ブラック企業
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ブラック企業(ブラックきぎょう)とは、以下の三つの特徴のいずれか(時には全て)に当てはまる法人のことである。その企業体の規模などは職場・事業場・企業・企業グループなどさまざまである。
- 悪徳商法型 - 顧客から不当に利益を得る。詐欺商法や催眠商法などもここに分類される。
- 搾取型 - 従業員や取引先を食い物にする。
- 脱法型 - 脱税が代表である。収入をごまかしたり、安全基準を守らないなど。
- いじめ型 - 「企業」というものは、本来は利益追求のための組織なのだが、「経営者なんだけど株主でもない」ことにフラストレーション(鬱憤)を晴らすために「名ばかり取締役」によるいじめ]が横行している。
要するに、"悪い会社"のことである。
分野としては、
- 作業員の斡旋・下請け(現場作業員、工場労働の作業員、プログラマなど)
- 化粧品・食品(健康食品や贈答品など)・羽毛布団・英語教材などの通販
- 投資など(豊田商事、安愚楽牧場事件などを参照のこと)
- エセ宗教・霊感商法・資格商法など(エホバの証人、統一教会、豊田商事の「白道」)
- 飲食業(下はワタミから上は船場吉兆まで)
が知られる。
いわゆる反社会性パーソナリティ障害者の巣窟というか、法人そのものが反社会性パーソナリティ障害である。
概要[編集]
近年では「ビジネスモデルそのものが脱法・不法である組織」を総称して、ブラック企業という。
- ブラック型(暴力団のフロント企業など)
- シマウマ型(ブラックな部署とホワイトな部署が混在している)
- ペスト型(元々はホワイトだったものが、ブラックが侵入してきてブラック化が進行し、致命的にブラックになって企業が崩壊する)
など数種がある。
顧客の被害[編集]
悪徳商法型[編集]
- 飲食業(居酒屋)などにおいては、 料理を注文すると値段も安くないのに量が常識外れに少ない。客は満腹できないので、次々に料理を注文せざるを得なくなる。酔って金銭感覚が鈍って来ることを利用した詐欺まがいの行為である。ビールを注文すると発泡酒が出てくる。
- 残食の使いまわし。
- 産地偽装など。「国産!」と書いてあるのに冷凍加工食品が出てくる(国内で販売されているものには産地表示としては「国産」である)。
- 通信販売で何か買うと、カタログとは全く違うものや不良品、傷物を送ってくる。正月用おせちが見本の写真と違ったり、冷凍のカニが冷解凍を繰り返してスカスカだったりという例もある。
- 荷物の扱いが乱暴な運送屋。「取り扱い注意」と書かれたお客様の大事なお荷物を、お客様の前では馬鹿丁寧に扱うが、倉庫などではトラックの荷台から荷物を投げ落とし、仕分け作業では、ぶん投げるように扱い、壊れたってお構い無しである。ダンボール箱には通常8つの角があるが、ブラック急便が運んできた荷物は大抵1ヶ所か2ヶ所、角が潰れて丸くなっているのですぐにブラック急便だと分かる。農業を営む夫婦が、都会に嫁に行った娘の家に果物をブラック急便で送ってやると潰れて汁が出て蝿だらけになって届く。一升瓶に入った高級な醤油を送ればビンは割れて、他の客の荷物まで美味しい醤油漬けになる。
類似の事件としては、「高島屋クリスマスケーキ」がある。 - 顧客情報が、他のブラック企業に流れる。
- 迷惑メールが増える。あるいは、時差が無いはずなのに午前零時に宣伝メールが来る。
- その他の間接被害。最近ではビッグモーターの事例が有名である。
関係者の被害[編集]
就職前[編集]
- 「隠れ職能ランキング」がある。「職能給制度」とされ、扱いが違う。「上級職」「標準職」の下は「一般職」であることが多く、「下級」「下等」とは大っぴらには言ってはいけないことになっている。
- 求人広告を見て時給が安い場合は、「一般職」の募集である。「楽な仕事なのだろう」と思って応募すると、想像を絶する重労働をさせられる。
