元服
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元服(げんぷく)とは、男子もしくは女子の昔の成人儀式のことである。現代における成人式と同様と考えてよい。「元」は首、「服」が服装のことを意味する。元服を経ることで頭に何も被らずにいた状態(露頂)から、頭髪を整えて被り物をし、童服から成人服に服を改めることになる。元服の別称に首服(しゅふく)、冠礼(かんれい)、初冠(ういこうぶり)、御冠(ごかん)などがある。冠の着用が一際、重要な位置づけにあったと見ることができる。
概要[編集]
古代中国が元服の起源と言われる。日本においては古代の天皇などに元服の事例が確認できる。
日本で元服が頻繁に確認できるようになるのは、武家社会における平安時代末期のことである。
元服における頭髪に関わる役割として、加冠(かかん)、理髪(りはつ)、能冠(のうかん)などがあり、冠を被せる加冠が最も重要な役割で、天皇の元服の場合は朝廷で天皇に次ぐナンバー2であった太政大臣がその役割を務めることが多かった。中世の武家社会になると、冠ではなく烏帽子が用いられるようになり、加冠役の人を烏帽子親、冠者(元服する者のこと)を烏帽子子と呼ぶようになる。鎌倉時代からは、烏帽子子が烏帽子親からその諱の一字を貰う偏諱が散見されるようになる。なお、武家社会における元服は非常に重要な行事であり、その記録が公家の日記など、多くの史料によって残されている。中世の武家、例えば室町幕府の征夷大将軍の場合は、烏帽子親や加冠役などは幕府の有力者、すなわち引退した征夷大将軍や管領、関白などが務めていたのが確認されている。つまり、武家の烏帽子親などは、その当時の政治情勢によって自身の後押しになるような人物が務めることが配慮されていたと言える。