スバル・レガシィ
レガシィ(Legacy)とは、SUBARUが生産・販売している自動車である。かつてはセダンやステーションワゴンも生産・販売していたが、2023年現在でレガシィシリーズとして日本国内で発売しているのはレガシィアウトバック(クロスオーバーSUV)のみである。
概要[編集]
かつてのレオーネで確立したサッシュレスドア・4WDに加えて、ツーリングワゴンとセダンの二本立てのボディタイプは継承しつつ、新開発したプラットフォームにこれまた新開発となる水平対向エンジン「EJ」が搭載された。当時の富士重工業は倒産危機に直面していたが、このレガシィが爆発的なヒットを記録したため、業績回復の救世主といわれている。 アルシオーネの販売終了後はSUBARUのフラッグシップモデルとなり、国内外で高い評価を得ている。
2024年秋に翌年春をもって北米の7代目セダン、日本国内仕様のレガシィアウトバックの販売終了予定であるとアナウンスされており、1989年から続いたレガシィシリーズに終止符が打たれることとなった。なお、北米市場ではスバル・アウトバックとして継続して製造・販売される予定である。
2024年11月7日には「2024 日本自動車殿堂 歴史遺産車」に選定されたことがスバルより発表された[1]。日本市場におけるステーションワゴン市場の開拓やAWD技術の発展の他、後年のスバル車の基幹技術の礎となったことが評価されたものである。スバルの技術が評価された反面、レガシィの名に終止符が打たれた後の受賞であり、その名の通り遺産(legacy)となってしまったとの皮肉的な見方もされている模様。
初代[編集]
開発当時は当時の富士重工業が倒産危機であると報道されるほどの状況であり、状況打開のために社内体制の改革などが行われていた。その中で開発されたのがこの初代レガシィである。直近のレオーネが1.8Lエンジンだったのに対し、レガシィは2.0Lを主軸とし、下位グレードとして1.8Lモデルを採用している。また、AT車にはアルシオーネに引き続きアクティブトルクスプリット4WD(ACT-4)が採用されており、MT車は1.8LのMiと呼ばれるグレードのみセレクティブ4WD、それ以外はフルタイム4WDとなる。
発売前の1989年1月、10万km耐久走行における走行平均速度の世界記録を樹立している(平均223.345km/h)。
バブル景気によるRVブームの先駆けともいえる車でもあり、クロカンテイストなRV車の中でステーションワゴンでありながら人気を得た。ハイパワー4WDなステーションワゴンというジャンルは当時の日本車においてはレガシィのみであり、トヨタが追従しトヨタ・カルディナを販売するなど、各自動車メーカーが類似車種を販売するきっかけとなった。
STiからコンプリートカーが200台限定で発売されるなど、オンロードにおけるスポーティな4WDのイメージ定着に一役買っている。
2代目[編集]
1993年に販売された2代目レガシィであるが、他社が軒並み大型化する中で5ナンバーサイズに留め、排気量も2Lクラスで抑えていた。しかしボディ剛性の強化や安全性能の向上、さらにはエンジン出力も限定生産車ではない一般販売車としては初になる自主規制値上限である280psに到達している[注 1]。バブル景気崩壊後の不景気の中でも販売は好調であり、先代以上の販売台数となった。 また、同時期のインプレッサ(GC/GF)と同様、2.0LターボAT車にVTD-4WDが設定された。FFモデルにはトラクションコントロールが設定されたが、これは国産FF車で初となる装備である。 GT-Bのグレードにはビルシュタイン製の倒立式ダンパーが標準装備され、この代以降のレガシィのハイパフォーマンスグレードに標準装備されるきっかけとなった。
3代目[編集]
1998年に販売された3代目レガシィからはFF車が設定されず、全グレードで4WDが採用されている。なお、この代まで5ナンバーサイズを維持しており、最後の5ナンバーサイズレガシィでもある。セダンはB4というブランド名を付与され、スポーティなハイパフォーマンスモデルのみになっている。国内で行われた衝突安全性能試験で優れた成績を残し、SUBARU=高い安全性のイメージにつながっている。中古市場では安い個体が多いものの、BLITZENと呼ばれるポルシェデザインによる監修を受けたパーツが装着される限定モデルは希少価値が高く、同様にSTiが手掛けたS401も同様に高値が付きやすい。
4代目[編集]
2003年に発売され、ボディサイズの拡大に伴う安全性能の向上と内外装の質を高めながらも軽量化を実現している。タービンは2代目・3代目のツインタービンではなくシングルタービンを採用しており、ターボの切り替えに伴う加速の息つきを解消している。また、この代から等長等爆エキマニが装備され、かつてのボクサーサウンドは聞かれなくなった。2008年には水平対向ディーゼルエンジン(ターボ仕様)のEE20エンジンがフォレスターと共に採用された。なお、LPG仕様がごく少数であるが目撃されている。純正という噂もあればコンバート車という噂もある。真相は蟹の味噌汁。
5代目[編集]
2009年に販売された5代目レガシィ。北米の要望に応えすぎてしまった結果、より大きく、より重くなってしまった[注 2]。初代、またはレオーネから継承されたいたサッシュレスドアはこの代から廃止されている。排気量も2.0Lモデルを廃止し、2.5Lと3.6L(アウトバックのみ)のエンジンを搭載する。なお、ターボの加給によって警察のパトカーの要件である2500cc級をクリアしたためか、この5代目レガシィのB4がパトカーとして全国に大量配備された。既存グレードをベースに要件に合わせた仕様に変更されており、アイサイトやプッシュスタート機構は搭載されず、快適装備の一部も省かれるほか、シートがビニールレザーになるなどの仕様になっている。なお、SI-DRIVEはそのまま装着されているため、パトカーでありながらスポーツモードでの走行が可能とされている。
6代目[編集]
2014年に発売された6代目となるレガシィである。これまで設定されてきたステーションワゴンのツーリングワゴンは日本では販売されず、レガシィB4とレガシィアウトバックのみの販売となる。なお、更にボディサイズが拡大されており、ワゴンの廃止と併せてスバル・レヴォーグの開発・販売につながっているとされる。この代からEJ型エンジンは使用されず、FB型の2.5Lエンジンのみの設定になっている。トランスミッションもリニアトロニック(CVT)となっており、マニュアル仕様が存在しない。アイサイトはVer3になり、操舵支援機能(レーンキープ機能)等が追加されているほか、車両自体の安全性も高められている。
なお、7代目は北米でのみ販売されており、日本では販売されていない。なお、全長が伸びているためさらにデカくなっている。そのうち1ナンバーサイズになりそう。
なお、7代目のレガシィ・アウトバックが日本で販売されている。なお、ボディの拡大はスバル車における全体的な傾向であり、日本向けに販売したレヴォーグですら2代目から全幅と全長が増えている。初代レヴォーグは欧米市場で悲惨なことになったのを忘れたらしい。