熊本 - 熊本空港線
熊本-熊本空港線(くまもと-くまもとくうこうせん)とは、九州産交バスが熊本市内と熊本空港(阿蘇くまもと空港)間を結ぶリムジンバスである。
概要[編集]
当路線は、1971年4月1日において熊本県菊池郡菊陽町[1]に現在の熊本空港が開設された時、車内後部にサロンシートを備えた、熊本空港行き専用サロンバスが運行を始めた。当初は、九品寺交差点から産業道路、保田窪、八反田、第一空港線を経由して熊本空港まで運行していた。当初、1日20往復、所要時間は熊本交通センターから35分であった。後に、東バイパス開通後に、東バイパス~松の本経由となり、さらに、県庁~松の本経由に、第二空港線開通後は県庁~自衛隊経由が新設された。
現在は、空港発・熊本市内発とも1日片道37便(おおむね1時間に2~3本程度)運行されている。以前においては航空ダイヤに応じてほぼ毎月の如く頻繁にダイヤ改正がおこなわれていたが、現在はその頻度は低下している。ただし、熊本市内方面行きにおいては、航空機の到着状況によっては発車時刻に若干の差が生じる事もある。
運行会社[編集]
- 九州産交バス(担当:熊本営業部高速バス営業所)
運行形態[編集]
停車停留所(空1系統)[編集]
- 白抜き記号は、乗車のみ(空港行き)もしくは降車のみ(熊本行き)の取り扱いとなることを示す。∥印または空欄となっている停留所は停車しない。
熊本→空港 | 停留所 | 所在地 | 空港→熊本 | 備考 |
---|---|---|---|---|
起点 | 西部車庫 | 熊本市西区 | 終点 | |
○ | 蓮台寺 | ○ | ||
○ | 熊本駅前 | ○ | 1番乗り場発・2番乗り場着 | |
○ | ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ | 熊本市中央区 | ○ | |
∥ | 商工会議所前 | ○ | ||
○ | 河原町 | ○ | ||
○ | 熊本交通センター | ○ | 26番乗り場発 | |
○ | 通町筋 | ○ | ||
○ | 味噌天神 | ○ | ||
○ | 水前寺公園前 | ○ | ||
○ | 熊本県庁前 | ○ | ||
○ | 自衛隊前 | 熊本市東区 | ○ | |
○ | 東町中央 | ○ | ||
○ | 益城インター口 | 上益城郡益城町 | ○ | |
● | グランメッセ熊本前 | ● | ||
● | テクノ団地入口 | ● | ||
● | テクノリサーチパーク入口 | ● | ||
∥ | 国際線ターミナル | ● | ||
● | 阿蘇くまもと空港 | 起点 | ||
終点 | 国際線ターミナル |
- このほか高森線(たかもり号)も熊本駅 - 空港間は当路線と同じバス停に停車する(こちらは全てのバス停において乗降可能)。
- 阿蘇くまもと空港から熊本市内方面へはこれらの他、午前7時台に熊本交通センターを経由しない白山通り経由の空港 - 熊本駅・西部車庫間直通便が3便、空港リムジンバスとほぼ同じルートを通る普通バス(県16系統)が17時~20時台に計4便運行されている[2]。また、「やまびこ号」・「たかちほ号」・「九州横断バス」(いずれも熊本行)も終日利用可能[3]。
使用可能な乗車券[編集]
座席は全席自由席。運賃は車内精算。乗車券は熊本駅前案内所窓口または熊本交通センター・阿蘇くまもと空港の自動券売機にて購入できる。このほか、くまモンのIC CARD他全国10社交通系ICカードならびにSUNQパス(全九州版・北部九州版・南部九州版)も使用できる。また下通繁栄会加盟店での商品の購入に応じて配布される「下通交通券」も利用可能。
- 熊本 - 東京間を往復する場合は、空港リムジンバス(熊本駅前~阿蘇くまもと空港間往復)と羽田空港より連絡発着する京急線の乗車券とがセットになった『羽田・京急きっぷ』を使用した方が割安である。2名で使用する場合はペア乗車券としても使える(たかもり号でも使用可能)。
- 熊本駅・熊本交通センターにおいて「あまくさ号」から乗り継ぐ場合、本渡バスセンターまたは松島バス停からの乗車に限り天草 - 空港間の割引運賃が適用となる。この際は、天草側の上記2箇所にて乗車券を購入後「あまくさ号」に乗車し、熊本側の上記いずれかにおいて「あまくさ号」車内で降車時に乗車券を乗務員に提示し券面に承印を受けたのち当路線に乗換え、空港において降車時に「あまくさ号」で押印済みの乗車券を運賃箱に投入する。
