よみもの:絶滅危惧車のその後 (鉄道ファン2004年11月号)
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鉄道ファンの2004年11月号にて取り上げられた絶滅危惧車。当時の調査から18年が経過し、両数は大きく変化している。
というわけで、取り上げられた車両の2022年7月1日現在の両数を見ていくものとしよう。
分類I 絶滅危惧車[編集]
ここではかつて両数が多かったものの、世代交代で風前の灯となったものが挙げられた。
東武1800系電車 (原型車)[編集]
- 2018年全廃
2004年時点では第9編成の6両がりょうもう色で残っていたが、流石に老朽化は否めず、2018年5月20日の運用をもって引退し、6月18日付で廃車。通勤車用の3本も2007年に全滅しており1800系自体が形式消滅となった。
改造車の300系、350系も2022年7月までに全廃されたため、1800系の血筋はすでに途絶えている。
西武101系電車 (旧101系)[編集]
- 2010年全廃
当時701系と801系が全滅、この旧101系も36両のみの存在で、このタイプの顔が少ないということで絶滅危惧に指定された。その後2004年までに7次車までの16両が廃車されたが、8次車の20両はワンマン化が行われていたため安泰と書かれた。案の定武蔵境駅の高架化が完了するまで西武多摩川線はこの車両の独壇場だったが、新101系により置き換えられて2010年に営業運転を終了、そのまま廃車となり姿を消した。
2021年現在では101系自体が新101系の32両しかなく風前の灯となっている。また、このタイプの顔の車両も三岐鉄道への譲渡車以外は2019年までに全廃されている。
名鉄5500系電車[編集]
- 2005年全廃
2004年4月1日の時点で6両が在籍していたが、2005年1月28日の空港線開業前日をもって営業運転を終了、同年2月10日付で全車両が廃車された。
京阪3000系電車 (初代)[編集]
- 2013年運用終了
最後まで残った8両は2008年に8030系となったが、流石に老朽化は否めず、2013年のお別れイベントを最後に引退。うち1両が富山地方鉄道に譲渡された。
大手私鉄の吊り掛け電車[編集]
東武には76両、西鉄には10両、名鉄には24両の吊り掛け車が当時在籍していたが、東武では8000系の玉突き転配により追放、西鉄では宮地岳線廃止で追放、名古屋鉄道では4000系に追放され全滅となった。
真岡鐵道50系客車[編集]
- 3両とも2022年7月時点で現役
- 絶滅危惧度:★☆☆☆☆のまま
2004年の時点で現役の50系客車自体が12両のみとなっていたが、特殊用途のためこの真岡鐵道の車両を含めて廃車は出ておらず、今後の活躍が期待される。
樽見鉄道14系客車[編集]
- 2006年全廃
14系座席車が当時の時点で絶滅危惧車となっていたが、樽見鉄道からは2006年に姿を消した。その後、東武鉄道がJRから計8両購入してSL大樹として運用に就かせている。
秩父鉄道3000系電車[編集]
- 2006年全廃
当時の時点で現役の直流急行型はJRからは全滅しており、この車両と富士急2000系のみとなっていたが、いずれも消滅している。 それどころか、急行型電車自体がえちごトキめき鉄道のクハ455の1両のみとなっており、もはや風前の灯である。
茨城交通キハ11形気動車[編集]
- 2005年全廃
現役のキハ10系気動車は当時の時点でこの1両のみであったが、2005年に廃車となり、大宮の鉄道博物館にて保存されている。
鹿島鉄道キハ600形気動車[編集]
- 2007年全廃
現役のキハ07系気動車は当時の時点でこの2両のみであったが、2007年に鹿島鉄道線自体が廃止されて廃車となっている。
熊本電鉄5000形電車[編集]
- 2016年運用終了
東急アオガエルの当時の現役車自体がこの2両のみであったが、2015年から2016年にかけて01系が転入し引退。5101Aのみが動態保存されている。
分類II 準絶滅危惧車I類[編集]
ここでは試作車や1次ロットで製造が終わったものが挙げられた。
東武10080系電車[編集]
- 2023年12月全廃
紹介されたのちの2005年頃に故障が相次ぎ休車となっていたが、2007年にVVVFと主電動機を換装されて営業に復帰。2015年には10000系列4連の最初のリニューアル車となった。しかし、2022年頃から休車となり、以降一度も運用復帰せず容赦なく余剰廃車され全滅した。
京成電鉄3200形電車3298F[編集]
- 2007年3月末に全廃
紹介された後も3200形の置き換えは進み、該当編成は2007年3月末に廃車。3200形の全廃はその約8か月後の11月14日であった。
京王6000系電車5ドア車[編集]
- 2011年全廃
京王最後の鋼製車体ということもあり全数淘汰の対象とされ、2007年に6両が、2011年3月に4両が廃車され、同時に6000系自体が形式消滅している。
東京都交通局5200形電車[編集]
- 2006年度全廃
馬込車両検修場の改良により運用数1本減を達成したため、2006年末に廃車となり、形式消滅した。
営団02系電車80番台[編集]
- 2022年全廃
方南町支線の一部6両化に伴い6両が廃車された。その後、2022年8月をもって3連運用がなくなり、残る12両も相次いで廃車搬出され形式消滅した。
営団06系電車[編集]
- 2015年全廃
