名鉄7300系電車
名鉄7300系電車(めいてつ7300けいでんしゃ)は、かつて在籍した名古屋鉄道の車両の1形式。後に豊橋鉄道に譲渡され、殆どが運用についたが、2002年に全廃された。
登場の経緯[編集]
支線直通の特急用として、廃車となったAL車の機器を流用して1971年に登場した。当初は170両近くのAL車を本系列に更新予定であったが、車両需要が高まってしまったことから初年度の4連3本、2連9本の30両の増備で終わった。
なお、本系列は近鉄18000系電車と同様に、特急運用に使用される冷房付き吊り掛け車という珍しい形態の車両となった。
構造[編集]
車体は当時絶賛増備中であった7000系に準じた、19m級・2扉・固定窓仕様の全鋼製車体を持ち、前面に貫通扉が設けられた。これは若干仕様を変更した上で7700系にも引き継がれることになる。7700系と異なるのは、標識灯周りの飾りがないことと、前面形状がやや角ばっていることなどが挙げられ、どちらかというと3780系に近い印象となった。連結器もAL車と同様の並型自動連結器とされた。
内装はオール転換クロスシートで、冷房も搭載された。
流用品の主要機器については、110kW級の吊り掛け式主電動機に、ES-568系主制御器、およびA動作弁の自動空気ブレーキの組み合わせとされ、旧性能車と同等レベルの起動加速度1.8km/h/s、最高速度100km/hを確保している。
台車については当初はイコライザー式の流用品であったが、1978年頃から軸バネ式のFS36形台車に交換された。この台車はオイルダンパやボルスタアンカまで備える、吊り掛け駆動方式のコイルバネ台車の中でも乗り心地が格段に良いものであった。
結果として、パノラマカーのような車内設備でありながらパノラマカーではないということで、似非パノラマカーというあだ名もつけられている。
運用[編集]
当初は三河線系統といった支線直通特急の運用についたが、昭和50年代半ばになると2連、4連ともにそれぞれの既存のAL車と共通運用が組まれるようになった。
1972年頃よりモ7301に電動方向幕・種別幕の試験が行われたが、もとに戻された。
以降はカルダン駆動だが冷房のない旧5000系や5200系よりもサービス改善という観点から利用客に喜ばれたが、末期は広見線や三河線といった支線区の普通列車運用が中心となり、1997年をもって全車が廃車、豊橋鉄道に譲渡された。
豊橋鉄道7300系電車[編集]
譲渡後、中間車2両が部品取りとされた以外は28両が手動方向幕設置などの改造を施され、同社の7300系となり、渥美線での運用に就いた。
当時、豊橋鉄道渥美線では架線電圧の1500Vへの昇圧を控えていたため、ちょうどいいタイミングでの譲受となったが、この置き換えと同時に唯一のカルダン駆動車であった1900系もすべて駆逐されたため、カルダン駆動車から吊り掛け車へ置き換える事例が発生してしまった。
しかし、12分間隔に増発した際、ダイヤの乱れが頻発したことから再度15分間隔に戻され、その後もワイパーの自動化や主抵抗器の更新などによりなんとかして生きながらえていたが、2001年頃より東急からやってきた1800系により置き換えが始まり、2002年3月末のなのはな号の廃車をもって本系列は全廃となった。その後、「超過激!電車丸ごとプレゼント」というキャッチコピーに釣られた[Joke]鉄道ファンに数両ほど引き取られている。
なお、豊橋鉄道での廃車直後に大井川鐵道への譲渡計画があったものの没になったという噂があるが、真相は全くもって不明である。[要出典]