ヤリマンボウ

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ヤリマンボウ
分類
: 動物界
: 脊索動物門
亜門 : 脊索動物亜門
上綱 : 顎口上綱
: 硬骨魚綱
: フグ目
亜目 : フグ亜目
: マンボウ科
: ヤリマンボウ属
: ヤリマンボウ
学名
Masturus lanceolatus
(Liénard,1840)
和名
ヤリマンボウ (槍翻車魚)
英名
Sharptail mola
Sharpfin sunfish
Sharptailed sunfish

ヤリマンボウは、フグ目マンボウ科に属する海水魚である。

概要[編集]

最大全長337cm、体重2tになる[1]ヤリマンとは関係ない。

マンボウに似ているが、体形が卵型で、下顎が上顎よりすこし前方に突出しており、舵鰭の中央が尖がっている。若い個体の舵鰭はとくに尖がっている。

生きている時は、黒色の斑と舵鰭に白色の虫食い状斑もしくは点状をもつ傾向があり、110cm以上のマンボウにみられるシワは、本種にはない[2]

背鰭の軟条は15~19本で、臀鰭軟条数は 15~19本[1]

生態[編集]

世界中の温帯・熱帯海域に生息する、温帯海域より熱帯海域に多い。日本では、青森県以南で散発的に見られ、冬には日本海で座礁する[3]。熱帯海域ではよく漁獲されているが、日本近海では珍しい[4]

ヤリマンボウは、海水魚だが、福岡市の川で発見された事例が存在する[5]

推定最高年齢は、メスで105歳、オスで82歳と考えられている。

分類[編集]

本種は、Élizé Liénardが1840年にOrthagoriscus lanceolatusとして新種記載された。

ヤリマンボウ属の唯一の種である。ヤリマンボウ属には、本種のほかに舵鰭の長さなどが違う「トンガリヤリマンボウ」という種も認めての2種にする説もあったが、現在は同種で、2種の違いは個体差とされる[6]

トンガリヤリマンボウは、ピーター・ブリーカーにより記載され、ヤリマンボウ属がセオドア・ギル (Theodore Gill)が1884年より記載時された時には本種を模式種とした。

人間との関係[編集]

水族館で、展示されているマンボウ科魚類は、マンボウが多いが、極稀にヤリマンボウが飼育されることがある。

[編集]

台湾で「マンボウ」として食べられているのは本種である。

台湾では、2000年以降、急激に漁獲量が増加している。定置網、流し網、延縄漁業で漁獲され、漁獲量が多いのは11月~1月である。

年間水揚げ量は、年によりバラつきがあり、2005年の208t~2003年の494tまで様々。

台湾東部で捕獲されるマンボウ科の大部分(約90%)は本種であり、マンボウ属は10%、クサビフグは微量である。

ヤリマンボウを食べて食中毒になった事例が台湾で1例だけ報告されている。

名称[編集]

和名は舵鰭の尖がりに由来し、1938年に岡田氏と松原氏により命名された。英名も同語源である。

地方名として「ギンマンボウ (徳島県鞆浦)」「ミズマンボウ (三重県高知県)「エビスマンボウ (三重県九鬼)」等がある。

三重県では、ウシマンボウがマンボウやヤリマンボウと混同され、「ヤスリマンボウ (マンボウ)」とも「エビスマンボウ(ヤリマンボウ)」とも呼ばれる[7]

脚注[編集]

出典
  1. 以下の位置に戻る: a b Masturus lanceolatus”. FishBase. 2023年11月1日確認。
  2. 澤井悦郎「写真に基づく徳島県からのヤリマンボウ,ウシマンボウ,およびマンボウ(マンボウ科)の記録」、『Ichthy, Natural History of Fishes of Japan』第10巻、鹿児島大学総合研究博物館、2021年、 1-6頁、 doi:10.34583/ichthy.10.0_1
  3. 澤井悦郎「写真に基づく青森県初記録および北限記録更新のヤリマンボウ」、『Ichthy, Natural History of Fishes of Japan』、鹿児島大学総合研究博物館、2021年、 5-9頁、 doi:10.34583/ichthy.3.0_5
  4. 澤井悦郎 (2020年12月18日). “Twitterユーザーの発見が日本におけるヤリマンボウの北限記録更新に貢献!”. dot.asahi.com. https://dot.asahi.com/dot/2020121500012.html?page=1 2022年4月27日閲覧。 
  5. 安藤健二 (2018年12月29日). “「家の裏でマンボウが死んでる」が現実になったと話題に。福岡市内の川で発見”. www.huffingtonpost.jp. https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/28/yarimanbou_a_23628938/ 2022年4月18日閲覧。 
  6. 澤井悦郎 (2020年9月24日). “ヤリマンボウの死がつなぐハシブトガラスの生~海と陸の意外な繋がり~”. dot.asahi.com. https://dot.asahi.com/dot/2020092200033.html?page=1 2022年2月27日閲覧。 
  7. 澤井悦郎「写真に基づく三重県初記録のウシマンボウ,およびマンボウ属の新たな分類形質」、『ICHTHY Natural History of Fishes of Japan』第8巻、鹿児島大学総合研究博物館、2021年、 31-36頁、 doi:10.34583/ichthy.8.0_31