柴山健太郎

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柴山 健太郎(しばやま けんたろう、1927年 - 2020年)は、欧州政治評論家[1]、経済評論家[2]労働運動研究所常任理事[3]。別名は佐久間弘[4][5]。妻は女性労働評論家の柴山恵美子[6]

経歴・人物[編集]

東京生まれ[3]。陸軍幼年学校、学習院を経て、東京大学文学部に進学。日本共産党東大細胞(国際派[6]全学連書記局に所属[7]。1951年4月5日、飯田橋駅前で都知事候補・出隆の応援、朝鮮戦争反対の宣伝を行い、ポツダム政令325号違反(占領軍批判)で検挙された。16人の東大生が軍事裁判に問われたが、パンフレット『吾が友に告げん』の発行をはじめとする救援活動が行われ、16人全員が釈放された[6]。1952年東京大学文学部独文科中退[3]。1951年8月に国際派が解散し、1952年3月に所感派が全学連執行部を掌握した後、安東仁兵衛守田典彦松下清雄らとともに常東農民組合に参加。山口武秀のもとで農村オルグとして活動した[8][5]。1959年時点で全日本農民組合青年部副部長[9]。1962年以降、山口のもとから独立し、柴田友秋五十里武(のち鹿島町長、初代鹿嶋市長)とともに鹿島臨海工業地帯の開発を推進した[10]

1969年労働運動研究所(労研)創立に参加。代表理事、のち常任理事[11]。雑誌『労働運動研究』『現代の理論』『経済評論』『賃金と社会保障』『進歩と改革』などにヨーロッパの政治・経済情勢などに関する論文を発表した。1962年~1965年に機関紙『新しい路線』に寄稿していることから[4]社会主義革新運動に所属していたとみられ、その後、労働者党全国協議会[12]統一労働者党[13]新・民主主義連合に所属した[14]

2020年5月時点で故人。『季報唯物論研究』151号(2020年5月)に福田玲三「yuiken交差点 柴山健太郎氏追悼 在りし日の柴山健太郎氏」が掲載されている。

著書[編集]

  • 『お菓子の経済学』(三一書房[三一新書]、1959年)
  • 『牛乳の経済学』(大島清共著、法政大学出版局[生活の経済学新書]、1962年)
  • 『鹿島巨大開発――環境破壊に挑む労働者・農民・知識人の闘い』(御茶の水書房、1976年)*佐久間 弘名義
  • 『欧州統合と新生ドイツの政治再編』(社会評論社、1994年)
  • 『グローバル経済とIT革命――ヨーロッパ左翼の挑戦』(編著、社会評論社、2000年)

分担執筆等[編集]

  • 農民運動研究会編『農民運動の基本問題』(三一書房、1960年)
  • 農民運動史研究会編『日本農民運動史』(東洋経済新報社、1961年)
  • 日本評論社編『90年代の社会民主主義』(日本評論社、1990年)
  • 柴山恵美子編著『新・世界の女たちはいま――女と仕事の静かな革命』(学陽書房、1993年)
  • 社会主義理論学会編『20世紀社会主義の意味を問う』(御茶の水書房、1998年)
  • 山本正美論述、刊行委員会編監『山本正美治安維持法裁判陳述集』(新泉社、2005年)

出典[編集]

  1. 柴山健太郎「欧州 ブッシュと距離を置き始めた欧州の安全保障政策」『エコノミスト』第82巻第26号、2004年5月
  2. 竹中恵美子『女性論のフロンティア――平等から衡平へ』創元社、1995年
  3. a b c 柴山健太郎「勝ったのは民主主義だ!――政権を奪還したイタリア中道左派連合の苦闘の軌跡」『進歩と改革』2006年6月号
  4. a b 柴山健太郎論文・著書一覧 (1953年~2009年)PDF 労働運動研究所
  5. a b 大金久展、野村勝美、松下忠夫ほか「松下清雄を語る会」『立命館言語文化研究』21巻2号、2009年11月
  6. a b c 今西一、岡田裕之「占領下東大の学生運動と「わだつみ会」(2)岡田裕之氏に聞く」『商学討究』第60巻第4号、2010年3月
  7. 土本典昭『わが映画発見の旅――不知火海水俣病元年の記録』筑摩書房、1979年
  8. 土本典昭「コミンフォルム・ショック 「小河内工作隊」の記」『朝日ジャーナル』1970年3月29日号
  9. 『お菓子の経済学』奥付
  10. 来栖宗孝「農業・農民問題研究のために――お礼に代えて」『立命館言語文化研究』21巻3号、2010年1月
  11. 日外アソシエーツ編『現代日本人名録 2002 2. かな~せ』日外アソシエーツ、2002年、1547頁
  12. 自治省選挙部編『改正政治資金規正法解説』地方財務協会、1976年
  13. 自治省選挙部編『政治団体名簿 昭和62年版』大蔵省印刷局、1986年
  14. 自治省選挙部編『政治団体名簿 平成12年版』大蔵省印刷局、2000年

関連文献[編集]

  • 東大学生救援会編『吾が友に告げん――軍裁に問われた東大十六学生の記録』(東大学生救援会、1951年)
  • 東大十六学生救援会編『わが友に告げん――軍裁に問われた東大十六学生の記録』(筑摩書房、1952年)
  • 徳田球一『徳田球一全集 第6巻 書簡・年譜・目録』(五月書房、1986年)

外部リンク[編集]