- 「給料30万円以上可」などといった求人広告では、「上級職になったら」という意味であり、実際に勤務してみると最下級に落とされ、しかも罰金やらなんやらが課される(しかも、これは現金で払わされるので銀行振込ではちゃんと会社が支払ったことになる)ので、実際の手取りは最低賃金を切りかねない。
従業員に対して[編集]
かつては労働基準法や最低賃金法などを無視する傾向があったが、近年では「コンプライアンスの徹底」を謳い文句にしているブラック企業も多いため、手口は巧妙化している。いわゆるブラック士業や経営コンサルタントに金を流す口実にもなるため、むしろ事態は悪化しているともいえる。
労基署に言っても、面倒臭がって速やかに対応してくれないことが問題を大きくしている。被害者が労基署に相談しても対応が中途半端だと、ブラック企業は被害者に嫌がらせをして辞職に追い込んだり、些細なことを理由に解雇する。
従業員全般に対するもの[編集]
- 仕事が暇な季節になると、休業保証もせずに仕事を強制的に休ませる。
- やむを得ない事情が無い限り、有休を認めない。サービス残業の強制。
- 酷い場合だと、正当な理由がある場合でも有休・育休などを認めない。
- 「今日は残業1時間だ」と言い55分ほど残業をさせ、残業時間は30分しか認めないという詐欺まがいの行為を行う。
- 「今日はノー残業日だ」と言い、時間外労働手当が出ない。はなはだしい場合は、タイムカードが見当たらなくなり、次の出社時には定時で打刻されたタイムカードがなぜかある。
製造業におけるライン業務[編集]
- コンベアの回転数を徐々に上げてしまうという古臭い手口もブラック企業では横行している。回転数を上げることで生産数はウナギ登りに増える。労働者の心身への負担は倍増する。しかし何故か給料だけは全く増えないのである。
- コンベアの回転を上げられ「こんなの間に合うかよ」というくらいのハイペースで働かされると、従業員は時間の感覚に異常を来してくる。「こんなに仕事をしたのだから一時間は経っただろう」と思って時計を見ると十五分しか経っていないという怪奇現象が多発するようになる。
- 夜勤の際に、コンベアの回転を上げ過ぎた結果、翌朝まで掛かる予定の仕事が深夜に終わってしまうと、従業員を強制的に帰らせる。勿論、賃金はカットである。しかも、電車もバスもなく従業員は深夜に歩いて帰らされる。女性従業員など、一度や二度なら無事に帰宅できるかも知れないが、何度もそんなことをさせられていれば、どういう結果になるかお察しください。
- 「チャレンジ200」(「生産性を倍に上げろ」の意)といったスローガンが、至るところに張ってある。
- 「ZD」(ゼロ・ディフェクト。「不良品ゼロ」の意)といったスローガンが、至るところに張ってある。
- 「労災ゼロ」といったスローガンが、至るところに張ってある。
- ブラック企業のライン(正確には、派遣先のライン)で機械がトラブって止まったときには、素晴らしい安堵感を感じることができる場合もあるかもしれないが、その場合は給料も出ないので糠喜びである。スケジュールが遅れて「お盆休み返上で出勤」と命令されて予定していた長期の旅行の予約をキャンセルしたら、お盆休み直前に「お盆休みはラインの設備の点検を行うので、工場の電源を落としちゃうので作業できませんよ?」と言われ、その場に泣き崩れていた人もいた。
社内に[編集]
- 日常的にパワハラを行う。従業員に罵声を浴びせながら過酷な労働を強いる。
- パワハラ中間管理職は優遇される。理由はお察しください。
- 終電に間に合わなくなろうと構わず深夜まで残業をさせる。マイカー通勤ならばともかく、電車通勤の者はたまったものではない。
- なので、社員に職場近辺への転居を推奨する。ただし、マイカー通勤の場合、労災保険法上では、通勤災害は業務災害に準じた労災保険給付が行われるため、そのまま勤務させてサービス残業とするか、自腹でビジネスホテルに泊まるか、ネカフェで寝るとかいったことになる。
- 苦情を言えば
