令和4年台風第14号

令和4年台風第14号（れいわ4ねんたいふうだい14ごう）は、2022年9月18日の14号台風。国際名は「Nanmadol」。典型的な巨大台風（スーパー台風）であり、その勢力の強さ故に大きく注目された。

概要

2022年9月14日3時に小笠原近海で発生した台風14号は、勢力を強めながら北上し、17日には中心気圧910hPaという猛烈な勢力となった。そのためメディアでは「過去最強クラス」「スーパー台風」などと報道され、大きく注目を集めた。台風は非常に強い勢力を維持したまま18日に鹿児島県から九州に上陸し、日本列島を縦断して各地に大きな爪痕を残した。上陸時の中心気圧は940hPa（歴代5位タイ）で、21世紀以降では最強となり、甚大な被害をもたらした伊勢湾台風などにほぼ匹敵する勢力であった。気象庁は鹿児島県と宮崎県に特別警報を発表したが、台風の特別警報が沖縄県以外に発表されたのは2013年の運用開始以降初である。いかに台風が強力であったかがお分かりいただけよう。被害の概要は、死者5人、負傷者161人、住家の全壊11棟、半壊157棟、一部破損1,220棟、床上浸水664棟、床下浸水692棟。近年まれに見る巨大台風ではあったが、事前に警戒が呼びかけられたためか、その勢力の割に被害の規模は比較的小さかった。

台風通過後の静岡豪雨

台風14号による大災害から1週間も経たない9月22日、今度は台風15号が発生し、本州に接近した。この台風は、中心気圧1,000hPaと勢力としては非常に弱いものであり、寿命もわずか1日余りに過ぎなかった。過去最強クラスと呼ばれた先日の台風14号とは、勢力が雲泥の差であった。しかし、台風は暖く湿った空気を送り続けて雨雲を発達させたため、23日夜から24日朝にかけて静岡県に記録的な集中豪雨をもたらした。風がほとんど吹かない割には降水量が多い「雨台風」の典型例となった。線状降水帯の発生に伴う記録的豪雨に見舞われた静岡県では記録的短時間大雨情報が16回も発表され、24時間雨量が400mmを超えて史上1位の記録となった地域もあった。

静岡県を中心に豪雨被害は甚大で、死者3人、負傷者6人、住家の全壊6棟、半壊1,802棟、一部破損1,724棟、床上浸水5,200棟、床下浸水4,302棟となった。全数の9割以上の167件の土砂災害が静岡県で発生し、単一の台風・単一の県で発生した件数としては歴代2位となった（1位は令和元年東日本台風による宮城県の254件）。この台風は、台風の勢力と被害の規模は比例するわけではないことを物語っているといえよう。風害のないごく弱い台風であっても、大雨による甚大な災害が発生する可能性は十分にあり得るのである。