石井伸男

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石井 伸男(いしい のぶお、1942年11月[1] - 2010年10月10日/11日[2])は、哲学者。高崎経済大学名誉教授。

経歴[編集]

東京都杉並区生まれ。1961年東京都立大学附属高等学校卒業。1967年東京都立大学人文学部哲学専攻卒業。1968年東京都立大学経済学部中途退学。1974年東京都立大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得満期退学。1974年立正大学文学部非常勤講師。1975年東京都立大学人文学部助手。1977年高崎経済大学経済学部非常勤講師兼担。1980年中央大学法学部兼任講師。1982年高崎経済大学経済学部助教授。1984年一橋大学大学院社会学研究科非常勤講師(1985年まで)。1988年高崎経済大学経済学部教授[1]。2008年定年退職[3]。高崎経済大学名誉教授[4][5]

人物[編集]

主としてヘーゲルマルクスを研究した[1]菅本康之は石井の『転形期における知識人の闘い方――甦る花田清輝』(窓社、1996年)を花田清輝研究のひとつの到達点として高く評価している[6]

石井伸男と吉田千秋の2人は雑誌『科学と思想』(新日本出版社)に日本哲学会の総会の感想を書いてほしいと求められ、同誌の1971年10月号に共同レポート「日本哲学会の動向と哲学研究のあり方」を執筆し、日本哲学会が現実の政治社会思想問題に十分に切り込んでいないと批判した[7][8]。これが契機となり、1971年8月に向井俊彦村山紀昭吉田傑俊を合わせた5人が結成よびかけ人となって「全国若手哲学研究者ゼミナール」(若手ゼミ、現・哲学若手研究者フォーラム)を設立した[1][7]。石井は1973年7月に湯河原で開催された若手ゼミの第1回の世話人も務めた[1][8]。若手ゼミが刺激となり、1973年から1979年に11号が出た雑誌『唯物論』(汐文社)、1978年創立の唯物論研究協会(全国唯研)が生まれた[7]

東京唯物論研究会(東京唯研)の中心メンバー[9]。1994~1996年全国唯研委員長[10]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『社会意識の構造』(青木書店、1986年)
    • 中国語版『社会意识论』(王永昌訳、中国社会科学出版社、2010年)
  • 『転形期における知識人の闘い方――甦る花田清輝』(窓社、1996年)
  • 『マルクスにおけるヘーゲル問題』(御茶の水書房、2002年)

共著[編集]

  • 『現代のための哲学 1 人間』(中村行秀高田純、太田直道共著、青木書店、1981年)
  • 『モダニズムとポストモダニズム――戦後マルクス主義思想の軌跡』(清真人、後藤道夫、古茂田宏共著、青木書店、1988年)

編著[編集]

  • 『講座「哲学」第2巻 あそぶ・まなぶ』(編著、学習の友社、1982年)
  • 『意識と世界のフィロソフィー――「私」はいまどこにいるのか』(島崎隆共編、青木書店、1994年)
  • 『ソ連崩壊と新しい社会主義像』(村岡到共編、時潮社、1996年)

分担執筆[編集]

  • 三省堂編修所編『コンサイス人名辞典 日本編』(三省堂、1976年)
  • 中村行秀編著『現代の哲学』(青木書店[青木教養選書]、1979年)
  • 唯物論研究協会編『哲学を学ぶ人のために』(白石書店、1983年)
  • 東京唯物論研究会編『戦後思想の再検討 政治と社会篇』(白石書店、1986年)
  • 渋谷一郎編著『社会思想の歴史』(八千代出版、1987年)
  • 伊藤成彦、片桐薫、黒沢惟昭、西村暢夫編『グラムシと現代――グラムシ研究国際シンポジウム報告』(御茶の水書房、1988年)
  • 唯物論研究協会編『唯物論研究年報 4 日本文化の諸相』(白石書店、1988年)
  • 石堂清倫、いいだもも、片桐薫編『生きているグラムシ――没後50年記念論文集』(社会評論社、1989年)
  • 唯物論研究協会編『唯物論研究年報 5 意識論の新たな地平』(白石書店、1989年)
  • 唯物論研究協会編『もう一つの思想家像』(白石書店[白石新書]、1989年)
  • 唯物論研究協会編『社会主義を哲学する――崩壊から見えてきたもの』(大月書店、1989年)
  • フォーラム90s編集『グラムシの思想空間――グラムシの新世紀・生誕101年記念論集』(文流、発売:社会評論社、1992年)
  • 後藤道夫編『ラディカルに哲学する 5 新たな社会への基礎イメージ』(大月書店、1995年)
  • マルクス・カテゴリー事典編集委員会編『マルクス・カテゴリー事典』(青木書店、1998年)
  • フォーラム哲学編『言葉がひらく哲学の扉』(青木書店、1998年)
  • 情況出版編集部編『マルクスを読む』(情況出版、1999年)
  • 吉田傑俊、佐藤和夫、尾関周二編『アーレントとマルクス』(大月書店、2003年)

出典[編集]

  1. a b c d e 石井伸男教授 略歴および研究業績PDF」『高崎経済大学論集』第50巻第3・4合併号、2008年
  2. 中村行秀石井伸男さんの死を悼むPDF」『社会文化研究』第13号、2010年
  3. 岡田和彦「石井伸男教授定年退職記念号発刊に寄せてPDF」『高崎経済大学論集』第50巻第3・4合併号、2008年
  4. 梅雨明け、暑い夏 研究室だより、2010年7月20日
  5. ベートーヴェン生誕250周年 時代先取りした音楽とその源泉 フランス革命下を生きたヘーゲルとの対比 長周新聞、2020年11月5日
  6. 花田清輝の研究動向4/4 花田清輝ルネッサンス・プロジェクト
  7. a b c 吉田傑俊氏インタヴューPDF」唯物論研究ジャーナルVol.5、2020年
  8. a b 吉田千秋氏インタヴューPDF」唯物論研究ジャーナルVol.5、2020年
  9. 中村行秀北村実島崎隆平子友長【座談会】唯物論研究と東京唯物論研究会の歴史(後編)PDF」東京唯物論研究会編『唯物論』第82号、2008年12月
  10. 役員および歴代委員長 唯物論研究協会

外部リンク[編集]