北村小夜

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北村 小夜(きたむら さよ、1925年 - )は、元教員。1950年から1986年まで東京都内の小中学校の教員。1965年から退職までは中学校の特殊学級担任を務めた[1]。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」世話人[1][2]。元『季刊福祉労働』編集委員[3][4]

来歴・人物[編集]

福岡県久留米市生まれ[5]。軍国少女として育ち、1944年9月京城日本赤十字社救護看護婦養成所を卒業[6]満州に渡り、看護婦として陸軍病院に勤務[7]。同地で敗戦を迎え、1年間八路軍と行動を共にした後、日本に引き揚げた[6][5]日本大学芸術科に入学するが2年で中退、東京でエロ本の絵師となった。1950年に教員となり、江東区立平久小学校に赴任。4年ほどして大田区立大森第六小学校に異動[5]。1958年の伝達講習会阻止闘争[8]など、日教組の組合活動に参加した。東京学芸大学の特殊教育課程を受講し、1965年に大田区立志茂田中学校の特殊学級の担任となった[5]。学校の子どもたちから「子どもを分けてはならない」ということに気付いたといい、以後、障害児が地域の普通学校で学べることを目指す活動を続ける[1]。1979年の養護学校義務化を前に養護学校義務化阻止共闘会議を結成し、八王子の養護学校を中心にして反対運動を展開した[5]。その後、「障害児を普通学校へ・全国連絡会」世話人を務める[7]

教員退職後の1990年から1991年まで長春師範学院の日本語教師として、中国長春に住む[7][5]。1993年から2001年まで日教組教育研究集会障害児教育分科会に共同研究者として参加した[9]。1999年、国旗及び国歌に関する法律案についての衆議院内閣委員会中央公聴会で、公述人として廃案を主張した[10]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『一緒がいいならなぜ分けた――特殊学級の中から』(現代書館、1987年)
  • 『慈愛による差別――障害者は天皇制を見限り始めた』(軌跡社、1991年)
    • 新装増補版『慈愛による差別――象徴天皇制・教育勅語・パラリンピック』(梨の木舎[教科書に書かれなかった戦争]、2020年)
  • 『再び住んでみた中国――長春(旧新京)で日本語を教える』(現代書館、1992年
  • 『能力主義と教育基本法「改正」――非才、無才、そして障害者の立場から考える』(現代書館、2004年)
  • 『戦争は教室から始まる――元軍国少女・北村小夜が語る』(講演、「日の丸・君が代」強制に反対する神奈川の会編、現代書館、2008年/増補版、2020年)
  • 『「共に学ぶ」教育のいくさ場――北村小夜の日教祖教研・半世紀』(述、志澤佐夜編、現代書館、2010年)
  • 『画家たちの戦争責任――藤田嗣治の「アッツ島玉砕」をとおして考える』(梨の木舎[教科書に書かれなかった戦争]、2019年)

共著[編集]

  • 『おもちゃ箱ひっくり返した――一人の女・教師の半生』(北村小夜ほか述、北村小夜が語り、北村小夜と語る集い実行委員会編、現代書館、1988年)
  • 『「日の丸・君が代」が人を殺す!』(天野恵一共著、社会評論社、1999年)

編著[編集]

  • 『普通学級に入って自立を探る――障害児とかかわる親・教師・介護者の記録』(小山益男、斉藤洋幸共編著、明治図書出版、1985年)
  • 『障害児の高校進学・ガイド――「うちらも行くんよ!」14都道府県の取り組み』(編、現代書館、1993年/増補改訂版、2020年)
  • 『地域の学校で共に学ぶ――小・中・高校、養護学校教師の実践』(編、現代書館、1997年)
  • 『子どもの脳がねらわれている――今なぜ発達障害なのか』(石川憲彦、北村小夜、鳥羽伸子講演・編著、国民教育文化総合研究所編集、アドバンテージサーバー、2006年)

監修[編集]

  • 『いっしょがいいな 障がいの絵本(全6巻)』(ポプラ社、2006年)

分担執筆[編集]

  • 冨田博之編『集会・行事の構成と演出 中学校』(明治図書出版、1977年)
  • 東京「54年度養護学校義務化」阻止共闘会議編『どの子も地域の学校へ――養護学校の義務化はごめんだ』(柘植書房、1980年)
  • 新泉社編集部編『現代反差別の思想と運動』(新泉社、1983年)
  • 岡崎勝編著『学校教育の支配戦略――89学習指導要領の傾向と対策』(青弓社、1990年)
  • 日本臨床心理学会編『裁判と心理学――能力差別への加担』(現代書館、1990年)
  • 戦時下の小田原地方を記録する会編『撃ちぬかれた本』(夢工房、1995年)
  • 子どもの権利条約の趣旨を徹底する研究会編『統合教育へ一歩踏み出す――条約・規則・宣言を使って』(現代書館、2000年)
  • 小沢牧子、長谷川孝著『「心のノート」を読み解く』(かもがわ出版、2003年)
  • 明治大学軍縮平和研究所編『教育基本法改正案を問う。――愛国心は必要か?』(西田書店、2006年)
  • 山内乾史、原清治編著『リーディングス日本の教育と社会 第1巻 学力問題・ゆとり教育』(日本図書センター、2006年)
  • 日本社会臨床学会編『シリーズ「社会臨床の視界」 第1巻 「教育改革」と労働のいま』(現代書館、2008年)
  • 堀利和著『はじめての障害者問題――社会が変われば「障害」も変わる』(現代書館、2013年)

出典[編集]

  1. a b c 『一緒がいいならなぜ分けた――特殊学級の中から』奥付
  2. 能力主義と教育基本法「改正」―非才、無才、そして障害者の立場から考える 紀伊國屋書店
  3. 『慈愛による差別――障害者は天皇制を見限り始めた』著者紹介
  4. 社会的事業所――労働を通じたソーシャルインクルージョン 現代書館
  5. a b c d e f #22 北村小夜さん 不登校50年証言プロジェクト(2017年7月7日)
  6. a b 『慈愛による差別――障害者は天皇制を見限り始めた』19-27頁
  7. a b c 日外アソシエーツ編『現代日本女性人名録』日外アソシエーツ、1996年、142頁
  8. 一番先に失われるのが人権~北村小夜さんに聞く「道徳」教科化 レイバーネット日本
  9. 「共に学ぶ」教育のいくさ場 現代書館
  10. 第145回国会衆議院内閣委員会公聴会議録第1号 国会会議録検索システム

関連文献[編集]

  • 小国喜弘編『障害児の共生教育運動――養護学校義務化反対をめぐる教育思想』(東京大学出版会、2019年)

外部リンク[編集]