オオクチバス

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オオクチバス
分類
ドメイン真核生物
動物界
脊椎動物門
条鰭綱
サンフィッシュ目
サンフィッシュ科
オオクチバス属
オオクチバス
名称
学名Micropterus nigricans
(Cuvier, 1828)
和名オオクチバス
ラージマウスバス
英名Largemouth bass
保全状況
IUCNレッドリスト低危険種 (IUCN 3.1)

オオクチバスとは、サンフィッシュ目(旧:スズキ目)サンフィッシュ科に分類される淡水魚である。

形状[編集]

全長30~50cm。

体色は銀白色から光沢のある緑色で、稀に薄茶色になる。

背面には暗めのオリーブ色の斑点と黒くて縞模様、体側には緑がかった黒い斑点がある。尾びれの縁は黒い。

同属のコクチバスに似ているが、本種は上顎の後端が眼より後方である。

生態[編集]

自然分布は、北米で、セントローレンス水系、五大湖、ハドソン湾、ミシシッピ川流域に分布する。

カワサギヨシノボリフナドジョウぜゼラドンコ等の魚類やアメリカザリガニテナガエビスジエビヌマエビなどの甲殻類を食べる[1]ミシシッピアカミミガメや鳥類、モグラを捕食した事例も報告されている[2][3]

人間との関係[編集]

移植[編集]

オオクチバスは、1925年(大正14年)にカリフォルニア州サンタローザのものが神奈川県芦ノ湖に導入された。

1965年(昭和40年)以降、釣り人がオオクチバスを放流し、本種の生息範囲が広がっていった。2023年現在、青森県から沖縄県までの日本ほぼ全国で見られる。

オオクチバスは、水生生物を大量に捕食する為、水生生物の減少に繋がるとされる[4]

根絶の結果から抑制された生物が増えた事例が報告されている[5]

特定外来生物への指定[編集]

2005年(平成17年)1月31日、オオクチバスを含む1科4属32種を特定外来生物に指定すると環境省が発表。

釣人からの反対があり、1月19日に行われた第4回目の専門家会合で候補リストからオオクチバスが外された。

会合の2日後(21日)に小池百合子環境大臣(当時)が「指定回避は先送りと批判されても仕方ない」と発言。この発言機に同日午後に再検討が行われ、オオクチバスが盛り込まれることになった。同月26日の会合でも受けてられた。尚、研究者の最終決定は小池環境大臣の発言と直接関係ない。

31日、特定外来生物等専門家会合(第2回)で正式に指定する事が決まり、6月1日、特定外来生物に指定された[6]

これにより無許可での運搬や飼育、譲渡、放流が禁じられた。然し指定されて以降も放流が行われている[7]

駆除[編集]

これ迄に北海道金原ダム湖では根絶に成功している。

出典[編集]

  1. 「琵琶湖野田沼周辺におけるオオクチバス とブルーギルの胃内容物と糞中 DNA による摂餌生態の推定」、『日本水産学会誌』第78巻第1号。
  2. 嶋田哲郎、藤本泰文「オオクチバスによる小鳥の捕食」、『Bird Research』第5巻、バードリサーチ、2019年、 7-9頁、 doi:10.11211/birdresearch.5.S7
  3. 平藪直樹「琵琶湖南湖におけるオオクチバスによるミシシッピアカミミガメの捕食事例」、『伊豆沼・内沼研究報告』第10巻、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団、2016年、 77-80頁、 doi:10.20745/izu.10.0_77
  4. 藤本泰文、星美幸、神宮字寛「侵入直後のオオクチバスMicropterus salmoidesが短期間のうちに溜め池の生物群集に及ぼした影響」、『伊豆沼・内沼研究報告』第3巻、2009年、 81-90頁、 doi:10.20745/izu.3.0_81
  5. 麻山賢人、藤本 泰文、斉藤憲治「オオクチバス駆除後に自発的に再生したタナゴAcheilognathus melanogaster の生息地」、『伊豆沼・内沼研究報告』第14巻、2020年、 81-85頁、 doi:10.20745/izu.14.0_81
  6. 瀬能宏「外来生物法はブラックバス問題を解決できるのか?」、『哺乳類科学』第46巻第1号、日本哺乳類学会、2006年、 103-109頁、 doi:10.11238/mammalianscience.46.103
  7. 「特定外来生物オオクチバス の違法放流 : 岩手県奥州市のため池の事例(保全情報)」、『保全生態学研究』第16巻第2号。