西日本車体工業
西日本車体工業株式会社(にしにっぽんしゃたいこうぎょう)とは、かつて福岡県北九州市小倉北区にあったバスの車体製造を行っていた企業である。西日本鉄道の連結子会社であり、同社が最大の得意先であった。略称西工。
概要[編集]
1946年創業。国内メーカーの大型バス用シャーシならどれにでも対応可能で、ユーザーの細かな要求に低コストで柔軟に対応することを得意としていた。特に自社はシャーシのみ製造で車体は一切ノータッチだった日産ディーゼル工業のバスは西工か富士重工業のどちらかの車体を選んで架装する形であり、事実上日デのバス車体メーカーとしての地位にあった。
ただし長らく得意先の東限は京都市交通局と言われるほど東日本エリアのバス会社が西工車体を選ぶことは少なく、得意先が極めて多い西日本でも近畿日本鉄道自動車局など西工との関わりが皆無な事業者も多かった。しかし2003年に富士重工がバス車体製造事業から撤退すると日産ディーゼルのバスは西工車体のみ架装となり、東日本地区のバス会社が一気に得意先として流れ込んだ。
その一方、日野・いすゞ・三菱ふそうのシャーシに西工車体を載せることが困難になり始める。日野・ブルーリボンⅡやいすゞ・エルガは原則自社車体の架装のみとし、西工との関わりが深い事業者のみ特例で西工架装を認めるユーザー限定供給となって架装例が減少。更に2005年発売の日野・セレガ/いすゞ・ガーラ(俗称:セレガーラ)は製造工法の関係で西工架装不可、エンジンが8DC11/8M21系から6M70系に変更されたPJ-MS8系エアロバスは重量の関係で西工架装不可となり、貸切・高速車で前述3社の車両を主力としている事業者は西工との取引が消滅或いは激減した。
2007年、日産ディーゼルと三菱ふそうがバス製造事業における業務提携を結び、日デ開発の大型ノンステップバス・中型路線バスが三菱ふそうにOEM供給されて需要が激増する。しかしこれによる生産遅滞などの弊害もあり、生産ラインに余力のあった三菱ふそうは2009年に自社での大型ノンステップバスの製造を再開している。同年8月には日デ・三菱のバス製造事業を新たに合弁で設立する新会社へ移管することを発表。西工へのシャーシ供給が将来的にはゼロになるとされ、これ以上の会社存続は困難と判断。2010年8月末を以て解散し、翌年3月までに清算すると親会社の西日本鉄道取締役会で決議された。(なお解散日は従業員の再就職先斡旋のため後に2010年10月末に延期されている)
最終製造車となったのは西日本鉄道向けのPKG-RA274MAN(社番:6265)で、西工はその歴史に幕を下ろした。余談だが、日産ディーゼル・三菱ふそうのバス製造事業の合弁新会社の設立協議は破談となり、日産もバス事業から撤退した。