ホトケドジョウ

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ホトケドジョウ
分類
動物界
脊椎動物門
条鰭綱
コイ目
上科ドジョウ上科
フクドジョウ科
ホトケドジョウ属
ホトケドジョウ
名称
学名Lefua echigonia
Jordan et Richardson, 1907
和名ホトケドジョウ (仏鰌、仏泥鰌)
英名Japanese eight barbeled loach
保全状況
環境省レッドリスト絶滅危惧IB類

ホトケドジョウとは、コイ目フクドジョウ科に分類されるドジョウの一種である。

形状[編集]

全長8cm。体は円筒形で細長い。

口髭は上唇から3対、鼻孔から1対の計4対8本ある。体色は、茶褐色か赤褐色で黒点が散らばっている。

ナガレホトケドジョウに似ているが、ナガレホトケは顔に黒い線があり、尾鰭に斑紋がある。またナガレホトケドジョウよりも本種は人里に近いところに生息する。

比較的眼が大きく、眼の直径は吻の長さよりも長い。

生態[編集]

日本の固有種で、東北地方~近畿地方の湧き水が流れる小流や山地の水田や用水路などに生息する。腐葉泥が厚く積もった所や、落ち葉が蓄積した所、水草や石がある場所を好む。

トビケラ、チョウ目、ハエなどの水生昆虫を食べる[1]。27℃以上になると弱る。

産卵期は3月下旬から6月上旬ころ。2~3匹のオスが1匹のメスを追尾して水草に産卵・放精する。繁殖期に複数回産卵する。

2cm以下の個体は底で生活し、1年で成熟する。生まれてから1年絶つと3~4cmほどになり、2年で4~7cmになる。

他の季節に比べて、冬場は成長速度は遅くなる[2]

マツカサガイ幼生の宿主である。

分類[編集]

本種は、デイビッド・スター・ジョーダンとロバート・アール・リチャードソンが1907年に記載した[3]

種小名の‘‘echigoniaエキゴニア’’は、模式産地の新潟県に由来する。

アロザイムとミトコンドリアのシトクロムb解析から北陸集団、東北集団、山形集団、北関東集団、南関東集団、東海集団、近畿集団の7地方集団に分かれるとされる。

人間との関係[編集]

アクアリウムで飼育されることもある。ドジョウよりも繁殖が容易である。

群馬県藤岡市では天然記念物に指定されている。模式産地である長岡市では、採集禁止である。

保全[編集]

湧き水が無くなったり、用水路がコンクリート化したため、個体数が減っている。

外来種アメリカザリガニにより数を減らしている。

神奈川の水産技術センター内水面試験場では、1998年より大幅な種苗生産事業を行っている。

脚注[編集]

  1. 花井隆晃、中西彬、伴邦教、服部翔吾、田頭直樹、谷口 義則「愛知県の谷津田に生息するホトケドジョウの食性」、『保全生態学研究』第28巻第2号、日本生態学会、2023年doi:10.18960/hozen.2210
  2. 青山茂「ホトケドジョウとナガレホトケドジョウの成長の比較例」、『伊豆沼・内沼研究報告』第8巻、2014年、 45-50頁、 doi:10.20745/izu.8.0_45
  3. D. S., Jordan; R. E., Richardson. “On a collection of fishes from Echigo, Japan”. Proceedings of the United States National Museum v. 33: 263-266. https://www.biodiversitylibrary.org/page/15668431#page/317/mode/1up.