エクスプロイテーション映画
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エクスプロイテーション映画(英語:Exploitation films)は、アメリカの映画のジャンルの1つで、興行的に成功するためにセックスや暴力、奇妙であったりセンセーショナルであったりする話題を取り上げた映画。グラインドハウスで上映されていたグラインドハウス映画を指して使われることが多いが、グラインドハウスの成立前やグラインドハウスの消滅後に製作された映画や映画のジャンルに対しても使われる。芸術的な価値が低いと見なされる映画、特定の観客をあてこんだ映画、見世物的な映画、B級映画といったニュアンスがある。
サブジャンルと主な作品[編集]
ホラーやSFなど既存の映画のジャンルに分類される作品や複数のジャンルにまたがる作品もある。また以下のサブジャンルは必ずしもエクスプロイテーション映画特有のサブジャンル・物語構造ではないという見解もある。
- ヴェッツプロイテーション:『モーター・サイコ』(1965)、『地獄の天使』(1967)、『明日の壁をぶち破れ』(1971)、『ソルジャー・ボーイ』(1972)、『恐怖の暴力自警団』(1976)、『ゼブラ軍団』(1976)、『ローリング・サンダー』(1977)、『エクスタミネーター』(1980)、『地獄の謝肉祭』(1980)
- オズプロイテーション:『The Naked Bunyip』(1970)、『荒野の千鳥足』(1971)、『Alvin Purple』(1973)、『マッド・ストーン』(1974)、『キラーカーズ/パリを食べた車』(1974)、『Inn of the Damned』(1975)、『スカイ・ハイ』(1975)、『デニス・ホッパーの マッド・ドッグ・モーガン/賞金首』(1976)、『ロング・ウィークエンド』(1978)、『パトリック』(1978)、『マッドマックス』(1979)、『吸血の館』(1979)、『ロードゲーム』(1981)、『ストレンジ・エクスペリメント』(1981)、『スローター・ゲーム』(1982)、『BMXアドベンチャー』(1983)、『キャプテン・ザ・ヒーロー/悪人は許さない』(1983)、『レイザーバック』(1984)、『地獄の脱出/デッド・エンド』(1986)[1][2]
- カースプロイテーション:『バニシング・ポイント』(1971)[3]、『バニシングin60″』(1974)[4]、『デス・レース2000年』(1975)、『マッドマックス』(1979)
- 怪獣映画:『グリズリー』(1976)、『テンタクルズ』(1977)、『北京原人の逆襲』(1978)、『ピラニア』(1978)、『アリゲーター』(1980)
- カヌクスプロイテーション:『暗闇にベルが鳴る』(1974)、『ラビッド』(1977)、『プロムナイト』(1980)、『ゴースト/血のシャワー』(1980)、『テラー・トレイン』(1980)、『スキャナーズ』(1981)、『血のバレンタイン』(1981)、『誕生日はもう来ない』(1981)、『面会時間』(1982)[5]
- シャークスプロイテーション:『ジョーズ』(1975)[4]
- ジャッロ映画:『モデル連続殺人!』(1964)、『アニマル・トリロジー』(1970・1971・1971)、『幻想殺人』(1971)、『タランチュラ』(1971)、『影なき淫獣』(1973)、『サスペリアPART2』(1975)、『ルチオ・フルチのザ・サイキック』(1977)
- 食人映画:『怪奇!魔境の裸族』(1973)、『カニバル』(1977)、『猟奇変態地獄』(1977)、『食人伝説』(1978)、『食人族』(1980)、『食人帝国』(1980年)、『猟奇!喰人鬼の島』(1980)、『人喰族』(1981)、『アマゾン・アドベンチャー/グリーン・インフェルノ』(1988)
- 女囚映画:『女囚701号/さそり』(1972)、『女刑務所/白昼の暴動』(1974)、『女体調教人アマゾネス』(1977)、『チェーンヒート』(1983)
- スプラッター映画:『血の祝祭日』(1963)、『2000人の狂人』(1964)、『カラー・ミー・ブラッド・レッド』(1965)、『血の魔術師』(1970)、『スナッフ/SNUFF』(1976)
- スペーススプロイテーション
- スラッシャー映画:『悪魔のいけにえ』(1974)、『暗闇にベルが鳴る』(1974)、『悪魔のしたたり/ブラッドサッキング・フリークス』(1976)、『The Toolbox Murders』(1978)、『ハロウィン』(1978)、『マニアック』(1980)
- セクスプロイテーション:『肉体の罠』(1964年)、『ファスター・プシィキャット!キル!キル!』(1965)、『Bad Girls Go to Hell』(1965)、『チェリー、ハリー&ラクエル』(1969)、『ダブル・エージェント73』(1974)、『The Swinging Cheerleaders』(1974)、『愛のエマニエル』(1975)、『スーパー・ヴィクセン』(1975)、『カリギュラ』(1979)
- ゾンビ映画:『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)、『ゾンビ』(1978)、『サンゲリア』(1979)、『地獄の門』(1980)、『ビヨンド』(1981)
- チャンバラ映画:『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(1972)、『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972)、『修羅雪姫』(1973)、『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』(1973)
- ナチスプロイテーション:『イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験』(1974)、『サロン・キティ』(1976)、『美女集団監禁ゲシュタポSM収容所』(1977)、『ゲシュタポナチ収容所』(1977)、『獣人地獄!ナチ女収容所』(1977)、『ナチ第三帝国/残酷女収容所』(1980)
- ナンスプロイテーション:『白昼の暴行魔』(1978)