使用車両[編集]
過去(空港専用サロンバス)[編集]
1971年に現空港が開港したのを機に、九州産交が空港と熊本市内とを結ぶ送迎専用車「空港専用サロンバス」として運行を開始した。それに先立って、専用車のデザインを一般公募により募集して検討した結果、前面は「空(そら)」の色である青色を強調し、側面・後面は青・白のツートンカラーとしたデザインが採用された。この時に採用されたデザインがのちに一般路線車にも流用される事になる。専用車には飛行機の絵柄と「空港専用」と書かれた丸型のステッカー(1984年導入車からは飛行機のデザインと「空港専用」の文字を側面いっぱいに大きく表示)が貼られていた。車種も貸切車で用いる観光バスタイプの大型標準床トップドア車(スタンダードデッカー)が用いられ、車内は前方に荷物置き場を設置し、後部7列目より最後列までコの字型のロングシート(通称:サロンシート)が設置され、前方には大型テレビを設け、移動中にはビデオ放送(テレビフォトCM)をおこなっていた。
1989年導入車を最後に「サロンバス」としての新規導入を終了し、その後は後述の「リムジン」として移行。最終導入車である1989年式車は1991年頃までに「リムジン」塗装に変更されサロンシートも通常のリクライニングシートに変更。それ以前の車両は全て中扉増設・シート変更などの改造により一般路線車に転用またはそのまま廃車となり、1992年頃までに「サロンバス」仕様の車両は全て姿を消した。
AIRPORT LIMOUSINE(エアポート・リムジン)[編集]
1989年に「あまくさ号」の一部便が熊本空港まで延伸されたのを機に、これまでの「サロンバス」から「AIRPORT LIMOUSINE(エアポート・リムジン 以下、「リムジン」と表記)」として改められ、車体カラーも白を基調に裾部をグレー、境目にオレンジのラインを通し、矢の模様が入ったデザインで、車体の前・後面と側面に『AIRPORT LIMOUSINE』と表記された専用カラーリングに変更となった。窓に「空港専用」または「空港線」の文字が貼られている。この新デザインは「あまくさ号」の一部車両にも適用されていた。車内は、「サロンバス」時代と同様の車内前方に荷物置き場を設置している以外は、一般の観光バスタイプと同じ全席リクライニングシートとなっている。以前はテレビモニターも設置されていたが、2000年代以降すべて撤去されている。
車種については、1990年導入車までは「サロンバス」時代と同様、大型標準床トップドア車(スタンダードデッカー)が新車で購入されたが、その後は新車での導入はなく、「ひのくに号」などで使われていた高速路線車や、系列貸切事業者から転用されたハイデッカー車が塗装変更・トイレ撤去またはワンマン機器増設の上で使われている。2008年には一般路線バス(中乗り・前降り)タイプのノンステップ・スロープ車両が投入され、約18年ぶりの新車投入となったが、このタイプの車両における空港リムジン車としての導入は初の試みである。2012年に、空港リムジン車としてのハイデッカー車が新車において投入されたが、これまでの国産車ではなく、韓国からの輸入車となっている。(後述)
- ハイデッカー
- セミハイデッカー
- 日野・ブルーリボンシティ・初代セレガマスク仕様(日野車体)[4]
- ハイデッカー・セミハイデッカー共に4列シート(補助シート付)・車内左前方に荷物置き場設置
- 日野・ブルーリボンシティ・初代セレガマスク仕様(日野車体)[4]
- ノンステップ・スロープ車両(一般路線タイプ中扉仕様車<中乗り・前降り>)
- 日野PKG-KV234N2 + 西日本車体工業のボディを架装
現況[編集]
- 2018年時点ではほとんどの車両はラッピング(フルと部分がある)になっている為、標準塗装車両が少ない。