「嫌なら辞めろ」「いつ辞めてくれてもいいんだよ?」が決まり文句である。決まり文句ではあるが、辞めようとすると「貴殿が辞めることで弊社に与えた損害を補償しろ!」といった一般的には意味不明な要求をしてくることもあれば、連帯保証人のところに「損害賠償しろ」と脅しをかけることもある。既に疲弊し尽くしていて思考能力も正常でない従業員は、「損害賠償が払えないので働くしか無いのか……」と考えてしまうことも少なからず有る。 - モチベーションアップ株式会社のポスターが貼ってある。
など
その他[編集]
- ブラック企業に若い女性が入社すると、数ヵ月後には白髪やシワが目立ち始め、数年後には顔も性格も鬼ババアのようになってしまう。男の場合も同様である。
- 従業員は低賃金で働かされているため貯金もなく、辞めて職探しをするだけの経済的余裕がないために「辞めたくても辞められない」場合が多い。なお、「守秘義務契約」「同業他社への転職は禁止」などの縛りがあったりするが、労務契約書などは見たことがない。
- 普通の者は1日~半月くらいで辞めてしまうので、どこの会社でも雇ってくれないような変人ばかりが残ってしまう。そのため新人が入社し比較的楽な作業をさせられた場合でも、人間関係の問題から辞めてしまう場合が多い。
- 初日の休憩時間などに脱獄して二度と戻って来ない者も少なくない。先輩たちは「根性のないヤツだなあ」などと言いながら、本心は、すぐに逃げることのできるその性格を羨ましがっているのである。
- ブラック企業の経営者が「頑張れよ」と言ってリポビタンDをくれたら、その本心はお察しください。「カーフェソフト錠」(エーザイ)「エスタロン・モカ」(エスエス製薬)「眠眠打破」(常盤薬品工業)「タウロポン」(ピップ)などの常用者も多いが、「シャブに手を出さないだけマシ」と言われている。
特徴[編集]
- 子会社・親会社・関係会社・協力会社といった、関係のよくわからない会社の人間がよく来る。しばしば筋悪(暴力団関係者)も混じっていたりする。
- あちこちに「事業所」と称する十人以下のオフィス(マンション)がある。十人以下の事業所の場合は、労務契約書を役所に届出しなくてもよいからである。労務契約書は事業所ごとによって定められるため、労働者は自分がどういう契約に基づいて就労しているのかは知る由もない。
- 派遣業務の場合は、「派遣先の就労規則に従う」となっているが、派遣先の就労規則がどうなっているかは通知されない。
- 「株主」「取締役」「商業使用人(雇用契約をしているかどうかは問わない)」では待遇はかなり異なるが、一様に「社員」と呼ばれる。ただし法律上は「株主」を社員といい、雇用者は「商業使用人」であり、雇用契約を結んでいなければ試用期間であっても「個人事業主」ということに内部的にはなっている。
ありがち[編集]
- いわゆる「子会社」が多い。いわゆる「大手企業の仕事」であっても、元請(取引口座を持っている)の(口座を持っていない)下請の下の孫請けの下の曾孫請けよりもさらに下であるため、中請けが利益を抜くために、単価がかなり低い。
- オフィスはレンタルであり、調度品などもレンタル品である。パソコンなどもレンタル品であり、しかも古くて性能が低い。これは、「いつでも計画倒産できるように」と「レンタル元が筋悪で、そちらにレンタル代として利益を流す」という目的があるからである。
- ビジネスソフトウェアは、コピーが横行している。
- IT業界では、ツールがしょぼく、「誰が使ってるんだ?」みたいなマイナーなアプリを使っている。
- 客先で名刺交換はしてはいけないので、「ただいま名刺を切らせておりますので」と丁重に断らなければいけないし、監視役によって取引先の名刺は回収されることも多い。個人情報も伝えてはならない。
- 守秘義務契約があるため、ネットで発言してはいけない。同業者と情報交換をするのもいけない。
- 派遣先の職場には中請けの名刺を持った督戦隊員がおり、派遣先の同僚や上司と接触しないように見張っているが、じつは中請け会社の従業員ではない。
- メモ帳、スマホ、メモリといったメディアは職場には当然のように持込は禁止である。
