火力発電
火力発電(かりょくはつでん)は、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)や廃棄物などの反応熱エネルギーを電力へ変換する発電方法の一つである。火力発電を行う施設を火力発電所という。
概要[編集]
もっとも効率が良い外燃機関である蒸気タービンを使用し、お湯を沸かしてタービンを回す。
蒸気の性質[編集]
一定圧力のもとで水を加熱すると、水はその圧力に定まった温度まで上昇したあと沸点に達し、蒸発をはじめる[1]。その後加えた熱量は気化のため消費されて温度上昇は止まる。このような状態時の水及び蒸気を飽和水及び飽和蒸気といい、このときの圧力を飽和圧力という。沸点は圧力によって変わり、圧力が増すと沸点も上昇する[2]。飽和蒸気の中には霧状の水滴が含まれているので湿り蒸気といい、湿り蒸気を加熱すると水分を含まない乾燥した乾燥蒸気となる。この乾燥蒸気を一定の圧力のもとで加熱すると加えた熱量に比例して蒸気温度が上昇する。この蒸気をその圧力のその圧力の過熱蒸気という。
特徴[編集]
水力発電に比べて建設費が安い、電源立地の自然的条件の制約が少ない、大容量機設置ができる、大消費地に近接した地点で建設できるので電力輸送の際の損失が少なくてすむのが利点。原子力発電に比べると、エネルギー密度は低いものの、出力の調整がしやすく、需要に応じて出力を柔軟に調整しやすい利点がある。
一方で、水力発電に比べて機構が複雑になり、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)ほか、大気汚染の原因になる。燃料の種類により、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)といった有害物質を多量に排出する。運転費が大きいという欠点もある。また化石燃料は備蓄できる量が少なく、日本の様な化石燃料を輸入に頼っている国では、燃料の供給が途絶えると発電できなくなるリスクが高い。
二酸化炭素や大気汚染物質の排出量を抑えるため、化石燃料に他の燃料を混ぜて燃焼させる技術も開発されている(アンモニアや木質ペレット)。二酸化炭素も回収して他の用途に使うように改良されている。
関連項目[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
- 堀孝正『パワーエレクトロニクス』オーム社出版局2002年2月25日第1版第7刷発行
- 酒井善雄『電気電子工学概論』丸善株式会社
- 力武常次、都築嘉弘『チャート式シリーズ新物理ⅠB・Ⅱ』数研出版株式会社新制第11刷1998年4月1日発行
- 矢野隆、大石隼人『発変電工学入門』森北出版株式会社2000年9月13日第1版第4刷発行
- 西巻正郎・森武昭・荒井俊彦『電気回路の基礎』森北出版株式会社1998年3月18日第1版第12刷発行
- 電気学会「電気学会大学講座電気機器工学Ⅰ」社団法人電気学会2002年1月31日14刷発行