光合成
光合成(こうごうせい、独: Photosynthese、仏: photosynthèse、拉、英: photosynthesis)は、主に植物や、藻類、光合成細菌などの光合成色素をもつ生物が行う、光エネルギーを化学エネルギーに変換する生化学反応のことである。
概要[編集]
光合成生物は光エネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素からブドウ糖を合成している(炭酸同化)。また、光合成は水を分解する過程で生じた酸素を大気中に供給している。ただし、水の代わりに硫化水素を使用した光合成の場合はこれを分解して硫黄を産出している。年間に地球上で固定される二酸化炭素は約1014kg、貯蔵されるエネルギーは1018kJと見積もられている。「光合成」という名称を初めて使ったのはアメリカの植物学者チャールズ・バーネス(1893年)である。ひかりごうせいとも呼ばれることがある。
光合成色素[編集]
クロロフィルa、クロロフィルb、カロテン、キサントフィルなどがある。「クロロフィルaは光合成細菌以外のすべての光合成生物に含まれる」ともされるが、藍藻はクロロフィルaしか持っていないので、「好気性では必要がない」ところから消失したのかもしれない。進化論における「用不要説」「廃用説」との関連から議論がある。
反応[編集]
光に密接に依存する第一段階の反応と、第一段階の産物に依存する第二段階の反応に分けられる。かつては「光のある条件で行われる明反応と、光のない条件で行われる暗反応に分かれている」と説明されていた。
炭酸同化[編集]
生物が無機物である二酸化炭素と水から糖などの有機物を作る働きを炭酸同化という。これは用いられるエネルギーによって光合成と化学合成に分けられる。
化学式[編集]
- 緑色植物*6CO2+6H2O+688kcal→C6H12O6+6O2
- 紅色硫黄細菌*6CO2+6H2S→C6H12O6+12S
歴史[編集]
地球に雨が降り注いで、陸地から大量の有機物が海に流れ込んだため、これをエネルギー源にする嫌気的従属栄養生物が誕生した。次に、その呼吸によって周囲に豊富に存在した二酸化炭素を利用して光合成を行う植物プランクトンが水中に登場した。水中に酸素を満たし、それによって酸素呼吸を行う動物プランクトンが誕生した。さらにそれを餌にする高等動物が誕生し、水中の生物相が豊かになった。酸素は大気中にも放出され、オゾン層を育成し、高等植物が陸上に登場した。
退化[編集]
オニノヤガラ、ナンバンギセルのように光合成の能力を失って従属栄養生物となった植物がある。また、現在は菌界に分類されている生物は、かつては隠花植物の一分類にされ、光合成の能力を失った植物とされていた。