現代の理論
現代の理論(げんだいのりろん)は、日本の論壇誌。第一次は1959年に大月書店、第二次は1964年~1989年に現代の理論社から月刊で発行され、構造改革派の理論誌としての役割を果たした。第三次は2004年~2012年に「言論NPO・現代の理論」及び明石書店から季刊で発行された。第四次は2014年にデジタル雑誌として創刊され、季刊で配信されている。
第一次[編集]
1957年9月の日本共産党第14回中央委員会総会で対米従属・二段階革命論の党章草案が採択されると、これに反対し反帝・反独占社会主義革命を主張する構造改革派と党中央との間で論争が起きた(党章論争)。構造改革派に属する井汲卓一、長洲一二、安東仁兵衛、佐藤昇らが、1959年5月に雑誌『現代の理論』を創刊した。田口富久治や当時は構造改革路線をとっていた上田耕一郎、不破哲三なども参加した。
第2号には日本最初のグラムシ紹介だとされるトリアッティの「アントニオ・グラムシ」の翻訳が掲載された。創刊が認められたのは党中央の蔵原惟人の理解と支持があったためだが(石堂清倫『わが異端の昭和史 下』)、党中央により規律違反として1959年8月の第5号で廃刊させられた。
第二次[編集]
1961年7月の日本共産党第8回大会を契機に離党・除名された構造改革派は、1961年10月に社会主義革新運動準備会(社革)を結成した。1962年5月に春日庄次郎、山田六左衛門らが社革を離脱して統一社会主義同盟(統社同)を結成し、1964年1月に統社同の安東仁兵衛らが第二次『現代の理論』を創刊した。中心メンバーは第1次と同じく井汲卓一、長洲一二、安東仁兵衛、佐藤昇などで、新たに中岡哲郎、森田桐郎、沖浦和光なども参加した。統社同の準機関誌。日本社会党の構造改革派や中国の文化大革命をめぐり論争が展開された。
発行元は井汲卓一が1961年に創設し社長に就任した「現代の理論社」、発売元は河出書房新社。4年半の季刊時期を除き月刊で発行され、1989年12月に休刊した。
第三次[編集]
第二次『現代の理論』の中心メンバーであった沖浦和光の提案で復刊が協議され、2004年6月に創刊準備号、10月に創刊号が発行された。創刊準備号から2007年春の第11号まで「言論NPO・現代の理論」が発行し、明石書店が発売を担当した。2007年夏の第12号から最終刊となる2012年4月の第30号まで明石書店が発行した。論調は左派・リベラル。
第四次[編集]
第四次『現代の理論』は2014年春にデジタル雑誌として創刊され、年4回無料で配信されている。編集委員会の主体は第三次『現代の理論』と同一である。「現代の理論」は登録商標(登録番号:第5978523号、出願日:2016年4月9日、登録日:2017年9月8日)。
同名の雑誌[編集]
2004年から2007年まで第三次『現代の理論』の発行を担当した「言論NPO・現代の理論」は、2005年7月に「特定非営利活動法人言論NPO・現代の理論」、2008年5月に「特定非営利活動法人NPO現代の理論・社会フォーラム」(以下フォーラム)に改称した。フォーラムは2008年2月から発行している雑誌『FORUM OPINION』を2016年6月に『現代の理論』に改題したため(2017年10月から同時代社が発売を担当)、同名の雑誌が2誌存在することとなった。フォーラムは2017年12月に登録商標「現代の理論」の登録異議を申し立てたが、2018年3月に登録維持と判定された(商標審決データベース)。その後もフォーラムは『現代の理論』の発行を続けている(公式サイト)。
参考文献[編集]
- 現代の理論とは|季刊・現代の理論
- 戦後革命運動事典編集委員会編『戦後革命運動事典』新泉社、1985年