池明観
ナビゲーションに移動
検索に移動
池 明観(チ・ミョングァン、1924年10月11日[1] - 2022年1月1日)は、韓国の宗教政治学者、評論家、クリスチャン。「T・K生」の名で1973年-1988年に雑誌『世界』に『韓国からの通信』を連載した。北朝鮮を支持して韓国民主化活動を行っていたが、訪朝後に転向している。
来歴[編集]
朝鮮平安北道(現在北朝鮮)生まれ。ソウル大学大学院を終了し、1972年に来日。1986年に東京女子大学の教授に就任。
1973年から1988年まで、キリスト教関係者が韓国から持ち出した資料などを用いて「世界」に匿名で「韓国からの通信」を連載。軍事政権の人権抑圧、対抗する民主化運動などを伝えて世界的な反響を呼んだ。なお、自分がT・K生と明かしたのは2003年のことである。1993年に韓国に帰国、1998年からの金大中政権においては日本の大衆文化の開放を検討するための政策諮問委員会の会長を務め、日本の大衆文化に対する警戒、嫌悪感が強かった当時として早期開放を主張し、その意見を受け入れるように尽力した。結果、日本の歌謡やドラマなどが韓国で親しまれることになる。また、多くの著作があり、日本に関する著作も多い。
2022年1月1日午前7時45分、脳梗塞のため、ソウル近郊の京畿道南楊州市の病院で死去した。97歳没。
日本語の著作[編集]
単著[編集]
「T・K生」名義
- 『韓国からの通信(1972.11-1974.6)』 「世界」編集部編、岩波書店〈岩波新書〉、1974年8月20日。ISBN 4-00-415042-6。
- 『続・韓国からの通信(1974.7-1975.6)』 「世界」編集部編、岩波書店〈岩波新書〉、1975年。
- 『第3・韓国からの通信(1975.7-1977.8)』 「世界」編集部編、岩波書店〈岩波新書〉、1977年10月。
- 『軍政と受難 ―第四・韓国からの通信―』 「世界」編集部編、岩波書店〈岩波新書〉、1980年9月22日。ISBN 4-00-420131-4。
「池明観」名義
- 『流れに抗して 韓国キリスト者の証言』 新教出版社、1966年。
- 『アジア宗教と福音の論理 第三世界とキリスト教』 新教出版社、1970年。
- 『韓国現代史と教会史』 新教出版社、1975年。
- 『韓国文化史』 高麗書林、1979年4月。
- 『韓国文化史』 明石書店〈世界歴史叢書〉、2011年2月、新版。ISBN 978-4-7503-3338-0。 - 初版:高麗書林1979年刊。
- 『現代史を生きる教会』 新教出版社、1982年5月。
- 『破局の時代に生きる信仰』 新教出版社、1985年10月。
- 『チョゴリと鎧 その歴史と文化をとらえなおす視点』 太郎次郎社、1988年12月。
- 『現代に生きる思想 ハンナ・アレントと共に』 新教出版社、1989年1月。ISBN 4-400-41567-8。
- 『勝利と敗北の逆説』 新教出版社、1990年11月。ISBN 4-400-51570-2。
- 池明観(述) 『韓国からみた教科書検定の問題点 教科書裁判(第三次訴訟控訴審)の証言「意見書」』 教科書検定訴訟を支援する全国連絡会、1991年。
- 『韓国から見た日本 私の日本論ノート』 新教出版社、1993年2月。ISBN 4-400-41536-8。
- 『人間的資産とは何か ソウルからの手紙』 岩波書店〈シリーズー生きる〉、1994年7月。ISBN 4-00-003823-0。
- 『韓国民主化への道』 岩波書店〈岩波新書〉、1995年10月。ISBN 4-00-430412-1。
- 『ものがたり朝鮮の歴史 現在と過去との対話』 明石書店、1998年1月。ISBN 4-7503-1005-0。
- 『ものがたり朝鮮の歴史 現在と過去との対話』 明石書店〈Ondemand collection〉、2003年5月、オンデマンド版。ISBN 4-7503-9004-6。
- 『日韓関係史研究 1965年体制から2002年体制へ』 新教出版社、1999年9月。ISBN 4-400-21296-3。
- 『韓国と韓国人 一哲学者の歴史文化ノートより』 アドニス書房、2004年3月。ISBN 4-309-90569-2。
- 『T・K生の時代と「いま」 東アジアの平和と共存への道』 一葉社、2004年7月。ISBN 4-87196-028-5。
- 『境界線を超える旅 池明観自伝』 岩波書店、2005年8月。ISBN 4-00-023830-2。
- 『韓国近現代史 1905年から現代まで』 明石書店〈世界歴史叢書〉、2010年1月。ISBN 978-4-7503-3125-6。
- 『叙情と愛国 韓国からみた近代日本の詩歌 1945年前後まで』 明石書店、2011年12月。ISBN 978-4-7503-3511-7。
- 『「韓国からの通信」の時代 ―韓国・危機の15年を日韓のジャーナリズムはいかにたたかったか―』 影書房、2017年9月。ISBN 978-4877144753。
共著・編著・共編著[編集]
- 『日韓キリスト教関係史資料 1876-1922』 小川圭治・池明観編、新教出版社、1984年5月。
- 池明観ほか 『日本滞在二十年と韓国への想い 対談池明観氏に聴く』 「朝鮮問題」懇話会〈「朝鮮問題」学習・研究シリーズ 第44号〉、1993年3月。
- 藤田英彦・池明観 『自由に生きる』 新教出版社、1995年3月。ISBN 4-400-51993-7。
- 池明観ほか編 『日韓の相互理解と戦後補償』 日本評論社、2002年3月。ISBN 4-535-51304-X。
- 池明観 「詩人佐藤清との「再会」」『時代のように訪れる朝を待つ 「日韓併合」101年、キリスト者たちの対話』 『福音と世界』編集部編、新教出版社〈新教コイノーニア 25〉、2011年8月。ISBN 978-4-400-21315-4。
- 池明観 述 「東アジアへの架け橋として」『わたしたちはいま、どこにいるのか 隅谷三喜男先生から託されたもの』 日本基督教団代田教会編、新教出版社〈新教コイノーニア 27〉、2012年3月。ISBN 978-4-400-40723-2。
監訳[編集]
- 李光洙 『有情』 池明観 監訳、高麗書林、1983年10月。ISBN 4-87561-036-X。