- 広域暴力団のシノギであることも多いらしく、いわゆるフロント企業らしき会社とのつきあいがある。
- ある人がブラック企業に勤めているという悩みを言うと、「色があるだけまだマシ。私はブラックどころか『むしょく』(無色と無職を掛けている)だ」と返されたというブラックジョークがある。このジョークは粉遊びにも、粉遊び王というユーザーによって投稿された。
ただし、ブラック企業に勤めて過労しまくって取り返しのつかないことになるよりは、無職でいる方が良い場面が殆どな気がする。
ビジネスモデル[編集]
- 赤字ギリギリで回しているために倒産はしにくいが、帳簿上見えない対外債務があって、内部保留資産を大きく超えているために、倒産直前には対外債務を清算してから全喪失の手続きを取ってから倒産という流れがあり、第一債権者であるはずの従業員には一銭も入ってこないし、離職票も出ないので本社所在地(これが遠隔地にあったりする)の登記所まで行かなければならないのでかなりイタい。
慢性的なブラック企業だと、従業員を低賃金で扱き使うので赤字になることは滅多になく極めて倒産しにくい。一方で、業績悪化が理由でブラック化し、それでも赤字が解消せず倒産していく会社もある[要出典]。
- 中程度のブラック企業の場合、入社した者の殆どはすぐに辞めてしまう。何年も勤務している者でも「辞めたい」と考えている場合が多く、突然辞めてしまうことが少なくない。その結果、慢性的な人不足で、いつも従業員を募集しており、比較的すぐに雇ってくれる傾向があるが、「同居していない連帯保証人を二人以上立てること」を条件としてそうでない場合は「基本給が安くなると」「試用期間が長く、その期間は時間外労働の手当てが払われない」とか「雇用契約を結ばないため個人事業主扱いになる」などのとかいったデメリットがある。
- 「業務に追われて転職活動しにくい」「辞表を出してもなかなか受理されない」など、辞めにくい環境を作ることで離職率を抑えている(つまりは辞めさせない)ブラック企業も普通にある。派遣先で気に入られると、「引き抜きの応じた」などの理由で解雇されたりもする[要出典]。
健康被害[編集]
- ブラック企業の被害者は、扱き使われて体を壊す者が多い(いわゆる抵抗力が落ちているらしく、感染症やアレルギー症状などを発生するケースは多い)ばかりか、精神的なダメージも大きく、鬱になったり、自殺してしまう場合も少なくない。
- 過酷な労働をさせられるため体重が減る場合がある。しかし、体重が多少減っても白髪とシワが増えて醜くなるので美しくなることはないし、だいいち不健康である。しかも、過酷な労働に耐えるために高カロリーを摂取することが習慣になっているので、連休のときなどに激太りしてしまう他、極度のストレスで逆に太る人もいて「内勤者にピザデブが多い」というのもひとつの特徴である。
ブラック企業からホワイト企業になる方法[編集]
「単純に「質問責任」と「説明責任」を愚直に実践するだけで変わるらしい[1]。」という話はある。
ただし、プラック企業はブラックな人間の組織よって構成されており、「組織は頭から腐る」と云われているのでトップの首を切ってホワイトな人材を入れて上と下から挟んですり潰すのが定跡である。しかしどこぞの国家のように失敗した例もあるので、油断はならない。
脚注[編集]
- ↑ “離職率28%だったサイボウズは、どうやってブラック企業から生まれ変わったのか (3/3)”. ITmedia ビジネスオンライン (2018年10月22日). 2018年11月26日確認。
関連書籍[編集]
- 安斎かなえ 『メガ盛!本当にあった(生)ブラック会社大告発SP』 出版社、2013年12月25日。ISBN 978-4832252561。
動画[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 労働条件相談ほっとライン - ※電話相談のみ
- 正社員就職を目指す若者のみなさまへ
- その他