- 2012年6月にリムジン専用車両としてヒュンダイ・ユニバースを2台導入した。うち1台はANAのB787とくまモンのラッピング(希望制ナンバー)となっている[5]。なおワンマン機器、車内荷物置き等の設置は地元のイズミ車体で行われた。その後も、ヒュンダイ・ユニバースの導入が続き、従来からの貸出転用車等の経年老朽化車両を徐々に置き換えてているが、デザインは今までのカラーとは違い、白地に紺・紫・赤・オレンジの4色を用いた「不死鳥」を象ったデザインに変更。車体には熊本のご当地キャラクター(くまモン、あそらくん、産太くん=自社キャラクター)等の絵柄を施し、外部広告を入れて運用に就くが、一部車両は、熊本 - 鹿児島線(きりしま号)や、熊本 - 大分線(やまびこ号)の予備車としても兼用できる事を想定して、前方には車内荷物置きを設置せず、塗装も新空港リムジン色(「不死鳥」デザイン)でありつつも、「AIRPORT LIMOUSINE」のロゴや3体キャラクターの絵柄は入れられていない。
- 新空港リムジン色になってから「35X」…と「産交=35」と捩(もじ)った希望ナンバーで登録しているが、2018年度の新車は通常ナンバーで登録されている。
沿革[編集]
- 1971年4月 - 熊本市健軍町(現在の熊本県立大学がある位置)にあった熊本空港が現在地に移転。これに伴い、九州産業交通(現在の九州産交バス)が熊本空港行き専用送迎サロンバスの運行を開始。
- 運行開始当初の運行経路は、熊本駅前・熊本交通センターを経由後、九品寺交差点~産業道路~戸島熊本線(旧空港線)~第一空港線~熊本空港であった。
- その後、東バイパス一部開通により、産業道路~保田窪交差点~東バイパス~松の本~第一空港線~熊本空港に経路変更された。
- 1980年頃(未調査) - 熊本交通センター経由後、熊本県庁前~東バイパス~第一空港線経由に経路変更と共に熊本市内にバス停を数箇所設置(通町筋~熊本県庁間は現在の停車停留所。熊本県庁~松の本間には帯山中学校前に停車)。
- 1985年頃(未調査) - 新設系統として自衛隊前(第二空港線)経由が追加。当初は第二空港線が一部未開通のため、途中から堂園小森線~第一空港線経由として迂回運行。
- 1987年 - 第二空港線全線開通により現在の運行ルートに。
- 1989年1月 - 熊本~天草・本渡線(あまくさ号)の一部便が熊本空港まで延伸。これを機に空港リムジンバスの車体デザインが一新し、現在のカラーリングに変更となる(あまくさ号にも適用)。
- 1993年7月 - 大分線(やまびこ号)・延岡線(たかちほ号)が熊本空港経由に変更し、乗り入れ開始。
- 1997年7月 - 熊本港より熊本フェリーの熊本~本渡間高速船(マリンビュー)就航開始に伴い、新たに熊本港~熊本空港間シャトルバスが運行開始。熊本交通センターから熊本空港までの区間は空港リムジンバスの停車停留所と同じ。
- 1999年10月 - ダイヤ改正により、松の本経由を廃止。全便第二空港線経由となる。
- 2003年10月 - 俵山バイパス開通により、たかちほ号が熊本空港経由後に経路変更と共に、新たに空港経由高森線(たかもり号)運行開始。
- 2006年9月 - ダイヤ改正により、熊本港シャトルバスが熊本交通センター~熊本空港間の運行を廃止。全便熊本交通センター止めとなる。
- 2008年1月 - 熊本発着の一部便が新たに西部車庫まで延伸。
- 2008年2月 - 熊本空港行きの行先表示が、当空港の愛称である『阿蘇くまもと空港』に変更。方向幕ならびに車内案内も全て愛称においてそれぞれ変更された(あまくさ号・たかもり号も同様)。
- 2008年6月 - 新たに一般路線バスタイプ(後乗り)のノンステップ・スロープ車両が導入。空港リムジンバスとしての運用は初の試み。
- 2009年5月 - 熊本市内方面の行きの路線案内に県内出身で熊本県特命宣伝部長であるタレントのスザンヌが一部停留所の車内アナウンスを担当(現在は既に終了)[6]。
- 2010年12月1日 - 西部車庫 - 空港間に快速便を新設。1日4往復[7]。停車箇所は西部車庫・熊本駅前・熊本交通センター・通町筋・県庁前・阿蘇くまもと空港の6箇所のみで、乗降扱いは通常便と同じ。また、この日から新たに蓮台寺バス停が新設され、快速便を除く全便が停車する。
- 2011年3月12日 - あまくさ号の空港発着便を廃止。これに伴いダイヤ改正(増便)ならびに天草地区(本渡バスセンター・松島)より熊本駅・熊本交通センターにおけるリムジンバス乗り継ぎ割引き乗車券が発売[8]開始。
- 2011年6月1日 - ダイヤ改正(快速便を廃止 全便を各停へ)。
- 2011年11月1日 - ダイヤ改正(北岡神社前・日銀前・ホテルキャッスル前バス停を廃止し、全便河原町経由に統一)
