旧性能化

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旧性能化(きゅうせいのうか)とは、鉄道路線や鉄道車両において、比較的新しい技術を旧式のものに置き換えることを指す。正式な単語はないが、新性能化という言葉は浸透しているため、あえて対義語を用いるものとしてこの名前を記事名とした。

概要[編集]

列車を置き換える際はより新しい世代のものに置き換えるのが一般的であるが、保守的な考えが根強く残る場合はその限りではない。更には車両まで旧式化する例も少なからず存在し、新技術が重大な故障に見舞われた場合に多く見られる。

旧性能化の例[編集]

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PCCカーの例[編集]

継手の破損や電制時の衝動などが激しく、整備に手を焼き、運転時の扱いも難しかったため吊り掛け駆動方式の直接制御に改造されている例が後を絶たなかった。そうでなくとも軽量車体がゆえに真っ先に淘汰され、部分廃止後も吊り掛け車しか残らなかった例が多い。

以下の事業者・路線・車両が該当する。

それ以外[編集]

東日本[編集]

JR日高本線
1998年に新世代NDCのキハ130を廃車させ、エンジン性能こそ向上した改造をしたが、キハ130から見れば旧式のキハ40を再投入させた。
国鉄キハ60系気動車
DMF31系エンジンによる高速化の先行車として千鉄局に投入されたが、DMF31系エンジンおよび2軸駆動の試験成果が芳しくなく、また高出力のDML30HSA形エンジンの試作車であるキハ91に後年に編入されることなく、他の気動車と同様のDMH17系エンジンへの載せ替えと1軸駆動化が行われた。
東武野田線
1977年より車両の大型化のために8000系の前期車4連が配置されたが、1983年に吊り掛け駆動5050系5070系と引き換えに他線区に転属し、以降1988年に2080系がやってくるまで吊り掛け車の独擅場となっていた。
営団1400形電車
高性能車の試験車としてWNドライブで落成したが、試験終了後は300形に機器を供出し吊り掛け駆動方式に改造された。
東武5700系電車東武モハ5800形電車
5700系C編成の2本やモハ5800形は直角カルダン駆動方式で落成したが、フラッシュオーバーや油漏れなどの重大な故障が頻発したため、他の編成と同様に吊り掛け駆動方式に改造されている。
営団6000系電車6000-1F
電機子チョッパ制御の試作車であったが、VVVFの試験に供された後、営業線上に入る際に抵抗制御の電磁直通ブレーキに改造された。
小田急ロマンスカー
1950年代後半に登場した3000形SEは、軌道強化等ができない路線状況下で、低重心の連接車という当時としては革新的な技術で高速化を実現したが、まず冷房化のニーズで低重心化を捨てざるを得なくなり、さらには通勤路線化で曲線通過の容易な連接車の構造も徐々に効果を発揮しにくく宝の持ち腐れ化して、50000形VSEが撤退後、後継車はボギー車が主流になったばかりか、SEの成果は他社の悪条件の狭軌路線にも技術移転されずに済んでしまった。

中部[編集]

豊橋鉄道渥美線
架線電圧を600Vから1500Vに昇圧する際、名鉄7300系電車をほぼすべて譲り受け、既存車をすべて淘汰したが、その中にはカルダン車の1900系も含まれていた。
阪神から京福電気鉄道に譲渡されたジェットカー
吊り掛け駆動方式の既存車の車体載せ替えという形になったため、カルダン駆動から吊り掛け駆動方式に改造されたことになる。
岳南電車岳南線
界磁チョッパ制御の7000形7002号車が故障して廃車されたが、その代替は抵抗制御の9000形で行われた。
683系2000番台撤退後の「しらさぎ」
旧式で加速性能が劣る681系に置き換えられた。もっとも、2024年以降683系が、0・4000番台転用という形ながら戻ってくる可能性もあるため今後に要注目である。

関西[編集]

三岐鉄道モハ120形電車
三岐線唯一の自社発注カルダン車として落成したが西武からの吊り掛け駆動方式の大型車を譲り受けた際に廃車され、高松琴平電気鉄道へと渡った。この際に電動車はすべて吊り掛け駆動方式に改造されて運用に就いた。
このように本形式は2つの旧性能化を経験したことになる。
南海8000系電車 (初代)
電機子チョッパ制御で落成した本系列だが、運用上不便が生じ抵抗制御の6200系に改造されて消滅した。
381系撤退後の「くろしお」
後継車は非振り子車両が充てられ、283系も振り子を使用停止となり、曲線通過速度が低下する犠牲を伴った。なお、「やくも」は導入予定の273系で、曲線通過速度後退を回避する。
近鉄1000系電車
界磁位相制御で回生ブレーキを搭載しているにもかかわらず、抑速制動を装備しないことと車齢が55年を過ぎ老朽化が激しいことから大阪線の減便で余剰となった、回生ブレーキをもたない2430系の転入で廃車が進んでいる。

中四国[編集]

阪神から琴電に譲渡されたジェットカー
5231形を除くと上記の三岐鉄道モハ120と同様に吊り掛け駆動方式に改造されて運用に就いた。なお、5231形はWNドライブ方式に改造されてから運用に就いている。
岡山電気軌道7200形
3500形からの機器流用だったが、種車の間接制御は応答性が悪く流用されず、直接制御に戻された。
広島電鉄3700形
連接型路面電車としては画期的なチョッパ制御を採用した3500形だったが運行してみると、思うような性能を発揮できず、抵抗制御に戻して新規導入した連接車両。新規導入車が旧性能化した事例。

その他[編集]

上記のことからわかるが、試作車以外でVVVF制御車をより技術の古い直流電動機搭載車に置き換えた事例は存在しない。
これは制御技術の優秀さより、誘導電動機採用によって、直流電動機には不可欠だったブラシが省略できるなど、部品点数の削減や保守の合理化といったランニングコスト低減の効果が絶大なためである。VVVF制御車を導入するメリットの少ない線区では、交流電化区間を中心に、むしろ架線下DCの線区が増加して、環境鉄道オタクに「技術の退歩」と目される事態となっている。

関連項目[編集]