東武5070系電車
東武5070系電車(とうぶ5070けいでんしゃ)とは、かつて東武鉄道が保有し、主に野田線で使用されていた車両の1形式。東武鉄道において最後に製造された、吊り掛け駆動方式の機器流用車であった。
概要[編集]
昭和30年代後半までに58両が更新された7300系と162両が新造された7800系は昭和50年代半ばになると後に登場した東武8000系電車に比べて接客設備が見劣りし、更新時期に迫っていた。そこで1979年より7800系12両が5000系、1980年より7800系は72両が5050系へと更新され、7300系は1981年より1984年までにすべて廃車されていったが、残る78両は5000系列で初となる6両固定編成として更新されることになった。
この際に5070系という形式が立ち上がり、1984年から86年にかけて残る78両全車がこの5070系6連13本に更新され、未更新の7800系はこれをもってすべて淘汰された。
構造[編集]
車体は既に増備を終了していた8000系のものに準ずるが、当初から冷房搭載のうえ、尾灯についてはLED式とする、5178F以降についてはアコモデーションを10000系ベースとするという変更点が見受けられた。
主要機器と台車は流用品である。
主電動機は出力142kWのHS-269やTDK-544となっており、この2つは同一性能のため1台車に混在することも度々あった。駆動方式は吊り掛け式となっており、歯車比は4.13で設定された。
台車は種車のFS10やKH-20、NL-1で、いずれもほぼ同一品となっているが、軸受のベアリングをローラー式から密封式に、ブレーキシリンダーを台車式に改造している。
制御装置は東洋電機製造製のES-569Aとしており、弱め界磁起動段が追加された。
ブレーキ方式はHSC電磁直通ブレーキであるほか、MGやCPも冷房や6両編成に対応したものとなった。
この結果、3つの車両の要素を兼ね備えるという、どこぞの西武9000系電車に似たような格好となってしまった。
運用[編集]
5175F〜77Fは当初伊勢崎線に配置されたが、1991年までに野田線系統に転属した。それ以外についても短編成化が困難であることから終始野田線にて運用され続けた。また、導入後妻面の貫通扉の増設がなされた以外大きな変化はなかった。
しかしながら、起動加速度が鈍いことや、設計最高速度が105km/hであることなどからダイヤ構成において高速化の妨げとなっていった。
その後、1999年3月のダイヤ改正をもって5171F〜73Fまでの3編成18両が運用を離脱、翌々2001年4月から6月にかけて廃車解体となった。特に4月に廃車された5173Fはより古い5000系より先の廃車となってしまった。
さらに2002年から30000系の投入に伴い8000系が野田線に転属してきたことから廃車が進行。2003年までに5180F〜82Fの3本を残しすべて廃車された。
そして残った3編成も2004年10月のダイヤ改正をもって運用離脱。同月26日までにすべて除籍廃車となり、5050系より早く廃系列となった。結果として全編成が車齢20年を迎えずに廃車となっている。
5174F以降についても廃車後はほとんどが解体処分されたが、5183Fの両先頭車のみが高崎市内の店舗として民間に譲渡され、2019年現在も利用されている。