- 2013年6月1日 - ダイヤ改正により1往復増便。増便分においては産交バス人吉営業所が担当する(ひとよし号減便に伴う車両有効活用策による間合い運用)。
- 2014年8月1日 - ダイヤ改正により1往復減便(ひとよし号廃止に伴い産交バス人吉営業所による間合い運用を終了)。
- 2014年10月26日 - ダイヤ改正により、空港発は発時刻が変更されるほか、1便増便される。逆に熊本市内発は1便減便される。
- 2015年10月1日 - 熊本市桜町一帯再開発事業におけるバスターミナル建て替えに伴い、熊本交通センター乗降場所を変更[9]。
- 2016年4月16日 - この日の未明に発生した熊本地震の影響で空港ターミナルビル施設が甚大な被害を受け閉鎖となったためバスも全便運休に。19日より航空機一部便就航に併せバスも便数を大幅に減らして運行再開。同年6月1日より通常の本数に戻る。
- 2016年7月15日 - この日から新たにテクノ団地(仮設住宅)入口へ停車開始と共に運行経路も一部変更。
備考[編集]
- 現熊本空港が1971年に開設されるまでは、現在の県立大学付近に熊本空港はあったが、その頃も空港バスを運行していた。この時は熊本市営バスも一般路線の延長として熊本空港行が運行されていた。1970年頃は熊本駅前から1日6往復、所要時間は30分であった。使用されていたバスも通常の路線バスと同じもので、特別「空港専用」ということではなかった。
- 以前においてはこの他にも熊本~<空港経由>~杖立線(かじか号)の運行をおこなっていたが、現在は廃止されている。また、2007年10月に1ヶ月間において熊本市内中心部を経由しない運行ルート(熊本駅前~<東バイパス経由>~熊本空港間ノンストップ他、産業道路経由など2ルート)などの試験運行を実施した。
- 現在の空港が1971年に移転された際に日野シャーシに金産車体(後の日野車体工業)で専用のサロンバスを導入したが、この時に一般公募で導入された青色と白色のツートンカラーの塗装が現在の一般路線車の標準塗装である。また経年後の車両は日野RCとHUサロンバス全車(但し、西日本車体車は除く)、リムジン車両のHUの一部(日野車体車)は経年後、中扉増設工事とサロンシート、仕切りやテレビを撤去後、前向き席へ変更を行い一般路線へ転用された。RC(モノコック)は前例はあったものの、HU(スケルトン)の中扉増設工事は全国でも前例が無く、転用後の出来栄えはファンばかりではなく関係者も驚いていたという。
注釈[編集]
- ↑ 空港ビルは上益城郡益城町に位置するが、滑走路の大半は菊池郡菊陽町が占めている。
- ↑ なお、これらは空港リムジンバスの時刻表には掲載されておらず、いずれも一般路線扱いとなる。
- ↑ 逆に熊本市内から空港までの利用は不可。
- ↑ 2002年の新車導入時は天草営業所に配属され、快速「あまくさ号」における12年ぶりの新車導入という事で注目を集め、2年ほど同路線において運用されていたが、のちに熊本営業所に転属し、空港リムジン専用車に転用され現在に至る。但し2台導入されたうち、1台は2013年頃より熊本港 - 交通センター間を結ぶ「オーシャンアローシャトルバス」として前任のネオプラン・セントロライナーからの置き換えに伴う転用を経て、路線車としての運用を離脱し、2018年現在では白ナンバーに変更され教習車(社員用教育車)となっている。因みに、これら2台に関して、新製導入時(「あまくさ号」時代)には後部にトイレが設置されていたが、空港リムジン転用時にトイレは撤去された。
- ↑ 空港リムジンに 「ANA」 ラッピングバス車両が導入されました! - 九州産交バス2012年6月18日
- ↑ 熊本県宣伝部長スザンヌが空港リムジンバスに現る!|空港リムジン|九州産交バス|九州産交グループ
- ↑ 「快速リムジンバス運行開始 1日4往復」 平成22年11月19日プレスリリース(九州産交バス)
- ↑ “熊本 - 天草 快速あまくさ号の変更に伴う空港リムジンバスの増便について(PDF)”. 九州産交バス (2011年2月24日). 2011年2月28日確認。
- ↑ “バスターミナル移転のお知らせ(PDF)”. 熊本桜町再開発株式会社 (2015年10月1日). 2015年10月16日確認。