地球の最期

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地球の最期(ちきゅうのさいご)には、太陽の活動が増大して地球を飲み込み、あるいは、他のと衝突して消滅すると考えられている。

予想される出来事[編集]

地球はこれまで、巨大隕石や彗星の衝突、至近距離での超新星爆発磁界の移動、火山の噴火等を経験したが、地球の存在そのものが危機的に陥ることはなかった。これからも同じようなことが数千万年単位で起き、地球の環境は大きく変わるが、数億年単位で起きる出来事については予想でしかない。別の恒星太陽系に近づき、地球が太陽系から弾き飛ばされるか、その恒星を中心に公転する可能性も否定できないが、そのような天体は現在のところ観測されていない。

地磁気の変動[編集]

磁界は毎年0.2%西側へ移動している(西方偏位)。また、過去100年の観測で毎年0.05%減少していることがわかっている。地磁気は時には逆転する。原因は分からないが、ダイナモ理論のとおりに地球の回転によって地球内部に電流が流れているならば、なにかのきっかけで電流の向きが変わり、磁場が逆転する可能性がある。最近では77万年前に逆転した。

内核の成長[編集]

固体である内核が大きくなり、液体である外核が小さくなっていることもわかっている。これによってダイナモ理論による地磁気が消滅する可能性がある。このため、宇宙線が直接地球に到達することになる。

生物への影響[編集]

原生代から新生代に至るまで、気候変動による大絶滅が繰り返され、今後も同様なことが起きる可能性はある。新生代に限っても幾度かの大絶滅があり、さらに人為的な生物への影響もある。人類がこの先仮に滅亡した場合、その後に起きる生物への影響は計り知れない。生物が大絶滅するたびに新しい生物が誕生するが、この先、数億年後にどのような生物が登場するのかもわからない。地球の気温の上昇とともに、それに対応できない生物は絶滅し、適応できる新しい種類が出てくる可能性はある。また、気温の低い高地や極地に生命が移動する可能性がある。それでも気温の上昇から二酸化炭素が岩石に取り込まれることにより植物光合成が不可能になって植物の絶滅による酸素不足から、好気的多細胞生物の絶滅に至る。それでも海洋には多くの二酸化炭素が含まれており、水生生物はしばらくは生存できるが、海洋の消滅に至り、嫌気的単細胞生物も温度の上昇に従い地球上から生命は消滅する。

太陽の成長[編集]

今から11億年後、太陽は今よりも10%明るくなる。地球の気温は上昇し、大気中の水分子の熱運動が活発になる。それによって大気上層から宇宙空間に脱出できるようになると、 大気中に水蒸気が存在しなくなる。この時までに大部分の生物は絶滅する[1]

今から35億年後、太陽は今よりも40%明るくなる。海洋は蒸発し、炭酸塩鉱物の熱分解により大量の二酸化炭素が放出される。二酸化炭素は分子量が大きく、熱運動によって地球から脱出することはないと考えられる。地球は今の金星のような環境となり、この時までにすべての生物は絶滅する[2]

今から63億年後、太陽の中心核で燃料としての水素が枯渇し、中心核の外側で水素核融合が始まる。この時期の太陽は準巨星と呼ばれる。明るさは比較的一定だが直径は今の1.5倍から2.3倍に膨張する。準巨星の時期は今から70億年後まで続く[3]

今から70億年後、中心核でヘリウム核融合が始まる。76億3300万年後には明るさは今の2400倍、直径は今の100倍から150倍に膨張する[4]。水星・金星は太陽に飲み込まれて蒸発すると考えられる。地球はどうか? 太陽が恒星風の放出によって質量を失うので地球の軌道半径は拡大し(2.1億キロメートル)、飲み込まれずに済みそうだとする理論モデルもある。太陽の膨張と地球の軌道半径の拡大はどちらが早いか、それを決定する具体的な条件についてはよく分かっていない[5]

今から76億3300万年後、中心核でヘリウムフラッシュが起きると太陽は収縮する。明るさは今の20から50倍、直径は今の10倍程度。77億4500万年後までこの状態が続く(極水平分枝星)[6]

今から77億4500万年後、中心核で燃料としてのヘリウムが枯渇する。太陽は再び膨張し(漸近巨星分枝星)、77億6500万年後には明るさは今の3000倍、直径は今の170倍に膨張する。今から77億6500万年後、短い間におそらく4回のヘリウムフラッシュを経たのち、残りの質量の60%を失った太陽は白色矮星になる[7]

この時地球がまだ存在すると仮定して、数兆年から1000兆年の間には他の恒星の接近にともなう重力相互作用により、地球は太陽系からはじき出される可能性がある。そうならなかった場合、10^20年後には重力波の放射により運動エネルギーを失った地球は太陽の残骸(黒色矮星になっていると考えられる)に墜落する。今度こそ地球の最期である。

いや、もう一つ可能なシナリオがあった。太陽系からはじき出されて自由浮遊惑星となった地球が陽子崩壊によって蒸発する可能性もある。陽子の半減期を10^34年、半減期の100倍で地球が蒸発すると仮定して10^36年後、今度こそ本当の地球の最期である。

出典[編集]

  1. ブレイト 2010, p. 267-268.
  2. ブレイト 2010, p. 268-269.
  3. ブレイト 2010, p. 270-271.
  4. ブレイト 2010, p. 272-273.
  5. ブレイト 2010, p. 274-277.
  6. ブレイト 2010, p. 286-288.
  7. ブレイト 2010, p. 290-292.

参考文献[編集]

  • 『地学ⅠB』 渡嘉敷哲et al.、清水書院〈新ひとりで学べる 11〉、2003年8月20日、第16刷。
  • フィリップ・ブレイト 『宇宙から恐怖がやってくる!:地球滅亡9つのシナリオ』 斉藤隆央訳、日本放送出版協会、2010年4月20日、第2刷。ISBN 978-4-14-081418-5

関連項目[編集]