鮮血の美学

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鮮血の美学』(せんけつのびがく、原題:The Last House on the Left)は、1972年アメリカ合衆国エクスプロイテーション映画。監督・脚本はウェス・クレイヴン。製作はショーン・S・カニンガム

あらすじ[編集]

郊外に住むコリンウッド夫妻(ゲイロード・セントシンシア・カー)の一人娘マリー(サンドラ・カッセル)は両親に愛されて育った純朴な性格の美少女。17歳の誕生日を迎えたマリーは近所に住む不良がかってはいるものの善良な友人フィリス(ルーシー・グランザム)と一緒に都会のロックコンサートに行く。2人はマリファナを買おうとして、脱獄囚のクルッグ(デイヴィッド・へス)とウイーズル(フレッド・リンカーン)、ガールフレンドのセイディ(ジェラミー・レイン)、クルッグの息子ジュニア(マルク・シェフラー)の4人組に監禁されてしまう。翌日、2人の少女は郊外の自宅の近くの森に連れて行かれ、強姦されたあげくに惨殺されてしまう。娘が帰ってこないことを心配したコリンウッド夫妻は保安官に捜索を依頼するが、保安官は真面目に受けとらない。4人組は偶然にもコリンウッド夫妻の家に立ち寄って夕食をご馳走になり、さらに泊めてもらうことになる。彼らはここがマリーの家だと知って驚く。コリンウッド夫妻も彼らの正体に気付き、マリーの遺体を見つけ、夜明けとともに壮絶な復讐を行う。

解説[編集]

エルム街の悪夢』のウェス・クレイヴンと『13日の金曜日』のショーン・S・カニンガムが有名になる前に制作した一作で、クレイヴンの初監督作品。強姦の被害者または被害者の家族などが加害者に対して復讐を行うレイプ・リベンジ・ムービーの走りとなった作品。最終的に加害者が成敗されるにもかかわらずカタルシスよりも虚しさが残り、「最も後味の悪い映画[1]」「一度見たら二度と見る気になれない不穏なホラー映画[2]」の一本として定評がある。『悪魔のいけにえ』(1974年)よりも早くチェーンソーを武器に使用した映画としても知られる。

イングマール・ベルイマン監督の『処女の泉』(1960年)をベースにしており、何の罪もない少女が強姦されたあげくに殺され、犯人がそうとは知らずに少女の家に行き、少女の親から復讐にあうという基本的なプロットは同じだが、『処女の泉』にあったキリスト教的な要素や芸術性はなくなっている。イタリアでは本作をベースにしてアルド・ラド監督の『暴行列車』(1975年)とルッジェロ・デオダート監督の『真夜中の狂気』(1980年)が制作された。マリオ・バーヴァ監督の『血みどろの入江』(1971年)はアメリカでは本作などとの2本立てや3本立てで上映されたため、『Last House on the Left Part II』『Last House Part II』『New House on the Left』という本作の続編であるかのようなタイトルがつけられることがあった。日本では本作が『白昼の暴行魔Ⅱ/17才・襲われた誕生日』というフランコ・プロスペリ監督の『白昼の暴行魔』(1978年)の続編であるかのようなタイトルでテレビ放映された。1987年に日本ヘラルド映画の配給で劇場公開された際に『鮮血の美学』というタイトルになった。

2009年にデニス・イリアディス監督、クレイヴンとカニンガム製作のリメイク版『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学-』が公開された。

出典[編集]