千代田線の16000系への統一により他線区に転用されることなく廃車され形式消滅した。
近鉄16010系電車[編集]
- 2両とも2021年6月時点で現役
- 絶滅危惧度:★☆☆☆☆に変化なし
2014年にリニューアル、2016年に新塗装化が行われており、今後も活躍が期待される。
近鉄3000系電車[編集]
- 2012年全廃
2012年2月からチョッパ装置の不具合により休車となっていたが、同年3月のダイヤ変更で廃車。界磁位相制御への改造も計画されたが、車体の劣化により実現には至らなかった。
阪急8200系電車[編集]
- 4両とも2021年6月時点で現役
- 絶滅危惧度:★☆☆☆☆→★★☆☆☆
座席収納機能は廃止されたが、現役で運用に就いており、今後も活躍が期待されるが、8000系に対して行われているリニューアルの対象外となっていないかが気になるところ。
阪神5311形電車[編集]
- 2011年全廃
編成を組んでいた5131形もろとも置き換えられ廃車となったが、今度はこれらを置き換えた5550系が希少車両(4両)となった。
LE-Car[編集]
- 2017年までに全車引退
2004年の時点で5両が残っていたが、くりはら田園鉄道が2007年で廃止されKD10形が2両とも廃車。樽見鉄道のハイモ180-200形についても2006年のハイモ295-510形に置き換えられて廃車。フラワ1985形については置き換え後紀州鉄道のキテツ2となりキテツ1とともに活躍したが、信楽高原鉄道から2両が転入したため2017年までにすべて引退した。
元祖軽快電車[編集]
- 長崎からは2014年までに引退
- 広島電鉄3500形電車の絶滅危惧度:★★★☆☆→★★★★☆
補修部品の生産がすでに終了しており、それが原因で長崎電気軌道2000形電車は引退。広島電鉄3500形についても10年近く休車の状態が続いている。
西鉄700形電車[編集]
- 2006年全廃
2006年5月8日付で3000形に置き換えられ廃車となった。
札幌市交通局M100形電車[編集]
- 2021年10月31日付で引退
札幌市電の顔として大切に運転されてきたが、補修部品の調達も困難になっており、とうとう2021年をもって約60年の現役生活に終止符が打たれることとなった。
分類III 準絶滅危惧車II類[編集]
ここでは改造・改番により誕生した少数派が挙げられた。
京成電鉄3600形電車3668F[編集]
- 2017年に2両が廃車
- 絶滅危惧度:★☆☆☆☆→★★☆☆☆
- 希少度:★★★☆☆→★★★★☆
2017年に中間の2両が廃車され、4連となった。しかし牽引車としての役目も持つため、代替車が現れない限りは安泰であろう。
東急7600系電車[編集]
- 2015年全廃
新7000系の製造および1500系の転入に伴い2010年から2015年にかけてすべて廃車され、形式消滅した。
営団6000系電車1次試作車[編集]
- 2014年営業運用終了
製造から45年を経過したため05系に置き換えられて引退。以降は新木場車両基地の研修車となった。
相鉄5000系電車[編集]
- 2009年全廃
紹介後は10000系の導入により20両全車が休車となったが、その後10両が廃車解体。残る10両は7000系の事故廃車の代替として営業運転に復帰したが、2009年に11000系に置き換えられて引退。直後に廃車搬出となり、5000系は約54年間の現役生活に終止符を打った。
名鉄7100系電車[編集]
- 2009年全廃
パノラマカーはラッシュ時に扱いにくいという理由で全数淘汰の対象となり、7100系も例外ではなく、三河線ワンマン対応の6000系に置き換えられて7700系と相前後して廃車となった。7700系も2010年4月に全廃となり、パノラマカーの歴史は終焉を迎えた。
名鉄1380系電車[編集]
- 2015年全廃
足回りが7500系からの流用ということもあり、かつ希少車であった本系列は3300系3307Fに置き換えられる形で全廃された。
阪急6050形・6150形電車[編集]
- 2021年6月時点で2両とも現役
- 絶滅危惧度:★☆☆☆☆→★★☆☆☆
元2200系の先頭車として取り上げられたが、のちに7090と7190に改番され、7000系の一員となったが、鋼製車体がゆえに組み込まれた電動車のVVVF化は行われないことが判明している。
阪神3801形電車の残党[編集]
- 8701形は2009年に全廃
- 7890形も2020年に全廃
8701形のグループは2009年の阪神なんば線開業前日に引退し廃車。7890形も5500系の転入により廃車されて全滅した。
分類IV 地域個体[編集]
ここでは用途限定で特定の地域に現れたものが挙げられた。
国鉄キ100形貨車の残党[編集]
- 小坂製錬に残っていた1両のみ2009年に引退
- 絶滅危惧度:★★★☆☆に変化なし
小坂製錬は2009年に廃止され、キ115も引退した。それ以外の3両は車籍が残っており、2017年も稼働している。
名鉄MRM100形電車[編集]
- 2008年全廃
2008年をもって老朽化と人員減によりモンキーパークモノレール線が廃止となり、同線のこの車両も廃車となった。廃車後は2両の消息が不明である以外は静態保存されている。
最後に[編集]
鉄道車両はどれほど活躍していても、いずれはお別れの時がやってくる。とにかく今を大切にしながら撮り鉄もやっていこうと誓い、私の締めとさせていただこう。
- 初版投稿者: M72970/謎の旧型国電もどき (トーク)