- ヌーディスト映画:『インモラル・ミスター・ティーズ』(1959)、『死霊の盆踊り』(1965)
- バイカー映画:『ワイルド・エンジェル』(1966)、『続・地獄の天使』(1967)、『七人の無法者』(1968)、『殴り込みライダー部隊』(1970)、『マッドストーン』(1974)、『マッドマックス』(1979)
- ハグスプロイテーション(サイコビディ)
- ヒックスプロイテーション:『白熱』(1973)、『ジャングル・クイーン』(1976)
- ブラックスプロイテーション:『スウィート・スウィートバック』(1971)、『黒いジャガー』(1971)、『スーパーフライ』(1972)、『110番街交差点』(1972)、『吸血鬼ブラキュラ』(1972)、『The Mack』(1973)、『ブラック・シーザー』(1973)、『ダイナマイト諜報機関/クレオパトラ危機突破』(1973)、『アビィ』(1974)、『黒帯ドラゴン』(1974)、『コフィー』(1974)、『フォクシー・ブラウン』(1974)、『ダイナマイト諜報機関/クレオパトラカジノ征服』(1975)、『ドールマイト』(1975)、『マンディンゴ』(1975)、『レイプ・キラー/3人の暴行魔』(1977)
- ブルースプロイテーション
- ポリツィオテスキ(ユーロクライム):『狼の挽歌』(1970)、『黒い警察』(1971)、『ミリュー三部作』(1972・1973・1973)、『イタリアン・コネクション』(1973)、『死神の骨をしゃぶれ』(1973)、『バニシング』(1976)
- マーシャルアーツ映画:『激突!殺人拳』(1974)、『女必殺拳』(1974)、『RIKI-OH/力王』(1991)
- カンフー映画(チョップソッキー):『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』(1970)、『ドラゴン危機一発』(1971)、『キング・ボクサー/大逆転』(1972)、『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972)、『燃えよドラゴン』(1973)、『片腕カンフー対空とぶギロチン』(1975)、『少林寺三十六房』(1978)
- 忍者映画
- マカロニ・ウエスタン:『ドル三部作』(1964・1965・1966)、『続・荒野の用心棒』(1966)、『怒りの荒野』(1967)、『復讐のガンマン』(1967)、『血斗のジャンゴ』(1967)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(1968)、『殺しが静かにやって来る』(1968)、『夕陽のギャングたち』(1971)、『ミスター・ノーボディ』(1973)
- モックバスター:『スタークラッシュ』(1978)、『世界を救った男』(1982)
- モンド映画:『世界残酷物語』(1962)、『グレートハンティング』(1975)、『ジャンク 死と惨劇』(1978)
- レイプ・リベンジ・ムービー:『鮮血の美学』(1972)、『女囚701号/さそり』(1972)、『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ〜血まみれの天使〜』(1973)、『悪魔のえじき』(1978)、『白昼の暴行魔』(1978)、『天使の復讐』(1981)、『暴行都市』(1984)
- レッドスプロイテーション:『明日の壁をぶち破れ』(1971)
- Cautionary tales in film:『マニアック』(1934)、『マリファナ』(1936)、『リーファー・マッドネス 麻薬中毒者の狂気』(1936)、『Sex Madness』(1938)、『Child Bride』(1938)、『母と娘』(1945)、『She Shoulda Said No!』(1949)
一般的な映画のジャンル
- アクション映画:『要塞警察』(1976)
- 自警団映画:『コフィー』(1974)、『エクスタミネーター』(1980)、『暴行都市』(1984)
- コメディ映画:『ピンク・フラミンゴ』(1972)[6]
- スリラー映画:『脱出』(1972)[4]
- ホラー映画:『死霊の盆踊り』(1965)、『処刑軍団ザップ』(1970)、『痴漢ドワーフ』(1973)、『サランドラ』(1977)、『ファンタズム』(1979)、『悪魔の毒々モンスター』(1984)、『吐きだめの悪魔』(1986)、『ネクロマンティック』(1987)[6]
- ポルノ映画:『ディープ・スロート』(1972)[4]
エクスプロイテーション映画とされる映画
『ソドムの市』(1975)[6]、『ガイアナ人民寺院の悲劇』(1980)、『グラインドハウス』(2007)、『マッド・ハイジ』(2022)
出典[編集]
- ↑ Luke Buckmaster「The 17 greatest Ozploitation movies – sorted」The Guardian、2022年2月13日
- ↑ Ozploitation Trailer Explosion (2014) ビデオマーケット
- ↑ Josh Clark「10 Noteworthy Exploitation Films」HowStuffWorks
- ↑ a b c d ODYSSEY GOHAIN「The 10 Highest-Grossing Exploitation Movies of the ‘70s」movieweb、2023年8月7日
- ↑ なかざわひでゆき「‘80年代スラッシャー映画ブームを代表するカナディアン・ホラー『プロムナイト』」ザ・シネマ、2020年5月6日
- ↑ a b c Matt Crawford「What Are Exploitation Films? 25 Best Exploitation Movies & Their History」Filmmaking Lifestyle
関連文献[編集]
- ロジャー・コーマン、ジム・ジェローム『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか――ロジャー・コーマン自伝』(石上三登志、菅野彰子訳、早川書房、1992年)
- 柳下毅一郎『興行師たちの映画史――エクスプロイテーション・フィルム全史』(青土社、2003年、新装版2018年)
- 『グラインドハウス映画入門』(洋泉社、2007年)