血盟団事件
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血盟団事件(けつめいだんじけん)とは、昭和7年(1932年)春に発生したテロ事件である。日本が戦争の道を歩むことになった歴史的事件の一つでもある。
概要[編集]
血盟団とは、日蓮宗の僧侶・井上日召を盟主とする農村の青年や東大学生などで組織した集団である。国家改造を目的とし、そのためには手段を選ばない集団で政財界の要人20名(暗殺された2名のほか、西園寺公望・牧野伸顕・幣原喜重郎なども候補に入れられていたとされる)の暗殺を計画していた。
事件は満州事変発生の翌年に行われていた総選挙戦の最中である昭和7年(1932年)2月9日、民政党選挙委員長で前蔵相の井上準之助が茨城県の農村出身の青年である小沼正にピストルで射殺された。続いて3月5日、三井合名理事長の団琢磨が小沼と同じ出身の青年・菱沼五郎にピストルで射殺された。
この両暗殺事件により、血盟団の存在が明らかとなり、井上ら14名が検挙された。しかし血盟団は陸海軍の青年将校と連携していたことから、井上らは犯した罪に比べてそこまで重い罪に問われなかった。また、陸海軍にも捜査の手は及ばなかった。
昭和9年(1934年)、井上・小沼・菱沼には無期懲役判決が、他には有期懲役の判決が下されている。また、この直後に5.15事件が発生しており、相次ぐテロ事件で支配層は大いに恐怖し、日本の政党政治の終焉と全体主義への道、すなわち戦争への道に突き進んでゆくことになった。
関連書[編集]
- 『右翼思想犯罪事件の綜合的研究 : 血盟団事件より二・二六事件まで』斎藤三郎 (司法省刑事局, 1936)
- 『五・一五事件の真相 : 附・血盟団の全貌』(警察思潮社, 1933)
- 『血で描いた五・一五事件の真相 : 陸海軍大公判と血盟団公判の解説』関東朝日新聞社編 (共同館, 1933)
- 『血盟団事件公判速記録』血盟団事件公判速記録刊行会 (1967)
- 『血盟団事件上申書・獄中手記』 血盟団事件公判速記録刊行会 (1971)
- 『一殺多生―血盟団事件・暗殺者の手記』読売新聞社 (1974)
- 『右翼思想犯罪事件の綜合的研究―血盟団事件より二・二六事件まで 昭和13年度思想特別研究員』東洋文化社 (1975)
- 『血盟団事件―井上日召の生涯 』岡村青、三一書房 (1989/12)
- 『昭和の蹉跌―血盟団と五・一五事件』粉川幸男、西田書店 (1995/08)
- 『昭和天皇〈第3部〉金融恐慌と血盟団事件』福田和也、文藝春秋 (2009/08)
- 『血盟団事件』中島岳志、文藝春秋 (2013/8/7)
題材にした作品[編集]
- 小説
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- 豊饒の海 第二巻 奔馬 - 三島由紀夫の小説。1966年-1968年連載。1969年刊行。
- 新血盟団とその観念論 - 大山真生の小説。
- ノンフィクション
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- 血盟団事件 - 中島岳志の歴史研究。
- 証言・昭和維新運動 - 鈴木邦男が編集した昭和維新の当事者達の証言集。元血盟団員の小沼正(小沼広晃に改名)と重信末夫の証言を収録。