
  9. 村上美奈子「障害児教育批判と養護学校の実際 :養護学校のいまとこれからを問う」『研究室紀要』第29号、東京大学大学院教育学研究科教育学研究室、2003年6月、pp.15-23
  10. 10.0 10.1 羽田野真帆「2. 聴覚障害児の統合教育現場における「共生」の実践 : 聴児との関係性に着目して(IV-3部会 【テーマ部会】「共生」と教育の課題,研究発表IV,一般研究報告) 」『日本教育社会学会大会発表要旨集録』62、2010年9月、pp.314-315
  11. 西村愛「共生・共学概念の曖昧さを問い直す」『社會問題研究』53巻1号、2003年12月、pp.125-144

関連項目[編集]

外部リンク[編集]