移調楽器

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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移調楽器(いちょうがっき)とは、実際に鳴る音(実音)とは異なる音高(記音)を楽譜に記載するのが通例となっている楽器のことである。これらは楽譜側の都合であって、楽器側に由来する特徴ではない。英語ではtransposing instrument。

管楽器では、管のサイズが異なる楽器を同じ指使いで演奏することで、同じメロディーが移調されて演奏できる構造のものがある。これを逆手に取って、楽譜上の音をあらかじめ移調しておくことにより、異なるサイズの楽器を同じ指使いで演奏できるようにしたのが移調楽器のシステムである。一方、楽器ごとに移調して記譜する必要があるため作編曲者にとって大きな負担となるほか、絶対音感保有者にとっては指使いが同じになるメリットよりも記音と実音が異なることによる脳内の混乱のほうが大きいという弊害もある。

リコーダーなど、移調楽器と同様の構造を持っているにも関わらず、実音で記譜される楽器もある。

一例[編集]

  • C管(ツェーかん) - 実音と記音が同じ。または、オクターブ単位で移高されて記譜されることもある。
  • F管(エフかん) - 実音より5半音低い音(あるいはこれをオクターブ単位で移高した音)で記譜される。
  • B♭管(ベーかん、ビーフラットかん) - 実音より2半音高い音(あるいはこれをオクターブ単位で移高した音)で記譜される。文字上では英語音名を使用して「B♭管」、発音上はドイツ語音名で「B管(ベーかん)」と読むのが主流(「B」はドイツ語音名では変ロ音、英語音名ではロ音を意味するため。「B♭」であれば変ロ音を曖昧さなく表記できる)。
  • E♭管(エスかん) - 実音より3半音低い音(あるいはこれをオクターブ単位で移高した音)で記譜される。こちらも文字上では英語音名を使用して「E♭管」、発音上はドイツ語音名で「Es管(エスかん)」と読むのが主流。
  • H管(ハーかん) - フルートの場合は移調楽器ではなく、ただ単に最低音がHの音まで出るフルートを指す。クラリネットなどで移調楽器としてのH管が指定された楽曲もあることにはあるが、非常に稀である。こちらは逆に英語音名で「B管」と書かれることはほとんどない(やはり変ロ音との混同を避けるため。「H」であればロ音を曖昧さなく表記できる)。
point

「変ロ調」「ロ調」との混同をさけるには、「変ロ調」は英語音名の「B♭管」、「ロ調」はドイツ音名の「H管」を用い、曖昧さなく回避できる。「B♭管」=絶対変ロ音、「H管」=絶対ロ音。